翔琉story5
初めに言いましょう、
翔琉編次で終わりそうです。(*´∇`*)
九月の下旬。寒さを感じる季節となり、学校では指定セーターやカーディガンを羽織ったりする生徒も増えてきた。
人生初の告白デビューから一週間。
俺はまだ、石川 優季に想いを寄せている。
その後の俺達は四時限目の授業をサボり、屋上で会うようになった。
呼び方も、何か切っ掛けがあったわけではないが、「石川」から下の名前の「優季」に変わっていた。
彼女は彼女で俺の事は「あんた」としか呼ばなかった。
会話は気まずいのもあり、あの日よりは全然少ない。
しかし、なんだかんだ少しは仲良くなっただろう。 優季だって毎日来ているし。
女子から「いつもどこ行ってるの? 」と聞かれたり、先生を巻いたりなど色々と大変だ。
もう、必殺の「トイレ行ってきます! 」は使えないだろうな……
屋上の鍵は優季が持っているので、俺はいつも彼女の後に屋上へ向かっていた。ちなみ鍵は「職員室からパクった」だそうだ。
なんて素行の悪いやつなんだろう。
そして今もこうやって何を話す訳でもなく、優季は景色を眺め、俺はフェンスにおっかかって、ただ黙って一緒にいる。
俺はこの時間に幸せを感じてしまい、ついまたあの話を切り出してしまう。
「……なぁ、優季。まだ、あれから一週間くらいしか経ってねーけどさ
…やっぱり、俺と付き合えないかな…」
俺が言うと、こっちをチラリと見てからまた視線を遠くへやる。
聞こえてはいるのだろうが、優季は黙っていた。
そしてしばらくしてから、
「 …………はぁ 」
数秒の沈黙の後の彼女の溜め息。
優季が何か言う前の癖だった。
少し覚悟を決めながら、優季の発言を待つ。
「……本当に、あんたは私の事好きなの…? 」
そう聞かれると俺はすぐに答える。
「そりゃあな。じゃなきゃ、毎回ここ来ねーよ 」
俺が言うと、優季はフェンスを掴む。
「……ぶっちゃけ私もあんたの事好きなんだよ。素直な所とか、空気読んで優しくするとことかさ……」
予想外のことを言われた俺は少しだけ驚いた。
すると、「でも…だから無理なんだよ……」と続ける。
「私はさ嫌われてるから一緒にいたらあんたまで避けられるかもしれない。私のせいで、もう女子とも仲良くできなくなるし… 」
「…優季がいれば良いって」
そんなこと考えてんのかこいつは……
そもそも、あの女子等は眼中に無い。
「…言ってなかったけど、うち両親いないし、弟と妹いて家事したり面倒見たり、バイトとかで遊べないけど…」
……それは、初めて聞いたな。そんなキツい生活送ってたのか……でも、
「……それでも良いって。そんなん俺だって手伝うし」
俺がそう答えると、彼女が掴んでいたフェンスが、「ガチャ」っと音をたてる。
「そんなの絶対無理じゃん! 信じらんないって……」
そう怒鳴った優季から、鼻をすする音が聞こえた。
「 頼むから……俺の事、信じてよ」
俺はそう言いながらフェンスから背を離し優季の方へ顔を向けた。
そして彼女もこちらを向く。
「……絶対、裏切ったりしない…? 」
嗚咽混じりに、そう言う優季の瞳からは涙が零こぼれていた。
両親がいない。弟妹の世話の忙しさや、大変さ。
学校でも一人で、それを聞いてくれたり、助けたりしてくれる友人のいない辛さと寂しさ。
何となくだが、優季が流した涙からは色々な感情が感じ取れた。
大きく息を吐き、口を開く。
「絶対しない。……優季が好きだから 」
彼女の力になりたい、俺は心からそう思えた。
まぁまぁコイツら仲良いな……(-∀-;)




