翔琉story4
「――俺の、彼女になってください……」
初めて話した日に告白とはどう考えてもいきなり過ぎるが石川を好きだという気持ちに嘘は無い。
ここ数日、彼女を目で追っていた理由はきっとそれだろう。
正直、口に出した自分に一番驚いていた。
……が、言ってしまったものはしょうがない。
「……」
真剣な顔を意識して保ちながら、俺は石川の返事を待つ。
お互い視線を合わせたままの沈黙が続き、自分の顔が紅潮していくのがわかる。
すると、石川が視線を落とし、溜め息のように小さく息を吐いて言う。
「……それ、本気で言ってんの? 」
自身の気持ちを再度確認する。
大丈夫だ、嘘じゃない。
何度か体験しているこの、人を好きになる感情。
「……あぁ。本気だよ 」
俺がそう答えた瞬間、間髪入れずに返事はきた。
「 ごめん。……今は、無理 」
そう返ってきた。
予想は出来る答えだったのだが、どこかで期待をしていた分ショックもあった。
「……そっ、か。理由聞いていい? 」
いきなりだった他にも理由があるのかは知らないが、「今は」という言い回しに疑問を感じた俺は石川に問う。
「…別に、あんたに関係ない」
「………わかった 」
関係無い訳は無いのだが、それ以上は聞かなかった。
彼女自身言わなそうでもあったし、彼女に「これ以上聞かないで」と言われたように感じた。
たが俺は俺で納得はしてなかった。
「……でも、まだ諦めたくはないかなー 」
「は!? 」
俺の言葉に石川は目を丸くする。
「話すの初めてだし、これから好きになってもらえるかもだろ? 」
彼女は呆れたような表情になり、「……勝手にして」と吐き捨てるように言うと俺の横を過ぎて、ドアの方へ向かっていった。
癖なのかよく石川は溜め息をつく。
幾つ幸せが逃げているのだろう……
彼女の方を目で追いながら、つい馬鹿々しい事を考えてしまう。
「なぁ石川、ちょっといいか……」
「何? 」
呼び止めると石川が振り向く。
そして俺は彼女の赤茶色な髪を見ながら言う。
「その頭って染めたのか? 」
興味本意でどうでもいいことを聞いてしまう。
「はぁ? 地毛だよ。……あんたは? 」
「染めたに決まってんだろ 」
石川に聞かれ、真実を答える。
「はぁ……くっだらない…」
そう呟き彼女は踵を返した。
「石川! …また、ここ来るからな 」
俺がそう声をかけるとドアを開けて、石川は屋上から出ていった。
俺は一人きりになってしまい、フェンスに背を凭れ掛ける。
フラれたショックよりも、彼女とまた話せるかもしれない。そんな喜びの方が強かった。
俺の失恋デビューは少しだけ清々しいものとなった。
空を仰げば、青い空に白い雲。
それを見ながら俺は思った。
「 ―― 授業一回休むと、どのくらい減点されんだろ…… 」
そんなどこまでも続く大空を眺めながら俺はふと、そんなことを呟いてた。
次回で翔琉編が多分終わりですかね(´・ω・`)




