表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/48

翔琉story

夏休みが終わり、まだ暑さが残っている九月上旬の二学期初日。


久々の登校に少しだけ不安を抱きながら、大門 翔琉は教室に入っていく。


今日はよく人に見られるなぁ…


翔琉がそう思うのもきっと夏休み中に染めて、髪の色が金色のせいだ。

だが、この学校で「髪の毛を染めてはいけない」という校則なんて無いので、抱いた不安も"少し"で済むのであった。

翔琉は、窓際一番前の自分の席へと向かうと、ぞろぞろと教室にいた女子達が翔琉の席へと集まってくる。


「翔琉くん、おはよー」

「久しぶりー。髪染めたんだね 」

「かっこいー! 似合ってるよ! 」

翔琉は、自席の机に鞄を置くと、女子の集団に声をかけられた。


「おはよ。久しぶりー」

翔琉はそれに、椅子に座りながら笑顔で挨拶を返す。


そして、女子たちは翔琉を囲むようにして話し始めた。


会話の内容は翔琉が口を出せるものなど殆んど無く、耳から耳へと抜けていった。

たまに、

「へぇ、そうなんだ」「えーすげー」

などと適当に相槌を入れて会話の終了を待つも、なかなか終わらない。


一ヶ月前までは、女子に集られるのも別に何ともなかったが、夏休み明けともなると少し面倒になっていた。


今は春也達のクラスに行くの無理そうだな…


終わりの見えない会話を聞き流しながら、翔琉はそんなことを考えていた。


「――ねぇ、邪魔なんだけど」


賑わった中でも良く通った女子生徒の声だった。

その言葉は、翔琉を囲む女子へ向けて言ったのだろう。


「チッ…」

俺の周りに居た女子たちの誰かが舌打ちをする。

「……ウザっ」

また、続くように誰かがそう呟いた。

そしてそれは翔琉に聞こえていた。


「じゃーね翔琉くん」

「また後でねー」

彼女達は笑顔でそう言うと、不機嫌そうにして翔琉のもとから去っていった。


翔琉の右隣の席が空く。


少し目立った、セミロングの赤髪を揺らしながら、石川 優季はその席に着いた。


石川は鞄を机の横に掛けると、右手で頬杖を立てながら窓を眺め始める。



本当に、何となくだ



それは先ほどの出来事があったからなのか、それとも石川が誰もが思う美女だからなのか、


翔琉は彼女を見つめていた。


すると石川は、視線に気づいて「何か用? 」と言いたげな表情で翔琉の方へ目を向けた。


「えーと、石川。……おはよ」

「……」

「…あれ、無視? 」

彼女と目が合ってしまった翔琉は、取りあえず挨拶をした。

だが、石川は何も言わずに席を立ち、教室を出た。


挨拶を返されずに軽いショックを受けた翔琉は立ち上がって、春也達のクラスへ向かった。


× × ×


しばらく時間が経つと、生徒が増え教室は賑わっていた。


予鈴のチャイムが鳴り、翔琉は教室に戻ると石川の姿が見当たらない。

トイレにでも行ったのかと思ったが、LHRも、その後の始業式も石川は戻ってこなかった。

19話目です。

自分的に好きなキャラの翔琉の話なのですが、本命の春也達の話が進まなくならないように短くまとめていきたいです。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ