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風邪(2)

「…おじゃましまーす」


しばらくベッドで横になっていると、玄関から声が聞こえ、間も無くしてビニール袋を持った夏希が、俺の部屋へ上がり込んできた。


夏希は、ベッドで寝ている俺を見ながら

「うわぁ、ほんとに具合悪そう…」

「アホか…。当たり前だろ……」

俺はマスクを装着しながら、そんな挨拶を交わした。


「適当に、スポーツドリンクとかゼリー買ってきたから、食べたかったら食べて。春也のことだから、どうせまだ何も食べてないんでしょ? 」

夏希はそう言って、ベッドの横にあるソファーに座った。


確かに、少しだけ空腹ではあったが…

"喉が乾いた" としか言ってないのに、ここまで図星を突いてくるのは幼馴染みの怖さだな…


「…あぁ。どうもな」

俺は軽い礼をして、夏希から袋を受け取る。


「熱は?何度くらいでたの? 」


「あー、朝計ったとき39度ぐらいだったな。今はしらねー」


「はぁ、よくそんな高熱ほっとけたわね…。 もう一回計ってみれば? 」

夏希は呆れたように言って、テーブルの上に置いてあった体温計を渡してくる。


朝と比べたら全然元気だしな、熱はまだあるとおもうが、多分大丈夫だろう

そう思いながら体温計で計ってみると、なんと38度もあった。


夏希に体温計を渡すと、

「もう…、まだ全然あるじゃない。ちゃんと大人しくしてなさい」

「いや、今日一日寝てたんだけど…」


計り終わった体温計を見ながら夏希はそう言いうとソファから立ち上がった。


「…さてと、ちょっと台所借りるね」

「え、何すんの? 」

「んー? お粥でも作ってくる」

俺が聞くと、夏希はそう答える。


「いや、ゼリーあるじゃん」

「そんなんじゃ駄目に決まってるでしょ。食欲あるならちゃんとしたの食べないと」

そう言って、夏希が部屋から出ていく。


特にすることもないので俺は買ってきて貰ったゼリーを食べるが、少量なのですぐに無くなってしまう。


…暇だ


時計の針が動く音しかしない自室は、俺に孤独を感じさせる。

そして、夏希が早く戻ってくるのを願う自分がいた。


俺は、ここまで人を求めるやつだっただろうか


考えることが面倒になり、思考を巡らせるのを止めると、徐々にまた怠くなって俺はまたベッドに横になった――





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