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転校生は、黒髪の...

「――藤宮ふじみや 千秋ちあきです。よろしくお願いします」


 夏なのか秋なのかよくわからないそんな季節。

目立った思い出もなかった夏休みが終わってからの二学期の二日目。

 俺達のクラスに転校生が来た。


『好き』


この出会いと、この先に起こる出来事に今までろくに恋愛をしてこなかった俺にその言葉の意味と、重みを深く考えさせられる事になる――。



× × ×




 ――あぁ、うるさい。


 朝。いつもより騒がしい教室の自席より、俺、吉田よしだ春也はるやはそんな呟きをを漏らしてしまう。

五月蝿うるさい理由はきっと、昨日の二学期初日のLHRで担任が話していた、今日うちのクラスにやって来る転校生のことだろう。


 騒がしさを紛らわすために鞄から音楽プレーヤーを取りだし、イヤホンを片耳だけに付けるとやや大きめの音量で音楽を聞き始めた。


 しばらくすると、前席に女子生徒が席につき、「おはよう」とだけ短く挨拶をしてきた。

 彼女の名前は、山寺やまでら 夏希なつき。俺の家の隣に住んでいて、いわゆる幼馴染みである。

 保育園が一緒でさらには、小学校から今までクラスも同じという腐れ縁の仲だ。

 俺が、「おう」と挨拶を返すと夏希は前を向き静かに座った。


 適当に暇を潰していると、朝のHR直前のチャイムが鳴り、ざわざわと皆が席に着く中、担任が教室へ入ってきた。その後ろには、噂の転校生が続いて入ってくる。

 担任教師の後方に視線を向け、その生徒の方を見る。


 転校生は女子だった。


 長い黒髪を揺らしながら黒板の前の教卓へと向かっている。周りは男子の喜びの声と、女子の少し残念がる声で賑やかになり、転校生が正面に向き直ると、さらに歓声が上がった。


 それは「かわいー!」や「すごい美人!」などの言葉ばかりだったし、夏希も俺の方を向いて「綺麗な子だね」と言ったのを周りが五月蝿い中、俺は聞き取った。


 担任が生徒達を静かにさせると、転校生は自己紹介を始める。


「……藤宮 千秋です。よろしくお願いします」


 ――案外大人しそうで可愛い顔の子だな。


 彼女への第一印象は本当に、ただそれだけだった。






初の投稿なので、理解できない点や誤字脱字などがあれば、御指摘ください。

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