ななしとんねるみちばたユキとっきゅうれっしゃ
そのトンネルにはいると
車でも自転車でもまた手持ちの懐中電灯でも
光を発するものは全て消えるという
果たしてその噂が本当か
夏休みを利用して
その峠道に
地元の小学校三人組が
真意を確かめるべく
下の町から自転車をこいで
山の登り道を進んでいた
朝早く出たというのに
その場所に到着したのは昼過ぎだった
「つかれたー」
一人の少女がそんなことを言った
皆ここまでくるなかであせびちょりだった
しかし
いざ目の前にそのトンネルがあることで
どこか皆気後れするところがあるが
男子よりも女子の方がそこは元気が良く
「それでは行きますか」
そう言ってトンネルの中に自転車を押して入っていく
「おっおい」
後ろの二人も急いで自転車を押して中に入った
中は外とは違い
水があるのは非常に湿っぽく
まるで蒸しているようである
そのせいでどこか気分まで悪くなってくる
「ねえ暑くない」
女の子がそう言う
「うん」
一人のせの低い男の子がそれに同意する
「それにしても本当に消えると思うか」
自転車のライトをつけながら進む二人にそう背の高い男の子が聞いた
「消える訳ないじゃん」
女の子は平然とそう言うと、どこか楽しそうに笑った
二人にしてみればそのときほど、その無責任な笑いが救いだと思ったことはない
「でもなら何でここにつれてきたのさ」
「・・・いや・・この前一人出来たとき、懐中電灯落としちゃって
・・それで明かりは多い方が良いかなって」
「・・その懐中電灯って、明かりが消えたの」
「うん」
女の子が頷いたとき一斉に明かりが全て消えた