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暗黒騎士物語(なろう版)  作者: 根崎タケル
第9章 妖精の森
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戦いの真理

新しい小説サイト「マグネット」と「ノベルバ」に移転予定です。

この章まではなろうで書きますが、次章からは移転先で書きます。

良かったら、そちらに来て下さると嬉しいです。

◆暗黒騎士クロキ


 竜と化した自分はフェリオンに組み付く。

 竜になると武器が持てないが、その全体的な力ははるかに上がる。

 ただし、自分はその力を完全には制御できていない。

 暴走しないように注意して力を使わなくてはいけない。

 そのため、竜の力を全力で出せずにいる。

 幸い、フェリオンも封印で縛られているからか、全力を出せていない。

 腕の中でフェリオンが暴れる。

 わずかだが、フェリオンの方が力が強い、だけど負けるわけにはいかない。

 フェリオンの体から破壊の風が体を揺さぶる。

 強靭な体になったが、それでもかなり痛い。

 自分は自己修復で肉体を再生させると、お返しに黒い炎を出しフェリオンの体を焼く。

 黒い炎はフェリオンを焼くが、自分と同じようにフェリオンも自己修復で肉体を再生させる。

 それが繰り返され、炎と風がドームの中に吹き荒れる。

 そんな事を続けている時だった。

 一瞬の隙を突き、フェリオンが自分の腕から逃れると、竜となった自分の体に覆いかぶさる。

 

「何の!」


 自分は体の力を抜きフェリオンから逃れると逆に押さえ込む。


「グウウウ! 暗黒騎士! 何だ今のは!?」


 フェリオンは何が起こったのかわからず唸る。

 もちろん教えるつもりはない。


「大人しくしろフェリオン!」


 自分は後ろからフェリオンを前足を掴むと押さえつける。

 竜に姿になると強くなるが、剣を持つことができないという欠点がある。

 修行して人間の姿のままでも竜の力が使えるようになる予定だが、今は無理だ。

 しかし、竜の姿でもあるていどの体術は使えるので、それでフェリオンを押える。

 力で劣っている分は技で補う。

 そう考えフェリオンを押えつけている時だった。突然フェリオンの体から力が抜ける。


「えっ!?」


 自分が驚きの声を出す。

 フェリオンは自分の下から逃れると、襲い掛かる。


「なるほど! これは面白い!」


 フェリオンが楽しそうに笑う。


「嘘だろ……。技を盗んだのか?」


 自分はフェリオンに噛みつかれないように顎を押えながら呟く。

 フェリオンは先程自分が使った技を真似したのだ。

 力まかせだけではない事を教えてくれる。

 理性的だが凶暴な存在がフェリオンなのだろう。


「楽しいぞ! 暗黒騎士! これ程の相手はモデス以来だ!」

「そいつはどうも!」


 フェリオンが楽しそうに笑うと、自分は応える。

 自分とフェリオンは互いに技を使いながら相手の体を押えようとする。

 さすがに技は自分が上だ。

 だけど、フェリオンの技の切れが徐々に上がって来ている気がする。

 長くはもたないかもしれない。


「ああ! こんな鎖がなければもっと楽しく遊べるのに! 暗黒騎士よ! この鎖を解いてくれ!」

「そんな事を出来るわけがないじゃないか! フェリオン! お前はなぜそんなに戦いたがるんだ!? 教えてくれ!?」

「何を言っている暗黒騎士! 戦いこそ全てじゃないか! 世界は喰らい喰らわれるために生きている! 暗黒騎士! 君だって生きるために何かを喰って生きて来たんじゃないのか!? そして喰うために戦い! 喰らわれぬために戦う! それが世界の真理だ!」

「!?」


 その言葉に絶句する。

 獣の真理かもしれないが、ある意味正しいような気がしたのだ。

 全ての生き物は食を得るために日々を戦わなければいけない。形は違えど現在の日本にも通じている。

 そして、フェリオンはただ生きる事を純粋に楽しんでいるだけだ。

 自分も美味しいもの食べる事は楽しいと思う。

 その食べ物が生きていた事を考えた事があっただろうか?

 フェリオンを前にして食べられる側に立った事で、その事を思い知らされる。

 生きる事は食べるために戦う事なんだ。


「さあ、来てよ! 暗黒騎士! 戦おうじゃないか! 君を喰らい! モデスを喰らい! 世界を喰らう! 全てを喰らったら! 次元を超えて新たな世界を喰らってやる! 何て心が躍るんだ!」


 フェリオンの口が大きく開き自分を喰らおうとする。

 それを何とか防ぐ。


「良いよフェリオン! 純粋な戦いにつきあってやる! 食べられてたまるか! 全力で抵抗してやる!」


 もはや言葉は不要だ。

 フェリオンを解き放ってはいけない。

 強くそう思う。フェリオンは危険な存在だ。

 無邪気な殺意を周囲に放っている。解き放たれれば世界喰らうだろう。

 全てを喰らったら、自分達の元居た世界に来るかもしれない。それは何としても防がなくてはいけない。

 だけど、そろそろ自我が保てなくなってきていた。

 短い時間かもしれないが、悠久の時を戦っているような気がしている。

 自分は何とか気力を振り絞り、フェリオンを押え込む。

 そんな時だった。

 フェリオンを繋ぐ魔法の鎖の輝きが強くなる。

 するとフェリオンの力が弱まったような気がする。

 

「ああ! 時間切れか!」


 フェリオンが残念そうに唸る。

 ヘイボスが封印を修復して、なおかつ封印の力が元に戻ったのだ。

 それと同時に自分も限界であった。

 黒い炎が収縮して、竜の姿から人の姿へと戻る。

 竜の姿になっても鎧は元のままだ。

 不思議だけどそういうものなのだろう。

 前を見るとフェリオンが動かなくなっている。


「自分の勝ちだ。フェリオン……」

「そのようだね……。でも楽しかった。また遊ぼうじゃないか」


 フェリオンが楽しそうに笑う。

 正直に言って断りたい。

 だけど、どこか自分も楽しんでいたような気がする。

 もっとも、そんな事は言えない。


「悪いがそれには答えられない。フェリオンよ。そこで大人しくしているんだな」


 自分はそう言うと背を向ける。

 おぼつかない足取りでドームを出るとヘイボスが自分を出迎えてくれる。


「すまぬ。遅くなった」


 ヘイボスが謝る。


「いえ、何とか間に合ってくれたようです」


 自分は笑うが、危なかった。

 後少しで自我をなくす所だった。

 自我をなくせば、自分がフェリオンの封印を解いてしまっていたかもしれない。

 本当に危ない所だったのである。


「さて、戻るか」

「はい。ヘイボス殿。申し訳ございませんが少し休みます」

「ああ、空舟で休むが良い。帰りは安全なはずだからな」

「助かります」


 自分は暗黒騎士の鎧を外すと空舟で横になる。

 ヘイボスが操縦して地上へと戻る。

 こうして、自分とヘイボスはフェリオンの封印から戻るのだった。



◆白銀の魔女クーナ


 目の前で結界が解けているのがわかる。

 どうやら、フェリオンは復活しないようであった。

 蛇の者達も既に撤退している。

 シロネ達はゴブリンに捕らわれた者達の治療のために忙しそうで、結界が解けた事に気付いていないようであった。

 まあ良い、放っておこう。

 別にクロキに会わせたいわけでもない。


「さて、クーナもクロキと合流するか。だがレーナもコウキもいるからな……」


 クーナはコウキの事を考える。

 クロキとレーナとの間に生まれた子。

 その事を考えると少し心がざわめく。だから、あまり会いたくない。

 

「まあ、いつかはクーナにも子が生まれるだろう。そうなればざわめきが収まるはずだ」


 そう呟くとクーナは呟き移動する。



◆知恵と勝利の女神レーナ


 狼達が去っていく、フェリオンの復活に失敗したのを悟ったようだ。

 ドワーフ達が歓声を上げているのがわかる。

 こちらの勝利であった。


「ふふ、良く眠っているわね」 


 私の膝の上でコウキは眠っている。

 力を使いすぎて疲れたのだろう。

 だけど、この力は封じなければならない。

 黒い炎を使える事が知れたらコウキの正体がバレてしまうだろう。

 私達がいるのはドワーフの館の客室だ。

 私とコウキとルウシエン達の他は誰もいない。


「御免なさいねコウキ……」


 眠るコウキに謝ると側に控えるルウシエンを見る。

 

「良いわねルウシエン。コウキの力を封じます。貴方は影からコウキを守るのです。強敵が現れた時は貴方が身をもって守るのですよ」

「はい。御義母様……。ふぐっ!」


 私は御義母様と呼んだルウシエンをぶっとばす。

 こいつ本当にわかってんのか?


「良いですね。ヘ・ン・ナ・ム・シからも守るのですよ。ルウシエン」


 少し怒気を込めて言う。


「ふあい……。必ずやコウキ様を守りまふう……」


 頭を押さえたルウシエンが涙目で言う。

 これだけ、言っておけば良いだろう。


「さて、私はエリオスに戻ります。後の事は任せたわよ」 


 クロキを出迎える事はしない。

 どうせ後で会う事になるからだ。

 蛇達の陰謀は砕いたが、また動き出すだろう。

 その時までは私も休むことにしよう。

 こうして森の戦いは終わったのだった。  

 




これでフェリオンとの戦いも終わり。

色々と考えた戦闘シーンを書いても良かったけど、だらだらした争いになりそうだったので省きました。

それにしても、かなり酷いミスを連発しています……。

もう少し落ち着いて移転と執筆をしなくてはいけないなと思います。

移転作業を急いで進めたいのですが、酷い内容の作品を出したら意味がないです。

読者の方々に申し訳ないと思っています。ごめんなさいm(。≧Д≦。)m


移転はもう少しゆっくりしようと思います。

そして、次回はいよいよ最終回です。これがなろうでの最後の投稿になると思います。

移転が終るまでは9章まで全て残す予定です。



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