表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暗黒騎士物語(なろう版)  作者: 根崎タケル
第9章 妖精の森
184/195

血の絆と戦力分析

マグネットとノベルバに移転予定です。

できれば、そちらのチェックもお願いします!!


◆暗黒騎士クロキ


「え、ええ」


 頭が混乱する。

 いきなりコウキが自分の子だと言われても、それを受け入れる事は難しい。


「何よ、クロキ。疑うの? 子どもが出来る事を私にしたでしょ?」


 コウキを抱っこしているレーナが怒ったように言う。 

 確かに身に覚えがある。

 だけど、それにしてはコウキは育ちすぎている。

 コウキを見る。

 レーナに抱かれてすやすやと寝ている。

 そのコウキから何かの繋がりを感じるのは確かなのだ。

 初めてコウキに会った時、気のせいだと思った。

 しかし、レーナに言われた事ではっきりとコウキの中に眠る黒い炎を感じる。

 おそらく、レーナの言っている事は嘘ではない。

 それにこの世界での成長は自分達が元いた世界とは違うのかもしれなかった。

 つまりコウキは自分の子。

 これはとんでもない事実だった。


「疑うのなら、あの子に聞いてみなさい。知っているはずだから」


 レーナの言うあの子というのはクーナの事だ。

 クーナはコウキの事を知っている事になる。

 このような事でクーナは嘘を吐かない。

 これでは確信するしかない。


「いや……。疑うってわけじゃないけど、何というかビックリした……」


 そう言うとレーナがにんまりと笑う。


「まあね、ちょっとびっくりさせようと思って、あの子にも黙っているように言っていたのは確かだわ、でも血の絆はすごいわね。紹介する前に貴方と出会うなんて」


 レーナは嬉しそうだ。


「あの、コウキは父親が自分だって知っているの?」


 それがちょっと気になる。

 コウキの様子では知らないみたいだけど。


「いいえ、知らないわ。正確には教えていないもの。ああ、そうだ、念のために言っておくわね。コウキが私達の子だって事は秘密にしてね。バレたら大変な事になるから。もちろん、コウキにも秘密。それからコウキをナルゴルに連れ去ろうとはしないでね。私がコウキに会いにいくのが難しくなるもの」


 レーナは釘を刺す。

 もし、コウキをナルゴルに連れ去ったら、そうとう怒りそうだ。

 

「いや、無理やり連れ去ったりはしないけど」

「無理やり以外でもダメよクロキ。やっぱり貴方の事を教えられないわ。コウキが父親を慕ってナルゴルに行かれたら困るもの。まあ、いつかは知るかもしれないけど、それまでは秘密。良いわねクロキ?」

「は、はあ……」


 自分は生返事をするしかなかった。

 そもそも、頭はまだ混乱しているのだ。

 そしてレーナは自分にコウキを渡す。


「コウキは人間の世界で勇者となり、最終的には私の騎士として迎える予定よ。だから、剣をしっかりと教えてあげてねお父さん」

「お父さん……」


 お父さんと呼ばれ戸惑う。

 コウキはまだ寝ている。

 レーナが抱きしめた事で安心して、より眠りを深めたようだ。


「さて、そろそろ行くわね。あのエルフ達を調教しないといけないからね」


 そう言うとレーナは立ち上がる。

 テス達が恐怖しているのがわかる。

 彼女達は全てを知ってしまった。口止めのためにレーナは何をするのだろうか?

 怖くて、知りたくない。

 レーナの後ろ姿を見る。

 お尻を眺めていると改めてすごい事をしたのだと思う。

 なぜなら、レーナというとんでもない美女を孕ませたですよ!

 これは勃起ものですよ!

 だけど、なるべく考えないようにしなければならない。

 椅子から立てなくなるからだ。


「あっ、そうだ」


 何かを思いついたらしく、レーナがこちらに戻ってくる。


「良かったらまた産んであげるわよ、クロキ」


 レーナが耳元で囁く。


「えっ? あのレーナ」

「ふふっ、それじゃあねクロキ」


 レーナは悪戯っぽく笑うと再び離れる。

 こうして自分は椅子から立ち上がれなくなるのだった。



◆黒髪の賢者チユキ


 私達は琥珀の宮の一室に集まる。

 白銀の魔女クーナも一緒だ。

 何でも手伝ってくれるらしい。

 他には戦乙女のニーアとエルフの女王とその側近がいる。

 

「ありがとうチユキ。君達も手伝ってくれるのだな」


 ニーアがお礼を言う。

 私達はこの森の防衛をするエルフ達の手伝いをする事になった。

 

「まあ、緑人(グリーンマン)さん達と約束したからね。しょうがないか」


 リノがうんうんと頷く。

 私達はこの森を荒らす者達を止めると緑人(グリーンマン)と約束した。

 手伝うのもそのためだ。


「そうっすね。コウキ君も戻ってくるみたいっすから、目的もほぼ達成したと同じっす。だから、後は手伝いをするっす」


 ナオも頷く。

 一応コウキはニーアの取り計らいで、戻ってくる事になった。

 天使が約束したので嘘ではないだろう。

 しかし、気になる事がある。

 ニーアはコウキの事を知っていたみたいなのだ。

 そのあたりは有耶無耶にされたが、どういう事だろう?

 ちょっと気になる。


「ところで、どんな様子なの? 敵の戦力は?」


 私はニーアに聞く。


「それが、わからんのだ。最初の情報では大した事はないはずだったのだがな……」

「えっ? そうなの?」

「そうだチユキ。蛇の王子が来ている事はわかったが、攻めてきている邪神は少ないと聞いている。しかし、どうも戦力が増強されているらしい。わかっていたら、お前達にも協力を要請したのだがな」


 ニーアが残念そうに言う。


「はははは、何を言っているのだ。エリオスの男共が勇者を連れてくる事に反対したからだろうが」


 突然白銀の魔女が笑い出す。

 するとニーアが言葉を詰まらせる。

 図星のようだ。

 

「ああ、隠してもしょうがないな、それが事実だ……。女神様方は助けを求めようとしたらしいのだが……」


 ニーアは説明する。

 何でも女神達はレイジに助けを求めようとしたらしいが、それを男神達が嫌がったらしい。

 溜息が出る。

 エリオスの神々は思っている以上にグダグダのようだ。

 何もしなかったのではない、何も出来なかったというのが事実のようだ。


「あの~、大丈夫なの?」


 シロネが不安そうに聞く。

 確かに不安だ。

 対処できるのだろうか?


「当初の情報の通りなら問題はない。基本的には我々が対処する。だからチユキ達には不測の事態が起こった時に動いてもらいたい」

「はあ、まあそれで良いけど、こちらの戦力と相手の戦力、わかっているだけでも教えてくれない?」

「わかった。協力をしてくれるのだから戦力を教えよう。タタニア女王、映像を出してくれ」

「はいニーア様」


 エルフの女王タタニアが側近に命じると部屋の中央に映像が浮かび上がる。

 そこには純白の鎧を纏った男性がいる。

 前に会った事がある歌と芸術の神アルフォスだ。

 アルフォスが浮かび上がるとリノとエルフの側近達が歓声を上げる。

 彼は何でも神王に仕える聖騎士団の団長らしい。

 歌と芸術の神なのに、すごく強いそうだ。


「天上の戦力だが、まずはアルフォス様が率いる聖騎士団が先頭になって戦う」


 ニーアがアルフォスの周りにいる。天馬に乗った天使達を指す。

 聖騎士は神王が認めた者のみで構成された精鋭である。

 その多くは天使だが、人間の中にも選ばれる者がいるらしい。

 アルフォスと同じ純白の鎧を纏った天使達はいかにも精鋭といった感じだ。


「次に第2陣としてトールズ様が率いる男神の方々と聖戦士達が控えている」


 次に煌びやかな衣装を身に纏った男性達が映し出される。

 アルフォス程ではないが、美男子ばかりだ。

 その側には武装した戦士達が控えている。

 聖戦士は神に認めれた戦士達の総称だ。聖騎士も広義では聖戦士である。

 また、聖騎士と同じく、天使もいれば人間もいるらしい。

 ただし、聖騎士がほぼ天使なのに対して、聖戦士は人間の方が多いみたいだ。

 翼を持たない者達が多く、空舟(スカイボート)に乗り戦うみたいだ。

 彼らは男神達に選ばれ、聖戦士となったのだろう。

 ただ、重装備の聖戦士と比べて男神達のほとんどは武装していないように見える。

 楽しそうに雑談して、中には女性を侍らしている者もいる。

 これから戦いだというのに大丈夫だろうか?


「そして、もしもに備えて我々戦乙女隊がいる」

 

 武装した女性天使達が映し出される。

 見た顔がちらほらいる。


「あれ? 貴方の主の姿が見えないみたいだけど」

「レーナ様はいない。何かお考えがあるらしく、別行動を取られるようだ」

「そうなんだ。じゃあ指揮は誰がするの?」


 リノが無邪気に聞くとニーアが顔を曇らせる。

 私達は顔を見合わせる。

 

「何かあったっすか?」

「実は指揮は誰が執るのか決まっていない。一応アマゾナ様がレーナ様の副官として来ていらっしゃるのだが……」


 ニーアは何か言いにくそうだ。

 アマゾナというのはレーナと同じ戦いの女神のはずだ。

 父親と同じく、鎧を身に付けず、下着姿で戦う事で有名だったはずである。

 もしかして彼女に問題があるのだろうか?


「まあ、それはこちらの都合だ。チユキ達は気にする必要はない。次に地上戦力だが、妖精騎士(エルフィンナイト)とドワーフの戦士団が中心となって戦うはずだ。この辺りは私は詳しくない。タタニア女王、説明してくれるか?」

「はい、地上は私達、アルセイディアの軍が対処します。精強な妖精騎士(エルフィンナイト)達が必ず敵を打ち破るでしょう」


 タタニアがそう言うとニーアが首を傾げる。


「ドワーフの戦士はどうしたのだ。今回は協力するように言っておいたはずだぞ」

「ああ、そうでしたね。ドワーフの戦士と彼らの連れて来てくれたゴーレム達もいます」


 明らかに付け足したようにエルフの女王は言う。

 ドワーフとの協力体制は難しいみたいだ。


「はあ、もう良いわ、それで敵の戦力はどうなの?」

「敵の戦力で判明しているのは蛇の王子とその眷属達だ。それに援軍としてオークやゴブリンの軍勢の姿も見えるらしい。タタニア女王よ、次は敵の戦力だ」


 ニーアがそう言うと敵の戦力が映像として浮かび上がる。

 巨大な足のある蛇はムシュフシュだろう。

 その上に褐色肌の男が乗っている。

 蛇の王子ダハークである。

 彼らが森を荒らす犯人だろう。毒の影響で木々が枯れている。

 何とかしなければならない。

 他にもオークの軍団やゴブリンの軍団が映し出される。


「ちょっと待って! あれは何!?」


 シロネが声を上げる。

 ゴブリンの軍団の中に人間の姿が見えたのだ。

 人間達は縄で繋がれ、ゴブリンの軍団と共に一緒に歩かされている。

 

「ゴブリンの奴隷になった人達だわ。無理やり戦士として戦わされるみたいね」


 ゴブリンには奴隷文化があり、同種族だけでなく他種族を奴隷として働かせる。

 その中には人間も含まれる。


「そんな、助けないと……」

「そうっすよ、助けないといけないっす」


 リノが言うとナオが同意する。

 

「助けるのは少し難しいかもしれません。さすがにそこまで余裕は私達には……」


 エルフの女王が難しそうな顔をする。

 

「それじゃあゴブリンは私達が相手にするわ。それで良いわねニーア」

「ああ、構わないぞチユキ。だが、敵の戦力が不明だ。死の眷属共や大地の巨人(ギガテス)も来ているかもしれない。気を付けるんだ」

「わかったわ」


 私は頷く。

 敵はいつ攻めてきてもおかしくない。

 いつでも戦えるようにしておこうと思うのだった。



 

何とか日曜に更新できました。

リアルで色々と予定が入ってしまい、遅くなりました。


そして、今回なのですが実はアマゾナを出す予定でした。

しかし、新キャラを出す余裕がなかったので持ち越しです。

また、クロキの下半身ネタを入れています。

クレームが来たらどうしよう……。


次回はリアルの予定が入ったので1日遅れます。24日のイブに更新です。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ