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暗黒騎士物語(なろう版)  作者: 根崎タケル
第8章 幽幻の死都
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救う者達

◆暗黒騎士クロキ


「どうやら、城が騒がしくなったようですな小妖精使い(フェアリーテイマー)殿」


 フルティンがこちらを見て言う。

 自分は本名であるクロキの名を出していない。小妖精使い(フェアリーテイマー)と呼ばれる。

 捕えられた者達が逃げ出した事で城のアンデッド達が騒ぎ始めたのだ。

 今頃追いかけているだろう。


「無事に逃げる事が出来たら良いのですが……」


 フルティンの方を見ずに答える。

 フルティンとマルダスとその他3名を残し、捕えられた男達は城から逃げ出した。

 ウェンディを救うために、彼等には囮になってもらった。

 もちろん、事情を話している。事情を話すと彼らは快く承諾してくれた。

 何でも、元々助からないと覚悟を決めていたらしく、アンデッド共に一泡吹かせられるなら協力をするそうだ。

 心の中で彼らの無事を祈る。

 ザルキシスと太った男の絡みは、ザルキシス以外は誰も得をしないだろう。

 もう一度、本当に心から無事を祈る。

 やがて、騒がしさが消えていく。

 城からアンデッドが少なくなったのだろう。


「そうですな。そろそろ我らも動きましょうか?」


 その言葉に頷く。

 また白頭巾の情報から、今この城にザファラーダとそのお付の吸血鬼はいない事がわかっている。

 動くなら今だ。


「そうですね。フルティン殿……」


 フルティンに背を向けて答える。

 自分は今白い頭巾を被っている。

 そして、フルティン達は逃げられなかった者の振りをしている。

 つまり全裸で縛られている状態だ。さすがにV字ではないが正視に耐える事ができず。

 そのため、こうして目を反らした状態で会話をしている。

 ティベルも何だかしらけた顔で黙ったままだ。

 よく見ると鼻を押さえている。本当に嫌みたいだ。

 ごめんねティベル。と心の中で謝る。

 この場には白い頭巾の者は他にもいるが、ティベルの魔法の支配下にある。

 そして、アンデッド共がいなくなるのを確認させる。

 自分や他の白頭巾は城に追跡に行かず残る事になっている。

 動きが鈍い改造人間ではなく、アンデッドが追跡する方が理に適っているからだ。

 確認に行った白頭巾が戻って来て首を縦に振る。

 どうやらアンデッドがいなくなったようだ。

 フルティン達は服を着て武装する。

 武装は白頭巾達が持っていた物だ。

 服を着ると威厳のあるおじさんがそこに立っていた。

 全裸で足をV字開脚させられていたのが嘘みたいだ。


「さあ行こうぜ大将」


 マルダスがにやりと笑う。

 彼は全裸で斧を持っている。

 獣の刺青をしている所から見てもトールズの狂戦士だったようだ。

 狂戦士は鎧を着ない。むしろ何も防具を装着せずに戦う事を誇りとしている。

 鎧を着て戦う事は臆病者だと言わんばかりだ。

 そして、中には全裸で戦う者もいる。

 マルダスとその3名の男もそうであるらしく全裸だ。

 彼等は元々マルダスの仲間で一緒に掴まったらしい。

 太ったおっさんの尻が三つ並ぶ。

 その信条は尊重するけど、できれば視界に入れたくない。

 しかし、そんな事は言ってられない。

 なぜなら、彼らが先行を買って出てくれたからだ。

 おそらく盾になるつもりなのだろう。

 すごくありがたい。だけど、なぜか罰ゲームなような気がする。

 フルティンを先頭にマルダスとその仲間、そして自分が続く。

 フルティンを先頭にしたのはアンデッド感知の能力が有るからだ。

 長い階段を上がる。

 目の前でがに股で上る男達。がに股で上るのは太っているからだ。

 股の間ででぷるぷると何かが震える。

 嫌、もう本当に勘弁してください……。

 そう思った時だった、急にフルティンが止まる。


「どう……?」


 どうしたのか? と聞こうとしたところでフルティンが口に手を当てる。

 静かにというジェスチャーだ。

 階段を上がった所に扉がある。

 どうやら一階へたどり着いたようだ。

 フルティンの様子から、おそらくその先にアンデッドがいるのだろう。


小妖精使い(フェアリーテイマー)殿。ここは我らが暴れて城内の敵を引き付けます。その間に先に進んで下され。よろしいですかなマルダス殿?」

「ああ、大丈夫だ。行くぜ。ケッツノ。アナガ。モロ」


 マルダスが頷くと仲間の男達も頷く。

 この3人の名前は絶対に繋げて呼んではいけないような気がする。


「おうよ」

「任せな」

「ああ、今こそ漢を見せる時だぜ」


 最後は勘弁して……。


「わかりました。お気をつけて……」


 そう言うと男達はフッっと笑う。それは死を覚悟した顔だ。

 とても男前である。

 フルティンがマルダス達の武器に魔法をかける。

 光の魔法の効果で、実体のない幽霊ゴースト相手でも戦えるだろう。


「行くぞ!」

「おう!」


 フルティン達が各々の武器を掲げて突撃する。

 その様子を扉の隙間から眺める


「滅びるが良い! 死の君主の眷属め! 裁きの鉄槌を受けよ!」


 フルティンの持つ小振りなメイスの先端が光り輝く。

 思った通りフルティンは神又は天使から加護の力を得ているらしい。

 フルティンとマルダス達は次々とアンデッドを倒していく、中々動きが良い歴戦の勇士のようだ。

 眺めていると横の脇のところに階段を見付ける。

 そこから、アンデッドがどんどん降りて来る。

 そして、しばらくすると降りて来るアンデッドはいなくなる。

 数はそんなに多くない。

 彼等だけで大丈夫だろう。


「よし! 行くよ! ティベル!」

「はい! クロキ様! ようやくあぶらっぽい人間とおさらばです~」


 ティベルが嬉しそうに言う。

 よほど嫌だったみたいだ。

 自分はすばやく扉を出て壁伝いに動き階段へと向かう。

 途中で幽鬼スペクターに追いかけられそうになるが、マルダスがそれを阻む。


「ありがとう」


 お礼を言うと自分は先へと進む。

 進む先には敵の気配は感じない。

 ウェンディ達はどこにいるのだろう?

 白頭巾からの情報ではかなり上の階のはずである。

 やがて先に進むと白頭巾の男が立っている場所へとたどり着く。

 その男の立つ扉の奥の部屋にウェンディ達がいるのだろう。


「うん? どうした?」

「眠れ」


 睡眠の魔法を使うと白頭巾は倒れる。

 そして、男が立っていた扉の中に入るとそこは広い部屋だった。

 綺麗な絨毯が敷き詰められ、天井は高い。

 その天井から何か巨大な鳥籠が吊り下げられている。


「誰だ? お前は?」


 部屋の中にいた白頭巾達がこちらを見る。

 数は3名。

 瞬殺できる数だ。

 自分とティベルは魔法を使うと白頭巾を眠らせる。

 そして、最後の白頭巾が倒れた時だった、頭上から声がする。


「ティベルちゃん! クロキさん!」


 顔を上げると鳥籠からウェンディが顔を出している。


「ウェンディ。助けに来た。ちょっと待ってて」


 部屋を見渡すと滑車を見付ける。

 それを操作して、鳥籠を降ろす。

 鳥籠が降りるとウェンディと子供達がこちらを見ている。

 すごく目がキラキラしている。

 鳥籠はそれ程丈夫にはできてなさそうだ。

 これなら、簡単に破れるだろう。

 鳥籠を破るとウェンディと子供達が飛び出して来る。


「ありがとうクロキさん! それにティベルちゃんも! 助けに来てくれたんだね!」


 ウェンディがティベルに飛びかかる。


「ちょ! なにするですか!」


 ティベルが慌てて逃げる。

 子ども達もティベルの所に行く。


「すごい! 小妖精フェアリーだ!」

「ホントだ! ホント!」

「すごい綺麗な羽だ~! ねえ! さわっても良い!」

「すごいやウェンディおねえちゃんの言っていた事は本当だったんだ」


 子ども達がはしゃぐ。ティベルはとても人気だ。

 綺麗な瑠璃色の羽がキラキラと粒子を落して飛ぶので、目を引かれる。

 子どもでもなくても見惚れるのも無理はない。

 それに対してティベルはとても嫌そうである。


「ちょっと! 寄るなですよ! チビ人間!」


 ティベルは飛ぶと自分の後ろに隠れる。

 残念そうな顔をする子ども達。

 しかし、ティベルが嫌がっている以上は無理に前に出す訳にもいかない。


「別に助けたくて助けたわけじゃないですよ!」


 ティベルがぷんすかと怒る。

 確かにティベルはウェンディを助けたいとは思っていなかった。

 自分に付き合わされただけだ。

 しかし、ウェンディにとってそんな事はどうでも良いみたいだ。


「でも、結局は助けに来てくれたんだよね。ありがとうティベルちゃん……」


 ウェンディの目から大粒の涙が零れる。

 それを見ると自分の心の中が暖かくなる。

 綺麗な光景だ。先程までおっさんの尻を見ていたのが嘘みたいだ。


「さて、ウェンディ。そろそろ脱出するよ。良いかい?」

「ぐすっ。はい……。逃げるよみんな! リリ。みんなをまとめて」

「わかったよウェンディ。よろしくねおじさん」

「えっ……。おじ……」


 おじさんと呼ばれて、ちょっと傷つく。

 まあ、これぐらいの歳の子なら自分はおじさんと呼ばれても仕方がないだろう。

 しかし、これぐらいで傷ついてはいられない。


「じゃあみんな。自分について来て」


 そう思って扉に向かおうとすると何者かが近づく気配を感じる。


小妖精使い(フェアリーテイマー)殿! ご無事ですか!?」


 入って来たのはフルティン達だ。マルダスとその仲間も一緒だ。

 アンデッドの数は多く無かった。

 全て倒して追いかけて来たのだろう。

 しかし、丁度良かった。


「良く来てくれましたフルティン殿。ここにいる子供達を逃がすのを協力してください」


 そう言うとフルティンは笑う。


「なるほど、そちらが吸血鬼に捕らわれていた子供達ですか。もちろん協力しますぞ。そうですなマルダス殿」

「ああ、もちろんだ。そうだろお前達」

「ああ、俺は子どもが好きなんだ」

「へへ、安心しな。こんな場所よりも良い所に連れて行ってやるぜ」

「ああ、おじさん達にまかせな」


 男前な表情をするおっさん達。

 それにしても、裸のおっさんと子どもが並ぶ光景は危険な何かを感じる。

 これが日本だったら、警察を呼ばなければならないと思う。


「さて、行こうか……」


 そう言った時だった。ティベルが突然羽を大きくバタつかせる。


「大変です~! 危険が近づいているです!」


 そして、次の瞬間だった。

 巨大な何かが窓から入って来る。


「きゃあああ!」

「なんだ!?」


 子ども達とおっさんが慌てる。

 煙が治まり、入って来た何かを見る。

 それは船の船首部分だ。


「ふふ……。どうやら間に会ったみたいね。逃げだそうだなんて、いけない子ども達ね」


 船の船首部分に誰かが立っている。

 その姿を見て背筋がぞわりとする。

 赤い豪華な衣装を纏った女性だ。

 ただし、眼が赤く輝き、左腕が大きく膨れ上がり、その指先は鉤爪のようになっている。


「ザファラーダ……」


 死神ザルキシスの娘、腐敗と疫病の女神ザファラーダがそこにいる。

 間に合わなかった。

 頬に冷や汗が流れるのを感じるのだった。

精神的なダメージを負う事があって、かなりきついです……。

もうダメかもしれません……。

そもそも、何でおっさんの尻を書いているのかわからない (´;ω;`)

誰か教えて下さい……。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 前半までは面白かった。 [気になる点] これまでは自衛のための戦いだったけど、 ザルキシスは危険だとかモデスを恨んでそうとかいうあいまいな理由で侵略&略奪していて、共感できない。しかも潜入…
[気になる点] 完結している小説に言ってもしょうがないのだが… 後半の下品度が高くて読むのがつらくなってきた。 エロも大事だと思うが、物語のエッセンスとしてだと思う。調味料過多の料理がうまいと感じるだ…
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