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暗黒騎士物語(なろう版)  作者: 根崎タケル
第6章 魔界の姫君
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魔姫双影Ⅰ

◆暗黒騎士クロキ


 クラ―ケンを獲り、自分達はアスピドケロンに乗ってナルゴルに戻る事にする。

 海は少し荒れているが巨大なアスピドケロンならば問題は無く、その甲羅の上にある館はあまり揺れていない。

 座椅子に座り、窓の外を見るとクラ―ケンが見える。

 クラ―ケンは巨大なので縄で結びアスピドケロンに引いて運ぶ事にしている。

 魔法で完全に凍らせているので流氷を運んでいるみたいだ。

 視線を館の中に戻すとポレンとプチナは相変わらず食べている。

 給仕をしているセルキーの男性達が忙しそうだ。

 ただ、ポレンの表情があんまり良く無いのが気になる。どういう事だろう。

 自分は膝の上にいるイヌラの頭を撫でる。

 するとイヌラが「きゅ~」っと可愛らしい鳴き声をあげる。

 イヌラはセルキーだ。しかし、まだ小さいので人の姿になる事は出来ない。

 そのため、アザラシの子供と変わらない。膝の上に置いているとぬいぐるみみたいで、とても可愛い。

 再び外を見る。


「あれ?」


 外を見た時だった。自分の指輪が反応する。

 クーナがこちらに向かって来ているみたいだ。もしかすると自分が帰って来るのが遅くて待ちきれなくなったのかもしれない。

 そして、こちらに来る速度が速い。

 おそらくグロリアスに乗って来ているのだろう。

 魔竜と呼ばれていたグロリアスは巨体であるにもかかわらず速く飛べる。

 すぐにこちらにたどり着くだろう。


「ごめんね。イヌラ。少し離れてくれるかな?」


 イヌラが少し悲しそうな顔をするが、構わず側に控えている女性セルキーに渡す。


「はい閣下」


 セルキーの女性はにこやかにイヌラを抱きかかえる。

 貝殻ビキニなので、すごく目のやり場にこまる。何とかだらしない顔になるのを防ぐ。


「どうしたのですかクロキ先生?」


 自分の外に出ようとする様子に気付いたポレンが声をかける。


「はい、ポレン殿下。どうやら自分の迎えが来たようです。ですから出迎えようと思います」


 そう言ってポレンに頭を下げると自分は館の出口へと行く。

 館の外に出て数分。巨大な影が海の向こうから飛んで来るのがわかる。


「クロキ!!!」


 グロリアスがたどり着くとクーナが飛び降りて自分に抱き着く。


「クーナ。どうしたの? 待ちきれなかったの?」


 そう聞くとクーナがこくんと頷く。

 その様子はとても可愛らしい。

 よっしゃ!!と心の中でガッツポーズをする。

 こんな可愛い子からこんな風に言ってもらえた事は今までにない。

 ぐへへへへへへへへへ。


「クロキが遅いから会いに来た」


 クーナの綺麗な瞳が自分を映す。

 やばい!!すごく、だらしのない顔をしている。

 気を引き締めないといけない。

 そんな事を考えているとグロリアスがアスピドケロンに着陸する。

 グロリアスは巨体だけどアスピドケロンに何とか乗る事が出来た。しかし、そのためにアスピドケロンがゆれる。側にいたオーク達の悲鳴が聞こえる。

 だけどグロリアスはそんな事など気にせず、自分に甘えるように頭を自分に寄せて来る。

 グロリアスも寂しかったみたいだ。


「ごめんね。グロリアス。良い子にしてたかい?」


 グロリアスの鼻を撫でる。

 するとグロリアスが嬉しそうに鳴く。

 こういう所はイヌラと変わらないなと思う。

 クーナと同じく、とても可愛い。

 再会を喜んでいると周りが騒がしい。

 どうやらクーナとグロリアスに驚いたリブルムの配下のリザードマンとエザサの配下が集まって来たみたいだ。

 リザードマンはリブルムと共にグロリアスに感嘆の表情を浮かべ、エザサの配下のオークの男達はクーナを見てだらしない表情をしてエザサに怒られている。

 まあ、クーナは可愛くてグロリアスはカッコ良いから気持ちはわかる。


「おおおおおおおおおおおお!!!!!」


 そして、リザードマンやオークとは別に驚く声が聞こえる。

 振り向くとそこにはポレンがいる。

 凄く驚いた表情で驚いている。その目が大きく開かれてこちらを見ている。

 見ている先にはクーナがいる。

 ポレンはクーナを見て驚いているようだ。

 その体が震えている。

 どうしたのだろう?しばらく動かない。

 やがて、口が動く。


「ク!!クロキ先生!! その、すっごい! エロカワ美少女は一体どなたですか―――?!!!」


 ポレンの叫び声がアスピドケロンに鳴り響いた。





◆魔界の姫ポレン


 もぐもぐ、はむはむ。

 私はセルキーの男性達が運ぶ料理を半ばやけになりながら口に入れる。

 結局クロキ先生にカッコ良く助けてもらえなかった。

 ぷーちゃんはカッコ良く助けてもらえて、さらにお姫様抱っこまでしてもらえた。

 とても羨ましい。

 なんで、私はこうもうまくいかないのだろう?


「はむはむ。これ美味しいのさ。殿下」


 その、ぷーちゃんは私の横でお魚にかぶりついている。

 美味しいのは確かだけど何だか納得がいかない。


「ぶう~。確かにそうだね……。ぷーちゃん……」


 私は少し不機嫌になりながらゆでた大海老を食べる。

 だけど、ぷーちゃんは食べるのに夢中で気付かないみたいだ。

 まあ良いけど。

 それも、これもクラ―ケンが弱いのが悪い!!!

 まさか、私が軽く叩いただけでやられるとは思わなかった。


「あの……。ポレン殿下……。どうかなさいました?」


 私が不機嫌なのに気付いたのかイヌルが怯えた表情で私に聞く。

 イヌルを初めとしたセルキーはクラ―ケンを退治した私を讃えるけど、同時に畏怖もしている。

 そのため、時々怯えた表情を見せる。

 私を喜ばせるために着ている衣装が貝殻だけになっているが、そんな顔をされたら楽しめないではないか!!!

 確かに私の力なら、軽くおさわりをしただけで骨を砕きかねない。

 だから、怖がるのも仕方がないのかもしれない。

 しかし、美形の殿方に怖がられるのは正直哀しい。

 やはり、私の相手をできるのはクロキ先生ぐらいなのかもしれない。

 そのクロキ先生は椅子にすわり膝にセルキーの子供を乗せている。

 兜を外しているのでその顔が良く見える。

 とても優しい表情でセルキーの子供を撫でている。

 黒い髪にから覗く瞳はとても穏やかだ。

 何だかすごく癒される。

 クロキ先生は魔法の映像で見た美形揃いのエリオスの男神達に比べると目立たない。

 しかし、目立たないだけで、その顔の造形は決して負けてはいない。

 それどころか優しさでは勝っているのではないだろうか?

 その顔を見ていると不純な気持ちを持っていたのが、だんだん恥ずかしくなってくる。

 うまくいかなかったけどまあ良いかなと思う。


「ぐへへへへへへへへ」


 おっと、よだれが出てきた。

 これではまるで、お母様と一緒に居る時のお父様みたいではないか。

 こんな所まで似たくない。

 そんな事を考えていると、突然先生が立ち上がる。

 先生は膝に抱いていたセルキーの子供をセルキーの女性に預けて外に出ようとする。

 セルキーの子供が悲しそうな声を出す。


「どうしたのですか? クロキ先生?」

「はい、ポレン殿下。どうやら自分の迎えが来たようです。ですから出迎えようと思います」


 そう言ってクロキ先生が私に頭を下げる。

 そして、そのまま館の出口へと歩いていく。


「おや?どうやら白銀の姫様が来たようなのさ」


 ぷーちゃんがクロキ先生の背中を見ながら言う。


「白銀の姫? 誰それ?ぷーちゃん?」


 私は首を傾げて聞く。


「それはもちろん。閣下の奥さんなのさ」

「えっ?!!」


 ぷーちゃんの爆弾発言に私は食べていた焼き蟹を落す。

 えっ?クロキ先生、奥さんがいたの?知らなかった……。

 ぷーちゃんの言葉が衝撃となって私の中を駆け巡る。


「どどどどどど?! どういう事なの?! ぷーちゃんんんん?!!!!!!」


 私はぷーちゃんに近づくと首を掴んでゆする。


「い!!痛いのさ! 殿下! 言ったとおりの意味なのさ!!」


 ちょっとゆすりすぎたのかぷーちゃんは目を回して動かなくなる。

 白銀の姫。一体どういう女性だろう?

 すごく気になる。

 私は館の中を考えながら歩く。


「きゃあああああああああああ!!!!!!!」


 突然セルキーの女性が悲鳴を上げる。

 窓から外を見ると巨大な漆黒の竜がアスピドケロンに迫っているのが見える。

 やばい。あの竜はクラ―ケンよりも強そうだ。

 私は大急ぎで館の出口へと向かう。

 出口にはエザサの配下のオーク達が大勢詰め寄せていて塞いでいる。

 これでは外に出られない。

 どうしようか迷っていると私に気付いたオークが道を空けるように促してくれる。

 私は館の外に出る。

 外に出ると巨大な竜がいる。

 竜は大人しくしていて攻撃の意志は感じられない。

 良く見ると竜の足元にクロキ先生がいるのが見える。

 そういえばクロキ先生は竜を乗騎にしているのだった。

 おそらく、この竜はクロキ先生の乗騎なのだろう。だから大人しいのだ。

 そして、クロキ先生と一緒に誰かいる。

 あの子が白銀の姫だろうか?


「おおおおおおおおおおおお!!!!!」


 思わず声が出る。

 クロキ先生が動いた時だった。

 私はそこで見てしまう。飛んでもない美少女を。

 私の声に驚いた白銀の髪の美少女が私の方を見る。

 とても綺麗な瞳だ。

 余りの格差に逃げ出したくなる。

 美しい白銀の髪に透けるような綺麗な肌。

 蒼と黒を基調にした衣装には宝石が散りばめられている。

 そして、その服の上からでもわかるぼん!!きゅん!!ばん!!な身体。

 また、腰の衣装の丈が短いためか、細く綺麗な足が出ている。

 その足は艶めかしくて、とてもエロかった。

 いや、足だけでは無い。存在自体がとてもエロい!!!

 これだけ美しい女性はお母様以来だ。

 これほどならばエリオスの女神にだって勝てるだろう。

 やはり、この美少女が白銀の姫なのだろうか?

 勝てねえ……。勝てねえよ……。おっかさん……。

 どうして?胸があんなに大きいのに、どうして?腰はあんなに細くいられるのか疑問に思う。

 私なんか体に凹凸が全く無いんだぞ!!どういう事なの?!!!

 そう思い自身の体を見る丸みを帯びた身体には胸どころかくびれなど全く無い。

 ちょっと涙が出てきた。

 今まで、だって綺麗な女の子はいた。

 だけど、私にこれほどの衝撃を与えた女の子はいない。

 おそらくクロキ先生が絡んでいるからかもしれない

 私もこんな美少女になりたい!!!!

 心の中に強い感情が芽生えて来るのを感じる。

 話をしてみたい。

 だからクロキ先生に紹介をしてもらいたい!!


「ク! クロキ先生! その、すっごい! エロカワ美少女は一体どなたですか――――?!!!」


 私の声がアスピドケロンに鳴り響いた。


長くなりそうだったので2分割にしました。

クーナとポレンの初の顔合わせになります。

ただ、今回はストーリーが全然進んでません……

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