<赤い森の長Ⅱ>
とりあえず、今回も長は登場しません。
「まず、俺の目的だが、知っての通り、姉さんを探しだして連れて帰ることだ。それともうひとつ、ユウカはたぶん知ってるだろうけど、ある人との約束を果たすことだ」
するとセンスが首をかしげた。
「約束?」
「ああ。無駄な意識による争いのない世界を見ること。邪神の、いない世界をつくることだ」
センスは小さくなるほどと頷くと、思い付いたように言った。
「そういえば、その邪神ってのはいったいなんなんだい? 前にも1度聞いたことがあったけど」
「そういえばまだ言ってなかったな。邪神ってのはだな、俺たちの知る歴史の裏にいるヤツのことだ。それとここからは俺の推測だが、かつて光と闇の均衡が破られたのはそいつの所為だと思う。その真実を知るためにも、俺は姉さんを探しだしたいんだ。姉さんは、俺にはない別の強い力を持っていたんだ。闇の意思でもなく、他のみんなの持ってるようなのでもない別の力を。きっと、姉さんに聞けば全てがわかる気がするんだ」
この話でどうやらセンスは納得が言ったようでまた小さく頷くと、今度はこれまた突飛なことを言い始めた。
「それとさエルナード、まだ言ってなかったけど、僕は1度このギルドに入ろうと思うんだ」
エルナードはカバのような大口を開けて唖然とした。その言葉は理解するにはとても時間のかかるもので、今すぐ「わかった」とはとてもいえないものだ。
「ナニイッテンノ? キミノギルドハ? アッチハドウスンノ?」
あまりのショックに片言に返すも、返ってきた答えはまたとんでも発言だった。
「《赤い森》は内戦の所為で解散になったんだ。まぁ、アリアの事だから、どうせすぐまた設立するだろうけどね。でもまぁ、おかげできっかけができた。これからしばらくよろしく頼むよ? 全てと決着がつくまでね」
はじめはギルド解散ということが信じられなかったが、センスが団長を名前で呼んでいるということは本当のことなのだろう。なんだか悪い事をしたと、エルナードは少々罪悪感に見舞われた。
それを見越したかのように、ユマが一言加える。
「あんまり気にしないでくださいね。私達はぜんぜん大丈夫ですから。それと、センスくんだけじゃなく、私達も協力しますので、ここに入らせてもらいますから、これからもよろしくお願いします」
礼儀正しくお辞儀をするユマを見て、エルナードはなんだか被害が拡大した気がした……。
そうしていると、扉が突然開き、ヘネスが乱入してきた。
「なんだよ集まってんなら俺も呼べよ。センスも起こしてくれりゃいいのによ?」
「いや、ヘネスは怪我もしているし起こしちゃ不味いかと思ってね」
ギルド占拠作戦にいち早く抵抗しやられてしまっていたヘネスだったが、まだ傷が完治したという様子はなく、左腕にも包帯がびっしりと隙間なく巻いてあったのでみな驚いた様子だった。1人以外は。
「まったくよぉ、センスはどうせ俺がもう見た目ほどの状態じゃないって気づいてたんだろ? 本当に、人のこと心配してなのかなにか考えてるのかわかんねえなぁ」
そんなヘネスの反応に、センスは苦笑していたのだった。
「それで、センス、そろそろ教えてくれないか?」
「そうだね。話すとしよう」
センスの出した条件はすでに了承したし、エルナードも知っていることを告白した。ことを知っているヘネスも来たし、これで舞台は整った。
センスは報せではなく会議になると宣言すると、進行役を買ってでて話を始めた。
「――というわけで、南の古城《アルフレット城》にいかなくちゃいけないんだ。それで、ここで問題なのが、あの古城許可ないとはいれないんだよね。こっそり侵入しようにも、最近妙に警備がしっかりしてる。――ところがねひとつだけ突破口があったんだよ。そこが目的地の依頼がひとつだけね。リノさんが見つけてくれたんだ。内容は、住み着いている幽霊の退治。――だけどね、この依頼、都合が良すぎるんだよ。一昨日来た依頼だし、その上報酬として情報をなんでもくれるっていうんだ。まず、罠だろうね。それでも行くかどうかは、エルナードが決めてくれ」
話の途中、リノが自慢げにどや顔していたのはスルーとして、どうするか、まっすぐ進むか、それとも回り道するのか、エルナードにとってかなり難しい質問だった。
「決める前にひとつ聞いておきたい。参加条件の人数は何人だ?」
「5人だよ?」
「そっか。ようするに、全員で来いってことだな。でも、やっぱり他のやつらに迷惑かけちまうな……」
さすがにセンスも呆れたのか、大きなため息を吐いた。
「もう遅いよ。すでに僕たちのことは知られてる。いつまでもそんなこと言ってないで、前へ進もう」
「そうだな。よし、行こう!」
エルナードが勢いよく椅子をたち上がり、すべてが決まった。
窓のそとでは小鳥がさえずり、爽やかな風が吹いていた。
なんか会話が多い…




