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<真実の心>

今回は久しぶりに戦闘無しの回です。

――――センス・リノサイド。

 霧の立ち込める薄暗く薄気味悪い下水道。そんな下水道も、ようやく終わりを迎えようとしていた。その所為か霧は徐々に晴れ始めていて、微かだが火薬の臭いもした。おそらく外ではユーリスやエルナード達が戦いを繰り広げているのだろう。

「さて、そろそろだ。リノさんは一応、レイピアを使えるようにしておいてくれ」

「はい。わかりました……」

「大丈夫。言いたくはないけど、おそらくここまで残ってるのはエルナードとユーリスくらいだろう。それにエルナードならもう剣なんて普通に振り回しているかもしれないしね?」

センスの言葉に落ち着いたリノは、ローブの中から細剣ブルーテイルを取り出し腰に納めた。

 そして、また一歩ずつ歩み始めたのだった――。

――――一方、エルナードサイドにて。

「ほとんど相討ち状態か……」

エルナードはレミネとの戦闘後、他の誘導グループのメンバーを探して森の中を徘徊していた。しかし、見つけても戦闘不能のものしかおらず、死人が出ていなかったのは不幸中の幸いというものだろう。

 いまだ見つかっていないのはあと一人だけなのだが、その人物がなかなか見つからないのだ。ちなみにその人物こそが現状で一番エルナードは心配しているのだが、探されている側はそんなことは露知らず、全く出てくる気配はなかった。

 まあ言ってしまえば、その最後の一人というのはユーリスなわけで、自分でエルナードのあとをついて回っているのだから見つかるはずがないのだ。

 これはただふざけているのではなく、ユーリスがエルナードという人間の本質を確かめようとしていたのだ。

 すでに十数分エルナードはユーリスを探し回っているが、とうの本人はまだエルナードと剣が割りきれずにいた。なぜ彼はあんなものを持っているのか? なぜ剣なのか? あの強さがあれば剣など使わなくてもいいではないか? ユーリスはエルナードのあとをつけながらそう考え続けていた。

「可笑しいな、確かにこの辺りのはずなんだけど……あっ、まさか、レミネに消されたとか!? センスにどう説明するんだよ! それとヘネスだって、なに言われるかわかんねえぞ。あーもう、ユーリスどこだー!」

 なにかとんでもないことをいいながら叫ぶエルナードに、少しあきれていた。やはりあのエルナードという人物は自分の思うような人間ではなく、もっと複雑な人間なのだとユーリスは思った。

 そして、茂みを出てエルナードと合流したのだった。

――――その時、センス・リノサイドでは。

「センスさんいよいよですね」

「ああ。このはしごを上れば、ギルド敷地内の庭に出る。そこは植物が生い茂ってるからすぐに見つかりはしないけど、おそらく団長の捕まってる部屋までいけば見つかってしまうだろう。だから、念のため武器はしっかりと持っててね」

「はい。わかりました」

 現在地はようやく下水道の目的地――ギルド地下秘密通路出口。もはや霧で視界が悪いということも無く、下手をすれば入り口よりも明るいのではないかと疑惑を持たざるを得ない状況だ。外から感じていた火薬の臭いもいっそう強くなっており、より気持ちが引き締められた。

 リノは内心エルナードと合流するのを心待ちにしており、少しそわそわしていた。センスはその反対で、あまりエルナードと会うのをよしとは思っていない。それはというと下水での戦闘の事で、リノに少しばかり無茶をさせてしまったと思っていたからだ。これがかなり大きいようで、先ほどからセンスは引き締まっていたはずの気持ちもいつの間にかどこか違うところへ言ってしまったようでリノ以上にそわそわそわそわしていた。

「どうした? 何そんなにそわそわしてんだよ?」

センスは背後からかけられた声にいろいろな意味で驚き、いまにも心臓が飛び出そうだった。噂をすればなんとやらってヤツだ。別に噂はしていなかったが。

 いやそれよりもなぜ隠れていたはずなのにすぐに見つけられたかの方が心配だった。簡単に見つけられるようならばおそらくすぐに敵にも見つかって……ん? あたりを見渡したセンスの目に映ったのはあまり信じがたい事実だった。なんとエルナードがギルド敷地内の敵兵を全滅させていたのだ。しかもその上、エルナードがこちらを見つけたのではなく、リノがエルナードを見つけて呼んだようだ。おい、そんな調子で大丈夫なのかい?! センスはその心の叫びを必死に抑えつつ、エルナードに聞くのだった。

「こんな騒いでるけど、これ絶対敵のボス知ってるよね? もしこれで団長殺されてたらどうすんの!?」

「ああ、そのことなら大丈夫だ。敵の狙いはそこで打っ倒れてるリノとこの俺だ」

「どうしてそんなことがってどうしてリノさんは倒れてるんだい?」

「くっついてきたから殴った」

エルナードは右のこぶしを軽く上げ言った。

「ひどい事するね。弟子なんじゃないの?」

「弟子は認めたが彼女なんていいわけないだろ」

「それもそうだね」

と、ここで完全に空気から忘れ去られた人物が1人、前へ出てきた。

「こんなのんびりしてるけど本当に大丈夫なのか?」

「おっユーリス無事だったのかい。よかった。でもやっぱり他のメンバーは……」

「大丈夫、みんな生きてる」

「よかった。こっちも皆生きてるよ」

センスは本当にほっとしているようで、体の力が抜けたのか赤子のようにスッと膝をつき安堵の息をついた。

「それと、センス、1つ訊きたい事がある」

「わかってる。エルナードの事だね。見れば分かるよ」

ユーリスの用件はこの状況なら誰もが考え付くものだった。なぜならエルナードが当たり前のように長剣を手にしているからだ。まぁ、彼からすれば当たり前なのだが。

「でも、悪いけど今説明している時間は無い。ここは僕に免じて後回しにしてもらえないかな?」

「……わかった。俺もどうこう言いたいわけじゃないしな」

「ありがとう」

 これで、ある程度の話はついた。ギルドの敷地内にも無事進入したし――結局エルナードが敵倒したから下水使う必要は無かったのだけれど――と、とりあえず、あとは建物内に進入して団長を救出するだけとなったのだ。

 エルナードの言う敵の狙いについての詳しい話は移動と共にするということで済ました。

 もうじき事が終わる。

 そう感じながら、4人は裏口玄関目指して歩き始めた。

文章って難しい;

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