<アリアとの記憶>
今回は回想で伏線っぽいです。かね?
――センス・リノサイド。
「センスさん、関係ないことだけどいいですか?」
「なんだい?」
「どうして、センスさんはギルドに入ったんですか? 団長さんってどんな人なんですか?」
リノの質問に一度足を止めるが、センスは口許を緩めて過去を語り始めた。
「そうだね、これは、何年だろうね、多分3年前かな? あの日から、僕らの旅が始まったんだっけ――――」
そう、あれは今から3年前のことだ。
でもその前に、ヘネスのことをはなそうか。あいつは、もともと僕の幼馴染みでね、昔からよく遊んだり、ともに悩んだり、喧嘩もしたりしていたんだ。
誰にでも突っ掛かるイガイガしたようなやつだけど、あれはあれで以外と頑張ってる方なんだよ。昔のあいつは今とは正反対で、いつももじもじしていて、何を言われてもすぐにおどおどし始めるようなやつだった――。
「――ヘネス、君はもうちょっと抵抗するとか、せめて言い返すでもいいから何かした方がいいよ?」
「いや、でも、俺にはなに言ったってダメだなんだよ。……センスは強いね」
「強くなんてないよ……」
そういって、僕が苦笑いをする。それが、あの頃の僕らの姿だった。
そんなある日にね、とある人物が現れたんだ。僕らの生まれた町はなんの特産品もなくて、人なんて滅多に来ないから、物珍しくて僕らも見に行ったんだ。
でも、それは失敗だった。現れた人物は合成獣だったんだ。
「ヘネス急げ、急いで家に戻って家族に危険を知らせるんだ」
「ああ、行こう」
そうして、僕らは家に向かったんだ。でも、遅かった。
僕らがつくよりも早く、合成獣が襲いにいっていたんだ。とても悲惨だったよ。家はほとんど崩れていて、それでいてどこにも血がなくて、どこにも生きる気配が感じられなかった。かなり不気味でもあった。
「ヘネス、武器をとれ。少しでも多くの人間を逃がそう」
「うん」
その時現れたのが、団長アリア=ロクシリエだ。彼女は僕らの行動を見ていたらしく、それを見て声をかけてきたんだ。
「止めときな。あんた達はあのキメラに勝てるとでも思ってるのかい?」
「何が言いたいんですか?」
「君たちの行動はただの無謀だといっているんだ。そんなこと、誰も望んでいないぞ? 無駄に命を捨てるなんて、バカのすることだ」
アリアは小バカにでもするような顔だった。
「なんだと!」
「まあそう怒るな、どうしても死に行くというなら止めはしないよ。ただ、自分達の意思が大事なら、私に依頼したという形にするといい。私はとあるギルドのものだ。君たち自身が私に依頼し、そしてそれを見届ければ、君たちの意思がきっと届くだろう」
あのとき僕は思ったんだ。いま何ができるのだろうかとね。アリアのいう通り、おそらくいったところで死ぬだけだ。だから、決めたんだ。いまをアリアに託して、未来で自ら救う。
「わかった。キメラ討伐を依頼したい」
「いいわよ。報酬は?」
「俺たちの、命」
「随分と面倒くさいものを押し付けてくれるわね。いいわ。やりましょう」
僕はいまでもあのときの希望と失望を覚えているよ。
その後、アリアは驚くべき早さであの合成獣を倒しちゃったんだ。しかも、その辺のちっぽけな魔宝石で普通じゃあり得ないような力を発揮していたんだ。本当に驚いたよ。エルナードの剣技を見たときもそうだったけど、人知を越えているようにも思えた。 それから僕らは、アリアについていってギルドにはいったんだ。そのあとも頑張って強くなった。
思えば、今こそが恩返しのときなのかもしれないね。
「すごい人なんですね団長さんって」
「ああ。本当に尊敬してる」
センスはにわかに微笑みながらそう言った。
この暗闇の向こう、絶対に助け出して見せる。先に戦ったヘネスのためにも、過去に誓った未来のためにも――――。
最近は絵を描くのも楽しくて……――。




