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<炎風の旋槍Ⅱ>

ドラゴン戦の続きです。

あと、タイトル変えました。自分でもなんかよく分からなかったので。

「行くぞ……!」

「了解!」

エルナードの掛け声により、反撃が開始した。サンダーボルト・ドラゴンもどうやら麻痺状態から抜け出した様子で、翼を広げてゆっくりと羽ばたいていた。

 今度は一体何をする気だ。まさか空中からブレスなんてことはないよな。あんなのが上から来たら避けられない。いや、落ち着け、落ち着くんだ。

 エルナードは焦る気持ちを抑えながら、手に握られたシルバークロスをぎゅっと握り、前へ向かって駆けた。センスも、それに倣って地面を蹴る。

 サンダーボルト・ドラゴンはエルナード達が行動を開始したのを1目、1度空高く急上昇したかと思うと、すぐさま急降下した。その軌道からターゲットはエルナードだと見て取れる。それを迎え撃つかのように、エルナードは剣先を後ろへ向け体を右へひねる――――エルナード流居合いの構えだ。

「止まれっ!!」

エルナードは迫るサンダーボルト・ドラゴンに《エアロ・ブースト》で加速させた剣をぶつけた。

 両者が触れたその瞬間、激しい火花を散らすと共に、一瞬の時が過ぎると共に、激しい轟音が鳴り響き一筋の閃光が落ちた。サンダーボルト・ドラゴンの《カウンター・ボルト》、ドラゴンには基本、通常の魔物や人間には見ないずば抜けた能力エクストラスキルというものがあるのだ。今の場合は、ドラゴンの操る属性に対応した《カウンタースキル》。エルナードに、サンダーボルト・ドラゴンの持つ雷に対応したカウンターが襲い掛かったのだ。

 全身を駆ける雷、感覚の無い四肢、焼けるような痛み。目を点にして体を倒したエルナードにはその全てが襲い掛かっていた。冷静な判断力も失われ、今何が起きたのかもよく分からない。ただ頭にあるものは、ギルドの敵を討つことのみ。

「エルナード!!」

 はるか後方からセンスの声がした。それはどんどん近づき、すぐに耳元までたどり着いた。

「エルナード、しっかりしろ! おい、聞こえてるか!」

センスは倒れたエルナードの体を起こし、肩をつかんで強く揺さぶった。そして、エルナードは自分を揺さぶるセンスの腕をつかんだ。

「聞こえてるよ。おかげ様でな……」

 どこか苦しそうな声だが、先ほどより意識ははっきりしていた。センスが揺すぶったことで、体中に程よく血液がまわり、意識も体もよくなってきているのだ。

「悪いな、おかげで手足の感覚も戻ってきたよ」

「よかった。んでも、あいつに触れるだけでもこっちがやられるなんて、一体どうすればいいんだ?」

「それなんだけどさ、触れなきゃ、エクストラスキルは発動しないんじゃないのか?」

 エルナードの言うとおり、サンダーボルト・ドラゴンのエクストラスキル《カウンター・ボルト》は、触れなければ発動はしない。

「でも、遠距離攻撃なんて、僕のスキルでも大した威力は期待できない。それに、この気候じゃあ……」

 今、サンダーボルト・ドラゴンの影響によるものか、天候は荒々しくなっていた。空は雲に覆われ、風が吹いている。センスの炎では、たちまち弱くなってしまうだろう。

「おいおい、忘れたのか? 俺は風の魔力をもってるんだぜ? こんな風、わけないさ」

「僕と君で《コンビネーションスキル》でもやろうっていうのかい? しかも、何の打ち合わせもなしに?」

「打ち合わせなら今すればいいだろ?」

「無理だ! そんなこと簡単にできるわけが……」

「何を今更、お前、前に言ってたよな? 俺の実力を見たいって」

「ああ……」

「だったら、今がその時だ。俺の力を見せてやる。だから、お前はその力を信じて、俺に力を貸してくれ」

 一瞬の沈黙の後、センスの表情が緩んだ。

「わかった。君を信じよう。どの道それしかないようだしね」

「そういうこった」

 エルナードはセンスに肩を借り、ゆっくりと立ち上がった。

「チャンスは1回だ。あいつがブレスを放った直後に撃つ。リミッターは解除しろ。全魔力を使って、一撃で仕留めるんだ」

「うしろへ行ったブレスはどうするんだい? このまま行けば町が破壊される」

「大丈夫だ。うしろで俺の優秀な弟子が守ってる」

 その言葉を聞き後ろを振り向くと、そこにはリノが魔法スキルでシールドを張っているのが見えた。

「あんな事できるんだリノちゃん」

「だな……」

 少しの会話の後、気付けば再びサンダーボルト・ドラゴンははるか上空から急降下していた。ターゲットはまたしてもエルナード、しかし、エルナードも同じ轍はふまない。攻撃は冷静に回避し、すれ違いざまに強い風の魔力をぶつけた。しかしやはりと言うべきか、雷の魔力の前にあっけなく風の魔力はかき消されてしまい、ダメージを与えることはできなかった。その後も攻撃は来たが、回避が難しいものは無く、難なくかわせた。

 そうしてついにその時は訪れた。

 サンダーボルト・ドラゴンが大きく両翼を広げ、大口を開けた。その行動にエルナードとセンスは背後でリノがシールドを張っている事を確認し、回避のタイミングを見計らっていた。速すぎればブレスの軌道が変わり、遅すぎれば当たってしまうからだ。

「いまだ!」

 ブレスが撃たれた瞬間、2人同時に左右へと回避した。そして、ブレスはリノのシールドに直撃。しかし今は安否の確認はできない。今はただ、リノを信じるしかない。

 エルナードは風の魔力を、センスは炎の魔力を最大まで解き放つ。

「タイミング合わせろよ」

「わかってるさ」

「……行くぞっ!」

 エルナードはセンスの槍の向く正面に風の渦を展開させサンダーボルト・ドラゴンまでの道を作る。それにそわせ、センスは炎の槍を解き放つ。

 狙いは頭部。この一転に全てを賭ける。

「行けセンス!」

「はああああぁぁぁ!!!」

 ひと時の間風が止み、2人の重なる声が響いた。

「「《ウィンドリ・エクスプロージョン》!!」」

 すさまじい轟音と鋭い風音とともに、激しい閃光が当たりいったいを包み込んだ。鳥は一斉に空へ飛び、人々は目を覆った。

 光が去り、目を開いたリノの目に初めに映ったものは、ごうごうと立つ黒々とした爆炎から出て来るセンスとエルナードだった。

「師匠! センスさん! よくご無事で。よかったです。あのドラゴンを、倒したんですね!」

リノはあまりの喜びに疲れを忘れ、2人の許まで駆けるとこれでもかと言うほど飛び跳ねた。

「いや、そうとは言えないね。倒しはしたけど、《アレ》はドラゴンじゃなく、《ゴーレム》だった……」

「え? どういうことですか?」

「いや、詳しい話は後にしよう。今はとりあえず、みんなの手当てをしないと」

「あ、そうでした。速く皆さんの傷を手当しないとっ!」

 そういって大慌てで元いた場所へ戻るリノを、センスはエルナードに肩を貸しながら苦笑いで見ていた。

終わり方が微妙なのはもうどうしようもない事実です。

悪あがきはしません……。

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