<赤と影の刺客Ⅰ>
今回はいくつか新スキルが登場しました。
設定書くのだるいです;……すいません
「お前が相手か? まぁ、順番が変ったところで、結果は変らんがな」
レミネは余裕の表情でそう言った。
「そんな強気でいられるのも今のうちだぜ?」
「ほう、威勢のいいガキだ。貴様、名はなんと言う?」
「俺の名はエルナード=グロウエル。《片翼》だ!」
自分から《片翼》を名乗るのはなかなかないことだが、今はこの方が効果的かもしれない。まぁ、この程度で引き下がる相手なら苦労はないのだが。
勢いよく前進した俺に対し、レミネは背負っていた大盾を構えて防御する。そこに剣で何発もの連続攻撃を加えるが、その大きな盾に全て弾かれてしまう。右へ移動しても左へ移動しても鋼鎧を纏っているとは思えないような俊敏さで盾を動かし攻撃を始まれてしまう。もう何発の攻撃を加えたか分からないがこの調子で長期戦となれば、ギャラリーの出てくる可能性も増し、またこちらの消耗の激しさゆえに下手をすれば敗北しかねない。
「――となれば、魔法を使うしかないか」
全力を出すとは言ったものの、あまり魔法は使いたくなかったのだ。まぁ、当然闇の魔力は使わないが。
とりあえず、まずは大盾を退けるのが最優先だ。今のまま攻撃をしていてもこちらの体力を消耗するだけだからな。
俺は風の魔法を発動させ、剣を振り下ろす速度を上げるブーストとして利用した。スキル《エアロブースト》。魔法により生まれた風が剣を押し出し威力を上げる。これは俺のオリジナルスキルの1つだ。
普通だったらブレスレットか何かに魔宝石をつけるかしないといけないのだが、それではどうしても大きなものは付けられないし、威力が落ちてしまうのだ。よって、誰も考案しても公表はしない。
それに比べ俺の場合は魔法を使うのに魔宝石を使用しないから、安定した威力で発動できるというわけ。
《エアロブースト》によって威力を増した攻撃はレミネを押し、ついにはその大きな盾を退けた。
「なにっ!?」
そして、俺は下に降りた剣を思い切り振り上げた。斬るとまではいかなかったが、レミネの装甲を確実に傷つけた。
攻撃が来る前に即座に後退すると、レミネは大盾を投げ捨て右手だけではなく左手にまでも槍を持った。
「ふん。なかなかやるようだな。俺も無傷と言うわけにはいかなそうだ。こちらも本気で行かせてもらう」
そういうと、レミネはその図体からはとても想像できない速度で接近した。この間合いまで侵入してきた敵はいつ振りだろうか。そしてなにより、移動前に一瞬視界がフラッシュしたようなのが気になる。気の所為かどうかはいいとして、レミネの加速におそらく関与しているのだろう。ヘネスがヤツを"炎塵"と呼んでいたことから火の魔力を持っていることは分かるが、ブーストスキルであんなのは見たことがない。やつのオリジナルか?
「このっ、ちょこまかと」
先ほどから俺は迫り来る2つの大槍を避けている。レミネの移動速度は速いが、それ以前に攻撃速度が遅い。これなら当たる事はないだろう。そして問題なのが、あの強固な装甲をどう破るかだ。闇の魔力を使えば容易かもしれないが、この場でアレを使うのはいろいろ不味い。
大技がないわけでもないが、あのスキルは隙がでかい。確実に当てられないとダメだ。そのためにはまずはこいつを止めないといけない。いや、待てよ? こいつ脳筋っぽいから、距離を開けていれば突っ込んでくるかもしれない。よし、やろう。そうしよう!
となればまずは魔法を発動させる下準備をしなければならない。俺の大技スキル《ウィンドリ・テンペスト》はその規模にもよるが、効果範囲を囲むようにして自分が魔力を散らばせなければならない。
と言うわけで、今から攻撃を交わしながら効果範囲の設定をする。
「ええい小賢しい! 潔く当たれ!」
「そんなとろい攻撃に当たるやつなんていないぜ?」
「なんだと!? このガキ言わせておけば!」
うわー。筋金入りの脳筋だったよ。計画とか言ってるから少しは頭が回るかと思ったのに、これなら技を当てるのは楽勝だな……。
俺は攻撃をうまくかわしながら右へ左へと、感づかれないように五芒星を描くようにして、自分で決めた円周上へと少しずつ魔力を散らばせた。
そして、その円の中心点へ。
「こうなったら、貴様に目に物を見せてくれる!」
「残念もう見せられそうにないぜ? ここが、中心だ」
「なに?」
俺はレミネが中心に入った時点で後退を止め、再び剣の柄を力強く握り締めた。
「《ウィンドリ・テンペスト》……!!」
刹那、思い描いた円周から突如として風が集まり中心点へ――レミネへと集まった。そして、集合地点――中心点でそれは暴風と変り、軽々とレミネを打ち上げた。
「な、なんだこれは!?」
「さぁ、これでフィニッシュだ……!」
センスには息の根を止めてはいけないと言われてるからな。俺は剣を鞘にしまい、そして、暴風にもみくちゃにされ落下するレミネを1薙ぎした。
先程までが嘘だったかのように風は止み、中央広場を囲むように並ぶ支柱に叩きつけられたレミネを1目見、センスたちのほうを見た。
「終わったぞ」
「お疲れ。やっぱり強いねー。ますます興味が湧いたよ」
「おいおい……」
この後、気を失ったレミネの武器を奪い、両手を縛ってから総合ギルドの管理人に引渡し、事情を説明しと、いろいろと大変だったのは、またその内気が向いたらと言うことで。
エルエスを騒がせていた亡霊、同じ力を持つ少女リノとの出会い、神のお告げ。この時歯車が動き始めていたのを、この時の俺は知る由もなかった。
また見に来てください。
ありがとうございました。




