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<3日目の戦いⅠ>

 6つ目の夜から2日が過ぎた。今日はクラリスの光が強く、涼しげな風が草木を揺らしている。

 時刻はおよそ午後2時。エルエスで新調したコンパスと時計で確認した。

 俺が先頭を務め、後ろにリノ、そしてその後ろにはヘネスがあるいている。

「どうして俺まで付き合わされなきゃなんねえんだ?」

「それはお前がリノと亡霊のこと知っちゃったからだ」

「こんなことならそと出るんじゃなかったな〜」

自分の行動に少々呆れながら、ヘネスはとぼとぼと歩いた。

「自業自得だ」

 センスの興味を打ち消し、説得するのには苦労した。なんと言ってもついてくると言うのだから。終いには話を聞かせると約束させてしまった。何をどう話せばいいものか……。

「師匠、今日は最終日だけど、なにするんですか?」

 俺からまだ話を聞いてないリノが少々戸惑いながらついてくるのを横目に見ながら、俺は説明をすることにした。足取りを少し緩め体を回して後ろを向く。

「今日は2日の特訓の成果をお披露目だ。ヘネスにな」

「な、なんで俺に!」

「リノ1人じゃとても1人じゃ勝てないからだ。リノには悪いが、どう考えても剣才がない。3日でどうにかするのは無理だ」

そう言い切ると、リノはひどく落ち込み黙りこんでしまった。

「そんなに落ち込むな。この剣が終わってもお前の師匠を務めてやるから」

「ほ、ほんとうですか!?」

「あ、あぁ。本当だ」

大きく詰め寄るリノに情けない声で応答しつつ足を進めた。

 今回の目的地は以前レス・シェアキャットを討伐したとき訪れた森だ。目的は1人で受けるはずだったレインファング複数討伐依頼の遂行だ。もちろん、その事は俺しか知らない。

 基本的にはリノに戦ってもらい、ヘネスには回復をさせ、俺は全体の様子を見て対峙する。といった感じだ。

 ヘネスには回復を頼むとだけ伝えており、街を出る前に新しいメイスを買った。今回買ったメイスは以前ヘネスが使っていたような攻撃を併用できるようなものではなく、治癒魔導師専用のふんだんに魔宝石を使ったメイスだ。少し高い所為か、タダで手に入れた彼はそこそこ上機嫌といった具合だ。買ったのはもちろん俺だが。

 森のなかである所為か、足場があまりよくなく先程から後ろから疲れの混じった荒い吐息の音が聞こえていた。

 川によって湿った土から来る水っ気によって湿った靴が、ぐちゅぐちゅと気持ちの悪い音を発てて気分を悪くさせる。

「師匠〜。足元気持ち悪ーい」

「黙れ、このくらい我慢しろ」

 こんな他愛ない会話でも、回数を増す毎にストレスになるというのはよくあることで、今がまさにそうだった。

「師匠〜、ブーツが泥まみれです――」

「うるっさいなお前は全く、少しは黙って足を動かせ!」

 俺がいきなり怒鳴ったのが効いたのか、唖然として黙りこんでしまった。 しかしお陰で足取りは順調になった。目的の区域まではあとわずかだ。

 迷わぬよう川沿いを歩き続けてはや1時間、ようやく拠点となるちょっとした広間に到着した。

「ここで今日は野宿になるのか?」

「うーん。このままだと、そうなるかな?」

「お前のその荷物はそれを見据えてのものだろ?」

「うーん。そうだな」

 いくつもの木で囲まれた少ない空間に小鳥のさえずりとそばを流れる川から来る水流の爽やかな音が響いている。

 地面はやはり少し湿っていて、足跡が軽く残る。これは防水性シートを敷いた方がいいかもしれないな。

 拠点の設置もとい準備を進めつつ、作戦の説明と今回の依頼内容の確認をする。

 俺は腰をバッグに落ち着かせ、ここ周辺の地図と、エルエスの総合ギルドで受け取った依頼書を丸太の上に広げた。

「それじゃ、まずは依頼書を見せる。これね。内容は最近山から降りてきたっていうレインファングの複数討伐だ……んで、依頼完了ってわけ」

「レ、レインファングですか!? しかもそれを私1人で!? む、無理ですよ、レインファングって中級の魔獣じゃないですか!? それを1人でしかも複数って、私死んじゃいますよ!」

「大丈夫だ。ヘネスが回復してくれるはずだ」

「えぇ……」

 リノからするとレインファングは相当のものらしくかなり拒否された。しかし、そんなものは知らん!

 時刻は午後4時。足音を忍ばせつつ、森のなかを詮索している。並びは行きと変わらず、俺が先頭を歩いている。

 薄暗くなった森の中は視界が悪く、俺は山育ちだから見えるとして、その他2名にとっては少々辛い状況だ。

「師匠、なんか妙に静かじゃありません?」

 確かに、少し静かすぎる気がする。7日続いた夜の余韻があるとはいえ、まるで死んでいるかのように生き物が動く気配がしない。

 そう思った刹那、前方の茂みが揺れた。

「気の所為だったみたいだな」

「そうだな〜」

 俺たちは落とされようとする火蓋に備え、ここに武器を構えた。

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