第2話 仲間
カイとリョウの過去。秘密を知ったリョウがカイにとった態度は…
カイの秘密を知った後輩達は、誰も口にしないまま、今日はカイの家に泊まった。
カイの家の人が、布団を用意してくれた。
布団の中で後輩達とリョウは話をしていた。
「しかし、驚いたよ。カイ兄が、あの青龍会の跡継ぎだったなんてさ。
かっこいいけど…少し怖いかな」
ワタルは、胸の内を言った。
それもそのはずだ。今まで、何も変わらなかったカイが、急に極道の人です。と言われたら、普通の人は怖がってしまう。
リョウは、ゆっくり口を開いた。
「カイは、この事を悩んでいたんだ。お前らに知られたら、怖がって話をしなくなる。だから、秘密にしていた。」
後輩達は、少し考え、た〜け〜が話した
「リョウさんは、ずっとカイ兄と一緒でしたよね?昔はどんなでした?」
後輩達は興味津々に聞いた。
「カイとは、小学校からだからな。
俺も初めて知った時は、引いたよ。誰もカイに近づかなかった!
でも、ある日さ、こんな事があったんだ。」
カイの家の事を知った時の事を話した。
あの日、リョウとタカシ、そしてカイの同級生たちは秘密を知った。
「嘘だろ?お前が、青龍会の跡継ぎだなんて…」
カイの同級生のカズキは、驚いた。
「ゴメン。騙してるつもりはなかったんだ。」
カイは泣きそうな顔でみんなを見た。
「つもりはなくても、俺らをどうするつもりだったんだよ。今まで、普通の友達として接してきたが、正直に極道のものとは関わりたくない。
これ以上、俺らに近寄らないでくれ。」
リョウは、いつ何が起きるかわからず、怖がっていた。
カイは、黙ったまま立ち去った。
それから2ヶ月になっても、誰も近寄らなかった。
そんな時、カイの異変に気づいた青龍会では、カイを傷つける奴は敵と思い、リョウ達を狙っていた。
「てめ〜ら、若に何を言ったんだよ。
我々を敵に回すとは、たいした根性だな。」
数人の極道の奴らに囲まれながら、リョウ達は震えていた。
「覚悟は出来てるだろうな」
青龍会の奴らが、リョウ達を殴りつけようとした。
その時、
「何をやってんだよ!!」
カイが現れ止めた。
「カイ…」
「若…」
ひとまず、青龍会のみんなは落ち着いた。
「こいつらは、もう俺とは関係ないんだ。」
カイは必死で止めていた。
「しかし、若…
我々の事は、知られてはいけない!秘密を知って、若を苦しめるなら、青龍会の敵だと…」
「一般人を傷つけるなと、言ったはずだ」
カイは青龍会の奴らを睨んだ。
すると、一番後ろにいた小早川は前に出てきて、
「お言葉ですが若…では、若も今は敵だと思ってもいいのですね?
」
カイは黙った。青龍会と対立する事は、掟を破るという事だからだ。
「若…今ここで言ってください。
我々青龍会と一般人、どちらにつくんですか?
青龍会を選ぶなら、ひとまず引きます。しかし、一般人を選ぶなら、いくら若でも許しません。」
カイは黙った。
後ろで聞いていたリョウ達は、
(どうせ、俺らの事は選ばないな。そうした方がカイのためだしな)
そう誰もが思っていた。
「俺は…こいつらを選ぶ」
誰もが驚いた。
「バカかお前…青龍会を敵に回す事になるんだぞ?」
タカシは叫んだ。
「わかるよ。でも、どんなになっても、俺はみんなを裏切らない。俺ら仲間じゃねぇか。
俺の大切な仲間じゃねぇかよ」
泣きながらカイは言った。
「若…こいつらは、若を傷つけたんですよ。極道の跡継ぎとわかった瞬間に仲間の縁は切れたんですよ?」
「それでもいい…俺は俺が仲間だとおもい続けるかぎり、仲間なんだよ!」
カイは叫んだ。周りのみんなは黙った。
「わかりました。我々は若の敵になります…
と言いたいんですが、止めました。若は、仲間を持って幸せなら十分です」
そう小早川が言うと、青龍会の奴らは去っていった。
安心したかのように、リョウ達は腰掛けた。
「ゴメン。また迷惑かけたね。」
カイは離れようとしたら、
「ったく、マジにバカだよな。」
リョウがカイに向け言った。
カイが後ろを向くと
「本当にバカだよな。チビでバカでドジで…」「そんな奴をほっとけねぇよ。」
カイはまた泣き出した。
そして現在。
後輩達は話を静かに聞いていた。
「あいつバカだよな。いつも自分が辛いくせに人のためになやんでさ。
子供っぽいカイ…
ドジなカイ…
それもカイなんだけどよ。
本当のカイは、寂しがり屋で甘えん坊で、世界を敵に回しても仲間を大事にする、カイだ。
あの時、泣きながら仲間だと言ったカイが本当の姿だと思うよ。」
後輩達は、何も話さない内に寝た。
次の日、朝食を食べていると、
た〜け〜が
「カイ兄、俺らカイ兄とは今まで通りにするからさ。
カイ兄はカイ兄だし」
そう言った。
カイは思わずにやけて、
「お前ら、愛してるぞ〜」
そう叫びながら抱きついた。
バカでドジで子供っぽいカイ。
今の仲間を大切にすると心に決めた