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第一話 秘密

登場人物などは、実際のものとは一切関係ありません

五年前…

一つの極道集団と一つの極道集団が対立した。

一般人も巻き込み、警察や自衛隊など出動した。

人々は、『極道大戦争』と呼び、毎日恐怖に怯えていた。

死者や重傷者も出た。

誰もが、諦めていた時、突然戦争は終わった。

1人の少年の手により2ヶ月も続いた悪夢は幕を閉じた。


その少年の事は、どこの誰なのかわからない。


それから、五年後人々は極道大戦争の記憶は薄れ、平和な日を送っていた…




「おっせ〜なぁ。」

「このままじゃ、遅刻決定だね」

朝早く、学校へ行くために毎日電車に乗ってる二人がいる。

髪は坊主頭で、体はがっちりして、周りからは怖いと言われてるリョウ。

顔はイケメンで体も筋肉が目立つ、スポーツ万能なタカシ。この二人は、市内の高校に通ってる高校二年生だ。

「カイ兄は、まだ来てないの?」

見た目は中学生っぽい可愛らしい男の子は、ョウ達よりも一個下のワタル。


電車が出発しようとすると、1人の少年が走り込んで来た。ドアが閉まりかけた瞬間に滑り込み、ギリギリ間に合った。

「ふ〜、危ない危ない。」

制服をボロボロにしながらも走り込んで来たのは、カイ。

小柄で、高校生には見えないほどガキっぽかった。

「ったく、毎日、ギリギリで来てきつくないのかよ」

リョウは、カイに厳しく言った。

「だって、しょうがないじゃん。家遠いもん」

ほっぺを膨らましながら、カイは制服についた埃を払った。

毎日、そんなやり取りをしていた。


カイの仲間は、今時の若者って感じの連中だ。

喫煙、タバコはもちろん、ケンカなどもしていた。

したがって、悪い目で見てる奴らもいた。


しかし、そんな事は関係なく楽しく暮らしていた。


学校に着き、カイ達は仲間達と楽しく過ごした。

放課後、カイ達は駅のたまり場へ行った。

たまり場には、後輩達が何やら話をしていた。

「何を話してるんだ?」

リョウが後輩達に聞いた。

「リョウさん。お疲れ様です」

後輩達は、リョウを恐れているのか丁寧に挨拶した。

「また、みんなで楽しい事を相談していたでしょう?俺たちも混ぜて」

「うざいよ。カイに話しても、疲れるだけだからね」

カイは後輩には、普通に接しられていた。

それもそうだ。

後輩から見ても、子供っぽく、頼りがないからだ。

カイも、堅苦しい敬語よりか同級生感覚で接した方が、嬉しかったから何も言わない。

でも、実は後輩達は、みんなカイが大好きだった。

怒らないし、面倒見もいいし、何より後輩には優しかった。だから、口では変な事言うけど、カイには隠し事はしなかった。

「で、何だ?」

タカシが聞いた。

「実は、ここ最近、と〜も〜の様子が変なんです。俺たちとは喋らずに、避けてるみたいで、噂によると、最近暴走しまくってる『ブラックゴッド』とか言う、暴走族に入ってるみたいで…」

説明してるのは、た〜け〜と言う後輩だ。後輩の中でも中心的な存在だ。


「ブラックゴッド?変な名前。」

「なんでも、ここ最近出来たばっかりらしいんだけど、裏でヤクザがバックに付いてるからと、盗みや暴走しまくってるみたい。」

た〜け〜は、カイやリョウに説明した。そんなやりとりをしてると、カイ達が乗る電車が来た。

電車に乗ろうとすると、リョウがカイに話しかけてきた。

「で?どう思う?」

「ん〜わからない。まっ、と〜も〜に悪影響がなかったら、いいんじゃないかな?でも…」

カイは、真剣な顔になり電車で帰った。

次の日、カイは一人最終の電車に乗ろうと、駅にいた。

裏でタバコを吸っていると、そこにと〜も〜が来た。

「あっ、カイ兄も今帰り?」

少し疲れた様子で、カイに近づいて来た。

「おう。どうしたんだ?」

「疲れた〜。」

カイの隣に座ると、タバコに火をつけた。

「最近、みんなとまわってないんだって?噂で暴走族に入ってると聞いたよ。」

カイは心配そうに言った。

「何だ。みんな知ってるんだ。」

噂は本当みたいだ。

「お前は大丈夫なのか?」

さらに、心配した。

「大丈夫だよ。ブラックゴッドのみんなも、いい人だし、目的があるからさ。」

と〜も〜は、少し下を向いた。

「目的?」

カイは聞いた。

「う〜ん。まっいっか。カイ兄は、信用してるし。実は、ブラックゴッドに、た〜け〜達が狙われているんだ。この前、た〜け〜達が、ブラックゴッドの暴走を邪魔してさ、それでね。

俺が、ブラックゴッドに話ししたら、1ヶ月下で働くなら、手は出さないという約束なんだ。

だから、1ヶ月頑張って、またみんなで平和に過ごしたくてさ。」

そういうと、と〜も〜は笑った。

「俺さあ、あいつらといると楽しくて、いつも、笑って過ごせるからさ。助けてもらってるし。だから、今度は俺が、あいつらを守るんだ。」

嬉しそうにと〜も〜は話した。

「でも、いいのか?みんなと遊べなくて。」

「うん。平気。

あいつらの為なら、我慢するよ」


そう言うと、立ち上がった。

カイも立ち上がり、

「お前、さすが俺の後輩だな。でも、早い話は、そのブラックゴッドを潰せばいいんじゃねぇか?

俺が、こう一発ぶん殴ってやるよ」

そうカイは言うと、拳を前に出した。

「ハイハイ、カイ兄には無理ですよ。

この話は内緒だからね。」

と〜も〜は、そう言うと、電車に向かった。

それから一週間後。

カイはと〜も〜との約束を守り、みんなには話さなかった。

けど、次第にと〜も〜とみんなとの間は、険悪になっていった。

そんなある日、いつものように、駅でみんなでたまっていると、

「大変大変!」

そう、慌てながらしのぶが走ってきた!しのぶというのは、カイ達の後輩の中でも、一番女の子っぽい男だ。泣き虫だ。

血相を変えて来たので、みんな驚いた。

「どうしたんだ。いったい」

そばでジュースを飲んでいたリョウが聞いた。

「さっき、喫茶店にいたらさ、ブラックゴッドの連中がいてさ、今夜に街を荒らすみたい。その時に、と〜も〜が生け贄されるって」

息を切らしながら、しのぶは言った。

「生け贄って、あいつら仲間じゃねぇのかよ」

みんな、だんだん怒りが込み上がってきた。

「このままじゃ、と〜も〜が袋にされる。俺たちで止めるぞ。」

そう、た〜け〜が言うと、駅を離れようとした。

カイは、みんなの前に出て、

「ちょっと待てよ。今のままじゃ、と〜も〜が悲しむだけだ。もう少し、様子を見れ。」

みんなを止めたが、

「んなこと言っていたら、街もと〜も〜も、めちゃめちゃにされるだろ」

た〜け〜達は、カイの言葉を無視して、行こうとした。

その時、と〜も〜が現れた。

「どうしたの?みんな。そんな怖い顔してさ」

と〜も〜は、みんなを見渡した。

ゆっくりと、た〜け〜は近づいて、

「お前、知っていたのか?今夜、ブラックゴッドの連中が街を荒らすって。

その時に、お前が生け贄にされて袋叩きにされるってよ」

と〜も〜は驚いた。

「えっ?何それ?

待って、ちょっと意味が…」

そう言いかけると、何かを思い出したように、どこかへ走っていった。


た〜け〜達は、追いかけようとしたが、またカイが前に出て止めた。

「カイ兄。どいてくれよ。」

「いやだ。少し落ち着け。と〜も〜は、お前たちの為に、ブラックゴッドに入ったんだぞ。いたくもねぇのによ。

お前らを守るためによ。」

カイは、と〜も〜の事を話した。

ブラックゴッドに入った理由を。


その頃、と〜も〜はブラックゴッドのたまり場へ行っていた。

いきおいよく、ドアを開けると連中を睨みつけた。


奧に座ってた男が立ち上がり、

「おいおい、どうした?そんな怖い顔をして」

と〜も〜は、睨みながら男に近づくと

「近藤さん、約束がちがうんじゃねぇのかよ。俺が1ヶ月、下で働けば周りの奴らに手はださねぇって言っただろ。」

と〜も〜は、近藤の胸ぐらをつかんだ。その瞬間、近藤の手がのびてきて、と〜も〜の頭をつかみ、いきおいよく床に押し付けた。

「勘違いするんじゃねぇぞ。ガキが。

誰がいつ約束を破った?」

と〜も〜は、押さえつけられながらも、睨み

「きたねぇぞ!約束は約束だろ。あいつらには手は出すな」

そう言っても、と〜も〜の言葉をあざ笑うかのように、

「俺は、手は出さないと約束した。俺はな。」

と〜も〜から離れると、

「さぁ、野郎ども。俺は一切手は出さない。しかし、売られたら、ケンカを買うぞ。

もうそろそろ、誰かが来るからな。」

そう言うと、高笑いした。

と〜も〜は、みんながここに来ると思い、走った。

(みんなを止めなきゃ。みんなを守らなきゃ)

そう思い、走った。

その頃、カイから、と〜も〜の事を聞いたみんなは、


「あいつ、バカだな。俺たちは、別に何も思ってないのによ。

と〜も〜は、ブラックゴッドの仲間じゃねぇ。俺たちの仲間だ。

俺たちの手で取り返してやる」

そう、た〜け〜が言うと、またブラックゴッドのたまり場へ向かおうとした。

その時、

「みんな、待って」

と〜も〜が、息を切らしながら来た。


「みんな、待ってよ。ブラックゴッドの奴らには、話をつけたからさ。何も行く事ないよ。」

そう言って、みんなを止めた。

「と〜も〜、もういいんだ。さっき、話は聞いた。俺たちのためなんだろう?

そこをどけよ」

た〜け〜は、と〜も〜をどかそうとしたが

「いやだ。行ったら死ぬよ?」

と〜も〜は、必死に止めた

た〜け〜は、ゆっくりと近づき、と〜も〜を抱きしめると

「もうやめようぜ。十分、俺たちを守ってくれたよ。お前は。だから、今度は俺たちが守るよ。

負けるかもしれないけど、仲間を守るために命をかけてやる。

と〜も〜、ありがとうな」

そう言って、ゆっくり離れ、ブラックゴッドの所へ向かった。


と〜も〜は、泣きくずれた。

「ちくしょう!」

そう叫びながら、地面を強く殴った。

どんどんと、拳から血が出てきた。


パシッ


誰かの手が、と〜も〜の拳を受け止めた。

ゆっくりと顔をあげると、そこにはカイがいた。

「やめろよ。壊れるぞ」

優しく言葉を言っても、と〜も〜は手をふりほどいた。

「離せよう。カイ兄には、関係ないじゃん。

…ダサいよな。みんなを守るとか言って、いつも守られてばっかりでよ」

と〜も〜は泣きながら言った。

「俺は、と〜も〜はちゃんと守ったと思…」

「なぐさめなんかいらねぇよ。カイ兄には、わからねえよ。俺たちの事なんかよ。俺たちが、どんな風に過ごしてきた事とかよ」

と〜も〜は、カイに八つ当たりしたが、また涙があふれた。

「てめぇ、いい加減にしろよ。カイはな…」

リョウが、と〜も〜に怒鳴ると、横からカイが止めた。

そして、リョウを見ると首を横に振った。

ゆっくりと、と〜も〜に近づきカイは話した。

「たしかにさ、俺はお前らの事、何一つ知らねえ。何を考えてるかもわからねぇ。

でも、お前らが嬉しい時には一緒に喜べるし、悲しい時には、一緒に悲しむ。

それぐらいなら、俺にもできるじゃん。だからよ、少しだけでも、話してくれよ。

俺たち、年齢とか関係なく仲間だろ?

そう言って、笑った。

しばらく、カイの言葉を聞いていたと〜も〜は、精一杯の声を出した。

「カイ兄…

…がい…けて…

お願いします…みんなを…助けてください…」

泣きじゃくると〜も〜に近づき、ポンと頭を撫でると、優しく笑った。

そして、立ち上がると、カイは叫んだ。

「よし!まかせておけ!」

その言葉を聞いて、さらにと〜も〜は泣いた。

「行くか」

リョウとカイは、ブラックゴッドのたまり場へ向かった

ブラックゴッドのたまり場では、た〜け〜達が戦っていた。

しかし、みんなボロボロの状態で立ち上がる事さえ出来なかった。

「オイどうした?そっちから、ケンカしに来て、もう終わりか?」

ブラックゴッドの連中は、余裕そうに笑った。

「終わらねーよ。と〜も〜を返してもらうまではな」

た〜け〜は、体中傷だらけで、必死に立った。

目の前にいた男の蹴りが、た〜け〜のわき腹に入り、また吹き飛ばされ倒れた。

「ったく、弱すぎるんだよ。

近藤さん、もう殺してもいいっすか?」

奥で、タバコを吸ってる近藤は

「好きにしろ」

そう言うと、不気味に笑った。

「よし、じゃあまずは、一番生意気なお前だ」

そう言うと、た〜け〜の前に立ち、顔を踏みつけた。

「あ…ぐっ…」

「弱いくせによ、何がと〜も〜を返せだ。おとなしく、家で寝てればいいものをよ」

た〜け〜は、顔踏みつけられながらも、抵抗した。

「返せ…俺たちの仲間を…」

その言葉を、消すかのように男は

「仲間?と〜も〜は、お前らの仲間じゃねぇよ。あいつは、我がブラックゴッドの一…」

そう言いかけると、突然、ドアから凄い音がした。


ど〜ん。ど〜ん。

何かを激しくぶつける様な音がして、そこにいる人達は驚いた。

「何の音だ?おい、見て来い。」

近藤が指示をすると、た〜け〜の近くにいた男が見に行った。

ドアに近づくと、突然ドアが倒れ、外から逆光を浴びながら、2人が入ってきた。


「誰だ?」

男は警戒しながらも、よく見た。

ゆっくりと中に入ってきた2人は、途中で立ち止まった。

「返してもらおうか。俺の大事な後輩達を」

カイとリョウだ。


「リョウさん。カイ兄」

た〜け〜達は、意外な人に驚いた。


「貴様ら、誰だ?」

男は聞くが、2人は無視してた〜け〜達の前に歩いた。

「大丈夫か?」


カイは、た〜け〜を心配して声をかけた。


「何で、ここに…?」

カイは、にっこり笑うと後輩達を見渡した。

「カイ兄。危ない」

た〜け〜が叫ぶと、後ろから男がカイに向けて蹴りを入れてきた。

しかし、すかさず交わし、同時に右手で殴った。

男は、ふき飛び気絶した。

「黙って待ってろ。」


カイは睨みつけた。

初めて見る、カイの表情にた〜け〜達は驚いた。


「よし、じゃあやるか。」


カイは、拳を握りしめブラックゴッドの前に歩いた。


「カイ兄、1人は無理だよ。」

た〜け〜が止めると、リョウが


「大丈夫だ。あいつならよ」

「えっ?」


た〜け〜は、何を言ってるのかわからなかった。


「おい、殺すなよ」

リョウはカイに叫ぶと、

「わかってる。た〜け〜、もう少し待ってな。すぐに終わるから」


カイは、そう言うとブラックゴッドと対立した。


「カイ兄、死んじゃう…」

た〜け〜はまだ心配したが

「平気だ。あいつは、俺の中では日本一強い男だ」


リョウは余裕そうに言った。


た〜け〜達は、意味がすぐにわかった。

ブラックゴッドの一人が余裕ぶって、


「じゃあ、俺から行こうかな」


そう言って、首の骨をならしながら、カイに近づいてきた。

「おい、俺たちにも楽しませろよ。」


ブラックゴッドの連中は、カイをからかうように笑った。


「ったくよぉ、正義のヒーローみたいに来やがって、さっさと帰って寝てればいいものをよ…」


男は、材木をカイに向けて振り下ろした。


が、その瞬間、カイのパンチが男の腹に入り、一発で倒れた。


「いちいち、うるさい野郎だ。少しは黙ってろ。」



カイは、ブラックゴッドをにらんだ。


「何だこいつは…


ブラックゴッドは、少し後ろにひいた。

「おい、さっさと終わらしたいんだ。一人ずつじゃなくて、一辺に来いよ。

じゃないと、負けるぜ」


カイは、挑発すると、


「野郎、なめやがって」


ブラックゴッドは、全員でかかった。


「まっ、どっちみち無理だけどな」


カイは、笑みを浮かべブラックゴッドに向かって走った。


次々に倒されてゆく、ブラックゴッドの連中。


カイは、驚くような動きで、一気に倒していった。


「すげぇ。あれがカイ兄?」


た〜け〜達は、目の前の出来事に驚くだけだった。



勝負は、すぐについた。


カイ以外は、倒れカイは一人息を整えながら立っていた。


「よし、あとは…」

そう言うと、近藤へ目を向けた。

「んの野郎、なめやがって」


近藤は、悔しがりながら座ってた椅子から立ち上がると、指をならした。


「さっさと、負けてもらうぞ」


ゆっくり、近藤に近づくと、そばで倒れてた男が近くに落ちてある材木を取ろうとした。


「カイ兄!」


間一髪の所で、た〜け〜が呼びカイは気づいた。


材木を踏みつけると男を睨み付け、

「ガキが。動いたらバラすぞ」


男は、かなりの恐怖を感じ、その威圧感で動けなかった。


カイは、先手を取るために近藤に突っ込んだ。


が、その瞬間、何かが飛び込んできて、カイの頬をかすめた。


頬からは、刃物で切ったような後が残り血が垂れた。


血を拭いながら、近藤を睨み付けると、

「武器を持たなきゃ勝てないと思うんだ」


近藤をみると、両手にチェ〜ンを持っている。


「これが、俺のスタイルなんでね。蛇のように動くチェ〜ンは、てめぇの肉を切り裂いてゆくんだよ」


そう言って、余裕の笑みを浮かべた。

カイは黙ったまま、立っていた。


「死ね」


近藤は、チェ〜ンを操りカイに向けた。


すかさず横に移動して交わしたが、カイの後ろの壁は粉々になった。

「少し、やっかいだな」


何とか、チェ〜ンから逃げていた。


「ちょろちょろ動いてんじゃねぇよ。」

またもや、近藤のチェ〜ンがカイに向かって来た。


難なくよけたが、近藤は不適な笑みを浮かべた。


カイは、すぐに気づいた。


よけたと思ったチェ〜ンは、すぐ上のサンドバックに当たり、速さを増してカイに突っ込んできた。

「ちっ」


すかさず、両手で頭をガードしたが、衝撃が大きすぎてカイは、奥の部屋に飛ばされた。


「カイ兄!」


た〜け〜達が心配しても、カイと近藤は部屋に入ったまま出て来なかった。


「大丈夫だ。こんな事で、くたばる奴じゃねぇよ。」


リョウは、真っ直ぐな目で部屋を見つめていた。


一方、部屋の中に飛ばされたカイは、


「何だここは?」


部屋の中を見て驚いた。


一つのバーみたいな、おしゃれな感じの部屋だった。


「ようこそ、ブラックゴッドの部屋へ」

後ろを見ると、突然チェ〜ンが伸びてきてカイは巻き付けられた。


だが、何も言わずに近藤を睨み付けた。

「どこの奴だが知らねーが、後悔するんだな、俺らブラックゴッドにケンカ売った事を。

たかが、ゴミ一匹のために命をかけるなんてな。青春ごっこのつもりか?」


近藤は、高笑いした。


「…てんだ」


「あ?」


「てめぇ、誰の事ゴミだと言ってんだ!」


さっきまでとは違う顔のカイを見て近藤は驚いた。


その瞬間。


「うぉぉ〜!!」


ブチッ!


カイは力だけでチェ〜ンを千切った。


「バカな。どんな力を出しやがった。」

目の前の出来事を、ただ驚くだけの近藤。


「と〜も〜は、俺の大事な仲間だ。あいつが、嫌いな場所なら俺がぶっ飛ばしてやるよ」


そう言うと、部屋の中の椅子を蹴り飛ばした。


椅子は外の方へ、出ていった。


部屋の外では、と〜も〜も来て急に椅子が飛んで来た事に驚いた。


「中で何が起こってるんだ。カイ兄は?」


ただ、立ち尽くすしかないた〜け〜達だった。


まだ、部屋の中で暴れまわっているカイ。


「おい、やめろ。」


近藤は、必死に止めるが、カイの右手が近藤を捕らえた。


「ちょ…待て」


近藤の話に耳も傾けず、思いっきり殴った。


近藤は、口や鼻から血を出しながら、部屋の窓から飛び出された。



すごい音を立て、飛び出してきた近藤に、リョウやた〜け〜達は驚いた。


ゆっくり、カイは部屋から出ると、と〜も〜を見つめ、

「と〜も〜、お前は俺の大事な仲間だ」

そう言って、ブイサインをした。


と〜も〜は、涙を浮かべ大きくうなずいた。


歓声が上がり、みんなで勝利を喜ぶと、近藤が、ヨロヨロと立ち上がった。


「てめぇ、このままで終わると思うなよ。」


そう言って、カイを睨んだ。


「いつでも、うけてやる!俺の仲間に手を出すなら、いつでも俺が相手だ」


カイは、強い口調で言うと、みんなを連れて帰った。


その帰り道。


「しかし、すごいな。カイ兄が、あんなに強いなんてよ。少しびびった。

でも、何で隠してたの?」


一緒に歩いていたワタルが聞いた。


「それは…」


カイは、急に下をうつむいた。


その様子に、後輩達は疑問に思った。


「言いなよ。お前の事全部さ」

リョウが、カイの肩をポンと叩いた。


「…わかった。じゃあ久しぶりに、実家に行って話すよ。」

カイは、そう言うと実家に案内した。


着いた瞬間、後輩達は驚いた。

日本的という言葉が似合って、どっかの道場のような、でかい門が目の前に広がった。


しかも、その門を通ると玄関らしき所には、ずらっとスーツを着た、人相の悪い大人が並んでいた。

ごくっとつばを飲み込むと、その男達は一斉に頭をさげ声を揃えた。


「お帰りなさいませ、若様」


突然の事で声も出ず、ぼーぜんと立ってるしか出来なかった。


「早く入れよ」


カイとリョウは、慣れてるかのように、ズカズカと家の中へ入って行った。


いつ殺されてもおかしくない状態で、た〜け〜達は入った。

時代劇で出てくる様な長い廊下を通ると、カイは一つの部屋で立ち止まった。


「じゃあ、ここで待っといてな」


そう言うと、どっかに行ってしまった。

部屋で待機してる中、さっきの男達が入ってきた。


後輩達は正座して、リョウは普通に座った。


「なんで、こんな所にいるんだよ」


た〜け〜は小声でワタルに言うと、ワタルも小声で


「俺たち、終わったな」


びびってる様子だ。

そして、緊張感の中、部屋の障子が開いた

異様な空気が流れ、入ってきたのはカイだった。


でも、初めてみるカイだ。

白いスーツで、堂々としていて、まるで別人のようだ。


た〜け〜達は、声が出ずただ見ているだけだった。


そして、何も話さないでいると一斉に、男達は立ち上がり、

「ご苦労様です。若」

その言葉を聞いて、た〜け〜達は気づいた。


カイは、座りながら

「じゃあ、話すよ。」

そう言うと、カイの隣にいた男が

「若、私が説明します」


そう言って、話した。

「ここにおられる方は、日本でたった一つの極道大組織、〈青龍会〉第五代目伝承後継者、鬼澤カイ様です。


た〜け〜達は、驚いた。


「青龍会って、あの極道大戦争で有名な…?」

ワタルが、とっさに言った。


「そうだ。若は物心つく前から、柔道、剣道、空手、ボクシングなど、世界の格闘技を学び、今やプロにも負けない実力を持っている。従って、この日本には敵はないと考えられる」


カイの隣にいた男は、自慢げに話した。

ただ驚く後輩達を見て、急に悲しい目をしたカイは

「ごめんな。隠すつもりはなかったけど…

やっぱり、怖いよな。ゴメン」

そう言って、部屋を出た。



一方、その頃、カイに負けたブラックゴッド達は、リベンジしようとバックに付いてる奴と会っていた。


「小早川さん。お願いします。手を貸してください」


小早川は、真剣に話を聞くと

「てめ〜ら、バカか。てめ〜らみたいな小物が勝てるわけねぇだろ」


小早川から説明聞いたブラックゴッド達は、

「嘘だろ?やべぇ人にケンカ売っていたんだ」


「あの人には、百年かかっても勝てねぇよ。

俺ら青龍会の次期会長だぞ?

これ以上、命を縮めるな」


そう言って、小早川は立ち去った。


カイの秘密を知った後輩達。

また、真実を言ったカイ。

これから先、大事件が起こる事は誰も知らなかった。

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