知ろうとする私/知られるはずの私 [千文字小説]
私は私を知りはしない。
それは、生まれた時に、自分を見る力を失っているから。
言葉に出来ないもどかしさが私を襲って来る。
なんで、私は私を知らないのか?
どうしても知りたいのに。
なんで、私は私を知ることができないのだろう?
私は不思議でたまらない。
他人から見たら、どのように映るのか?
「鏡を見ればいいじゃん」 それは誰かが言ったセリフだ。
けれど、私は見てくれなんかに興味はないし、それに鏡は左右逆だもの。
そんな偽りには興味ないわ。 私が知りたいのは、本当の私。
虚像なんかじゃなく、私が見る私なんかじゃなく、君が見る私。
それが私は知りたいの。
本当は他人なんかどうでもいいはずなのに、君からの私はとても気になるの。
君のことが、大好きだから? 君のことを、愛しているから?
違うの、そうじゃないの。
私は、君を愛さなきゃいけないの。 愛していなきゃいけないの。
だって、私は生まれた瞬間から、その運命を貰って生きているのだから。
君じゃないと意味がないから、私は君だけを愛しているの。
それは、自己満かもしれないし、君は私に興味なんてないのかもしれない。
けれど、それでも私は良いの。
私が君を愛していれば、運命は満足するもの。
それだけで、私は満足だもの。
だから、君が私に振り向いてくれなくても、君にとって二番目の女だったとしても、それでもいいの。
だから、傍に置いてよ。
それが叶わないのなら、私は生きている意味がないもの。
私は、あなたに逢って恋を抱いた。
君だって、好きでなくても私を抱いたはずだ。
それは、なんでなの? 私が女だったからなの?
それとも、私だったからなの? 私には全然わからないよ。
君に別れを告げられたからって、そんなんで諦める私じゃないよ。
だって、君を愛さなきゃいけないんだもの。
諦めたら、運命が廃るもの。
だから、私は生きている限り、君を諦めちゃいけないのよ。
それが、なんでかわかる?
私を必要としない君に、その意味が解る?
どうせ、わからないよね。
だって、所詮は君だもの。
理解力がなさすぎて、憐れみすら感じるわ。
本当にかわいそうだわ。
だって、そんな君を愛さなきゃいけないんだもの。
私がかわいそうだわ。
だって、そう思わない?
君を愛さなきゃいけないから、君を愛してるわけで、別に君なんて・・・
別に君なんて興味ないもの。
私は愛して、君は愛してくれない。
それはなんで? 世界が理不尽だから?
君が理不尽だから? 答えぐらい、教えてよ。