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成功した男

作者: だるお
掲載日:2026/04/29



心から成功したいと思っている男がいた。


野心にあふれ、貪欲だった。

成功のためなら、周りの人間などどうでもよかった。


友情は利用するもの。

信頼は踏み台。

男にとって他人は、上へ登るための足場にすぎなかった。


男はキャラクタービジネスを始めた。


一度当たれば利益は莫大

商品化、映像化、海外展開。

笑いが止まらないと踏んだからだ。


そのキャラクターは、ずんぐりとした体に、丸い鼻。

小さな目、愛嬌のある笑顔。


誰にでも親しみやすく、子供に受けそうな姿だった。


男は徹底的に売り込んだ。


ぬいぐるみ。文房具。菓子。アニメ。

街にはその顔があふれた。


読みは当たり、大成功した。


男は豪邸に住み、高級車に乗り、

テレビでは「夢を叶えた男」ともてはやされた。


ある日、男は巨大テーマパークの開園式に招かれた。


中央には、十メートルを超えるキャラクター像。

自分の成功の象徴だった。


男が満足げに見上げた、その時。


像がゆっくりと動いた。


ざわめく観客。

報道陣の悲鳴。


キャラクターはぎこちなく首を回し、

まっすぐ男を見た。


そして、甲高い声で言った。


「ボクのおかげで、成功できてよかったね」


会場は笑いに包まれた。

だが男だけは笑えなかった。


キャラクターは続けた。


「ところで、キミは誰のおかげで生まれたの?」


男は答えられなかった。


気づけば、親も友人も

誰一人として開園式に来ていなかった。

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