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貴方が探している聖女はボク(わたし)ですけど!  作者: ゴルゴンゾーラ三国


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 ザフィールに肩を貸してもらいながら、わたしは借りていた宿の部屋へと戻ってくる。もしもマグラルド様にこれだけ密着されていたら、照れと恥ずかしさで逆に一歩も動けなくなっていただろうが、ザフィール相手では、思うところは何もない。


「ざいーる、くつだぇおねがい」


 わたしをベッドに腰掛けさせてくれたザフィールに、靴だけ脱がせてくれ、と頼む。ブーツの靴ひもを、今のわたしは、ほどくことができる自信がない。

 でも、流石に着替え等は頼めない。性別がバレてしまう。


「はいはい、ここまできたら最後まで、おおせのままに」


 呆れたようなため息を吐きながら、ザフィールがわたしの前に膝をつき、ブーツのひもをほどき始める。ザフィールが酷く酔っ払ったときには、わたしが介抱しているので、彼だって文句はあるまい。


 ――が。

 ザフィールは、ピタリと途中で手を止めてしまった。


「――……なあ、ディアン」


「……あに」


 妙に深刻そうな声を出す彼に、わたしは、何、と聞き返す。ちゃんとした言葉にはならなかったけど……まあ、お酒によってわたしのろれつが終わっていることはザフィールも分かっているだろうし、会話は成立するだろう。


「あのさ、聞きたいことがあんだけど」


 その証拠に、ザフィールはわたしに言葉を聞き直すことなく、話を続ける。

 少し言いにくそうに目線を逸らしたのが、頭の動きで分かった。

 ……何を言うつもりなんだろう。


「お前――マグラルドのこと、好きなのか?」


「は――、はぁっ!?」


 唐突な質問に驚いて、わたしは思わずザフィールの顎を蹴り飛ばしてしまった。「ぐっ!」とザフィールがうめき声を上げながら、顔を上に逸らした。


「ご、ごぇ、ごめ、ん!」


 蹴るつもりはなかったのだが、驚いた反射で、足が上がってしまったのだ。そして、体のコントロールができない今は、わたしの予想以上に勢いよく動いてしまって。

 ザフィールは顎をさすりながら、「その反応、やっぱマジなんだな」とこちらを見る。


「あ、あ、あ、な、なぁに、まりゅこらさんみたいなこと、いってうの!? ざいーるも、れんあいのーなの!? ばか!」


 ついでに、「だいたい、おとこどーし!」と言っておくが、ザフィールの雰囲気に、わたしはそれ以上何も言えなくなってしまった。

 マルコラさんは、明らかにわたしをからかう意図があったし、元より恋の話が好きな人だったから、もっと明るい空気ではあった。

 でも――今のザフィールからは、凄く、深刻な何かを感じる。


「別に、オレは男同士とか、そういうの、どうでもいいんだよ。……いや、オレは女がいいから、オレの話になったら別だけどよ」


 そう言いながら、ザフィールは、わたしの靴ひもをほどかないままに立ち上がり、椅子を引きずってわたしが座る近くに置き、彼はそこに腰を下ろす。


「論点はそこじゃなくてよ。……あのさ、オレが他の冒険者パーティーに追い出された話はしたよな?」


 そして、真剣な表情でもって、ザフィールは話始めた。

 その様子に、わたしは思わず、ごくり、と唾を飲み込んだ。

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