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ザフィールは妙にカンが鋭いので、そういうところは、あなどれない。
「ほら、ザフィールの言う通り、女の人なら、職業の幅が狭いから。もっと別の場所に行ってるかも……?」
わたしがジュダネラル王国に出たのは二年前だ。普通に考えたら、今隣国に住んでいるとは限らない。同じように人工地に行ったら、聖女としての需要はあるわけだし。というか、むしろ、普通に考えたらそうだと思うんだけど……。
わたしはマグラルド様と少しでも離れたくなくて、ぐだぐだと、すぐジュダネラル王国に戻れるこの街にいるんだけど、わたし以外の聖女だったら、さっさと他の人工地に行っているだろう。
「この街にいる確証はないが、ライノートル公国にいるはずだ。……僕がジュダネラルを出た後に国を出たのならば話は別だが、二年もこの国にいるのならば、そのまま居ついている可能性が高い」
しかし、マグラルド様の言葉に迷いはない。……言葉を疑わず、そのままの意味を信じるなら、王族には、わたしの行動は筒抜け、ということなのだろうか。いや、場所を把握されていないから、情報の精度は高くなさそうだけど……。
その情報ルートについて、詳しく知りたいけれど、どこまで踏み込んで聞いても、わたしの正体を隠したまま情報を引き出せるのか、加減が難しい。
わたしが言葉に迷っていると、話はどんどん進んでしまい、聞き出すタイミングを失ってしまった。
「冒険者ギルドのあるような街は人の出入りも激しいと聞く。そこでなら、情報を集めやすいと思ったんだが……他の街にも期を見ていくべきだろうな」
もう、この街での情報収集は諦めたのだろうか。他の街に意識が行けば、余計に足取りはつかめなくなることだろう。わたし、ずっとここにいるし。
それはそれで助かるかも……と思っていると、リリリュビさんが「えーっ!」と大声を上げた。
「マグラルドくん、あたしのパーティー、抜けちゃうの!?」
ガタリ、と立ち上がりながらそう言うリリリュビさんは随分と酔っているようで顔が真っ赤で、絶妙にろれつが怪しい。彼女の隣に座るマルコラさんは、にこにことリリリュビさんを見て、好きなようにさせてはいるものの、倒れそうになったときにすぐ支えられるように意識が全てリリリュビさんへと向かっているのが分かる。
「いや、世話になったのは事実。今すぐに抜けるわけでは――」
「いやーっ、よそに行かないで、ここにいて!」
マグラルド様の言葉が、酔ったリリリュビさんには届いていないようで。リリリュビさんはついにマグラルド様へと縋り付くようにして、泣き出した。




