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マグラルド様がわたしたちの冒険者パーティーに加入して、一か月が経った。
いまだに彼がそばにいること、そして王族であるマグラルド様へ不敬とも言えるほど、よく言えば親しく、悪く言えば馴れなれしくする人ばかり、という状況には違和感が残るものの、マグラルド様がいる前提での戦闘、というのには少しだけ慣れてきた。
というか、なんなら冒険者のパーティーランクが、橙石級から青石級に一つランクアップした。
冒険者のランクアップは、一番下の、駆け出し初心者の証である白石級のみが時間経過で次に進めるものの、その他は既定の依頼をこなさないと上へ行くことができない。
下の方のランクであれば、得意な依頼ばかり受けても問題ないのだが、橙石級ともなれば、複数の種類の依頼を受けねばならない。今までのわたしたちは、採集依頼や調査依頼などは問題ないのだが、討伐依頼や護衛依頼といったものは、苦手で受けられなかったのだ。パーティーメンバーの職業を考えれば、当たり前と言えば当たり前なのだが。
そこにマグラルド様が加わることによって、あっという間に苦手で避けてきた依頼を受けられるようになり、しかも早く達成できるようにもなった。
わたしたちが得意とする採集依頼や調査依頼は、一つ上のランクも余裕だったので、青石級の次へと昇格するのも、きっとすぐだ。
トントン拍子にランクが上がっていく未来が見えているからか、最近のリリリュビさんの機嫌はずっといい。
「今日はあたしの奢りーっ!」
そう言ってお酒の入ったカップを高らかに上げる。掲げたお酒が三杯目で、すでに酔っ払っている彼女だったが、まあ、今日の依頼の報酬も、仕事内容にしては割高でよかったので、これだけ浮かれてしまうというの無理はない。
そんな中で、肉串を食べながら「そういえば」とザフィールが声を上げる。
「なあマグラルド、ペルアディア、だっけ? 聖女を探してるとか言ってたけどよ、その後どうなんだ? 見つかったのか?」
ザフィールの言葉に、ぎくり、と一瞬体がこわばる。そうだよ、そういえば、マグラルド様はわたしを探しに、この国まで来たんだった。とにかく、バレないようにしなきゃ、と意識していたから、忘れたわけじゃない。ただ、マグラルド様が積極的に聞き込みをしている様子をあまり見ていなかったので、てっきり、もうどうでもよくなったのかと思っていたのだ。
動揺しているのを悟られないように、わたしは水を飲みながら、マグラルド様の出方をうかがう。
「いや……それが、全く」
首を横に振る彼を見て、少しだけ安心する。よかった、まだわたしがその聖女であることはバレてないみたい。




