表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
貴方が探している聖女はボク(わたし)ですけど!  作者: ゴルゴンゾーラ三国


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/37

21

 医者のような手際に感心していると、マグラルド様はわたしの前に片膝をつき、ひざまずく。思わず立ち上がりそうになったが、すぐ目の前にマグラルド様がいるので、それは難しかった。


「――すまなかった」


 マグラルド様は、頭を下げる。


「きゅ、急にどうしたの」


 事態が飲み込めなくて、わたしの声は、思わずひるがえった。

 この人が、頭を下げるだなんて。

 王族という立場からか、マグラルド様は謝罪をしても、頭を下げることはしない。ジュダネラル王国では、王族が頭を下げるときは、処刑の際に首を固定するときだけ、と言われているくらいである。

 現代では、その言葉通り、というわけでもないけれど。それでも、この人との付き合いもそれなりに長いが、頭を下げたことがあるのを見たのは、たったの二度目だ。

 この程度のことで頭を下げるなんて、もう、本当にこの人は王族ではなくなったのだな、と思い知らされる。――……いや、そうだと分かっていても、だいぶ心臓に悪い。頭を上げてほしい。


「先ほど、君に突っぱねられて、僕がしたことの重大さを思い知った」


「突っぱねるって……。この怪我を、大したことがない、って言ったこと?」


 僕が聞くと、マグラルド様は「そうだ」と肯定した。……突っぱねたつもりはなかったんだけどな。本当に大したことのない怪我だし。

 ザフィールとかだと、「さっさと治しとけよ~」って感じで終わり。彼は攻撃系の魔法の方が得意だから魔法攻になったけれど、回復系の魔法の知識もあるから、パッと見て、魔法でどのくらい治せるか分かってしまうから、心配なんてしてこない。


 だからか、こんなに言われるようなことでもないと思ったのだけど。


「人の心配を、無下にするべきではないと学んだ」


 そう言って顔を上げるマグラルド様は、本当に反省しているような、落ち込んでいるような、そんな表情をしている。普段の真顔に近いけれど、明らかにそうだ。

 ああ、そういうことか。

 考え込んで、「成程」と言ったのは、自分がいざ、心配をしてもそっけなくされて、ショックを受けたことに対して、自分がやらかしたことを自覚したのか。


「――……まあ、ボクも。無理に身を乗り出して助けようとしたのは悪かったから。もう、互いにやらない、ってことで……手打ちに」


「……そうだな、そうしよう」


 マグラルド様は、納得したようにうなずいた。

 どうやって仲直りするか悩んでいたけれど、図らずもうまくいってしまった。絡まれたときは面倒だと思ったけれど、悪くなかったかもしれない。


 膝をついていたマグラルド様が立ち上がると、彼のポケットから、何かが床に落ち、コツン、と音を立てた。

 音がしたので無意識に見てしまったが――落ちたものを見て、わたしは思わず固まり、そのまま目が離せなくなった。


 彼が落としたのは――指輪だ。

 わたしと彼が、婚約した際につくった、指輪。


 それが今、床に、落ちている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ