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『ニュース・ライター 〜明日を照らす放送局〜』  作者: さらん
番外編:永田町の灯(ともしび)

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10/10

最終章:正解のない投票用紙


 その夜の『ニュース・ライター』は、異例の構成となった。

 前半は、堂本の記者会見のノーカット映像。

 後半は、相馬とヒカリが取材した、深夜の官庁街の様子だ。

 画面の中で、ヒカリが語りかける。


『私たちはよく、政治家や官僚を「敵」だと思ってしまいます。

 でも、カメラが捉えたのは、私たちと同じように悩み、苦しみ、それでも「明日の日本」のために戦う、ひとつのチームの姿でした』


 映像には、山積みの資料に埋もれて眠る若い官僚たちの姿や、コンビニ弁当を片手に議論する政治家の背中が映し出されていた。

 

 放送終了後。

 SNSの反応は、劇的だった。


 『知らなかった。官僚ってこんなに働いてるの?』

 『堂本さんって人の演説、初めてちゃんと聞いたけど泣けた』

 『次の選挙、この法案を通そうとしてる人に入れたい』


 そこにあったのは、「誰が一番マシか」を選ぶ消去法ではない。

 「この人たちに託したい」という、積極的な意思表示だった。


 数ヶ月後、選挙の日。

 投票所の出口調査を行っていた剣崎は、ある大学生にマイクを向けた。


「誰に投票しましたか?」

「堂本さんです」

「理由は?」


 学生は少し照れくさそうに、しかしはっきりと答えた。


「ネットで、彼と官僚の人たちが頑張ってる動画を見たんです。

 批判ばかりする人より、汗かいてる人を応援したほうが、僕らの未来も明るくなる気がして」


 剣崎は空を見上げた。

 雲ひとつない快晴だ。

 相馬が言っていた「ともしび」の意味が、ようやく分かった気がした。


 報道の仕事は、闇を暴くだけではない。

 闇の中で必死に光を作ろうとしている人々に、スポットライトを当てること。

 そうすれば、国民オーディエンスは、正しく彼らを見つけることができるのだ。


「……さて、行くか」


 剣崎はネクタイを締め直した。

 彼の目にはもう、かつての濁った色はなかった。

 政治家も、官僚も、そしてメディアも。

 それぞれの持ち場で、この国の「明日」を照らすための戦いは、まだ始まったばかりなのだから。

(完)

これで、本当に完結です

ありがとうございましたm(*_ _)m

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