第01話 はじまり
あの日、両親は帰ってこなかった。交通事故だった。
夕方には戻ると言って出かけた二人を、小学生だった俺は家で一人、ただただ待っていた。
外が暗くなっても開くことのない玄関のドアをいつまでも見つめ続けていたことを覚えている。
親族に引き取られ、転校もした。全てがガラリと変わってからも、毎日は怒涛のように押し寄せてきて、その日々はまるで、濁流の中を息継ぎもせずに泳ぎ続けているかのようだった。
養父母はとても良くしてくれて、感謝してもしきれない。おかげで何とかやっていけた。
けれど……どうしても……この気持ちは……
失って、永遠に元に戻らないという現実。
寂しさで何度も胸が張り裂けた。
それでも学校では周囲に馴染もうと陽気に振る舞ってはいたけれど、明かに違う自分を演じるのは精神的にもキツく、中学校を卒業する頃には一人でいる事が多くなっていた。
他人と距離をとっていると気持ちが楽だった。なぜなら誰かと自分を比べなくて済むから。
『皆んな本当の家族と幸せに暮らしてるんだろ?』
……なんて自分勝手に、そして一方的に思い込んだ挙句、羨んだり、妬んだりして、そんな事を考える己を嫌悪して……心がどんどん腐っていくのが手に取るようにわかった。
独りでいるのは、せめてもの防衛本能なのかもしれなかった。
高校に入ってしばらくすると、自分に渾名がついている事を知った。
「ロンリーウルフ番長」
……合ってる……けど……ダサい……けど……うん、間違ってない……
面と向かって言われたことのないこの呼び名を、なぜか少し気に入っている自分がいた。
初投稿です。色々よく分かっていませんが何卒。




