7話 戦乙女とラーメンの受難
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Name:ラルティア・ラナ・ルナムーン
Type:戦乙女
Job:竜戦乙女
HP:3000/3000
SP:500/500
MP:1800/1800
AGI:347
STR:2056
END:2567
DEX:96
LUC:77
《Skill》
・闇魔導 S
・闇竜咆哮波 S (1/10)
・竜気 A(Lv.1/10)
・斬擊 A(Lv.1/10)
《見習いガチャ神の眷属》
《竜王の加護》
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【野田翔斗神様の眷属として 竜戦乙女 ラルティア・ラナ・ルナムーン を登録します】
【ワールド1492で初めての眷属登録を確認!眷属:ラルティア・ラナ・ルナムーン様のステータス情報を参照し野田翔斗神様へ特別報酬を贈呈いたします】
【特別報酬:眷属進化アイテム確定ガチャコイン】
ガチャから排出され宇宙要塞内に設置された家系ラーメン・β屋。
余りに美味しすぎた一杯をもう一度味わうために、SSR確定眷属ガチャをぶん回した。
「は、はじめまして!竜戦乙女にして野田翔斗神様の眷属、ラルティア・ラナ・ルナムーンでしゅっ!?」
ガチャから出てきたのは紫色の綺麗な瞳、銀髪低身長のかわいらしい普通の女の子。
頭とお尻からドラゴンの耳と尻尾が生えていること以外は、普通の女の子。
かわいらしいワンピースに脛当とか肘当ての軽装が特徴的。アイドル剣士とでも表現出来る装いだ。
最初は混乱していたが、今は元気いっぱい背筋を正している。
「闇魔導と竜の力を使った機動戦闘が得意ですッ!!よろしくお願いしますッ!!!」
[個体名:ラルティア・ラナ・ルナムーンからは神属性の反応を検知しました。施設:β屋での転職行為ができる可能性は0に近いと推測されます]
「……君は、ラーメンを愛しているか?」
「ふぇ??」
「ラーメンをぉ、愛しているのかぁ、聞いているんだぁぁああ!!!!」
「ごめんなさいぃらーめんしらないですぅぅ!!」
俺は吠えた。
吠えに吠えて、無いちゃぶ台をひっくり返した。
よりにもよって一番ラーメンに向かなそうなやつを出してきやがって!!!クソ無能ガチャめ!
せっかくSSRガチャコインを使ってやったのにこんな……こんな、顔が取り柄のタピオカばっか飲んでそうなロリドラゴン出しやがって!!!
「運営!!!リコールを要求するッ!!」
「なんでぇ??!!召喚されたばっかなのにぃ?!」
まだシステムがよく分からないが、ラーメンの一杯も提供出来ない戦乙女なんて認めないぞぉ!!
そんなとこにうずくまって泣いてもラーメンは出てこないぞロリドラゴン!
「お土産の竜饅頭も折角持ってきたのにぃ……」
……そんなにいじけてもラーメンは出てこないぞ!!
でもお土産まで用意する健気なロリドラゴンが流石にかわいそうだ。
「…ごめん、ロリドラゴン。流石に逆ギレは俺が悪かった。豚骨の湯気で目の前曇ってた。」
「…うぇ~~ん!!」
歩み寄ろう。例えラーメンを作ることが出来なさそうなロリドラゴンだとしても、俺の呼び声に応じて召喚されてくれたロリドラゴンなのだ。
しゃがむとカウンターの椅子より低くなるロリドラゴンの銀髪頭頂部を撫でてやる。
[マスター、個体名:ラルティア・ラナ・ルナムーンがマスターの眷属としてβ屋での転職が行えるプランを1453の中から高確度の3つまで絞ることが出来ました。システム干渉、改変行為を伴うのですが施行してよろしいでしょうか?]
……で、出た~。月刊勝手に暴走AI創刊号ことベガさんのシステム干渉(運営に対するハッキング行為)。
絶対ブラックリスト入ってるよ俺。未だ他人のステータスとか持ってるアイテムの質とか分からないけど絶対パワーバランス崩れてるよ。逆に巨大宇宙要塞級がマストだったらクソゲーだよ。
[マスター、システム干渉、改変行為に対する許可申請の受諾をお願いします]
やっぱり、こいつ俺に責任取らせようとしてない?俺のことは勝手に誘拐したり心の中読む癖にハッキングのときだけやたら責任転嫁しない?
[その様な事実はありません。システム干渉、改変行為に関してはマスターのパスを通して管理システムへ干渉しているので許可申請をしています。マスター、許可申請の受諾をお願いします]
俺は脳内でロリドラゴンと家系ラーメンの海にいる幸せな想像をする。
まあリコール云々は冗談だし。
ロリドラゴンも召喚されて手持ち無沙汰になるより何か役割がある方が良いだろう(出来るだけ早くラーメン食べたい)。
理由は十分にある!!
「ハッキングを許可する!!」
[……システムへの干渉、改変行為です]
どっちも同じだろ
[それでは、システムへの干渉を開始……
第一パス、接続。スキル"天運"掌握…掌握完了。スキル"ガチャコイン"精製へリンクします…リンク完了。施設名:β屋へパスを接続…接続完了。該当種進化可能性92%。高確率と判断し実働フェーズに移行します。
それではマスター、先ほど獲得した眷属進化アイテム確定ガチャコインを精製してガチャを引いてください]
俺は言われた通りコインを精製する。
すっかり嘘泣きも終わりぽけ~とした顔でこっちを見つめるロリドラゴン。そんな顔されるとすかさず苛めたくなるが、今はこいつの将来のため(ラーメンのため)に気負いを入れにゃいかんのです!!
うぉりゃっ!!
ガチャガチャ、ガチャッ
ピロリピロリピロリロリ~ン!!!
うぉぉっ??!!なんだ今のエヴ◯の大当たり音みたいなやつ!気持ちよすぎる!
コロン
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Result;;
EX 進化アイテム:β屋特製竜王ラーメン(ドラゴンチャーシュートッピング)
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すんすんっ
ごくっ……
「ベガ、この進化アイテムのラーメンは…このロリドラゴンが残さず全部食べないといけないのか??」
[個体名:ラルティア・ラナ・ルナムーンが完食する必要があるそうです]
……くそッ
見るからに分かる。
さっき食べた一杯を越える至高のラーメンは、こいつだッ!!
それがよりにもよって、俺が食べてはいけない進化アイテムなんて!!
まだまだ限界が見えないぜβ屋のラーメン…
このロリドラゴンが果たしてラーメンの終着点に辿り着くことが出来るのか…??
「マスタ~、なんかその進化アイテム見たらお腹すきました~」
「……ロリドラゴン、約束してくれ。
必ずッ、必ず俺を、ラーメンの終着点に導いてくれるとッ!!!」
「もうラーメンいやですっ!お腹空いたし進化します!」
あっ。
ズルズルッ、ズル
ズルズル
ごくごく
……ことん。
「……」(俺)
[……](暴走)
「……なにこれめちゃ美味しいですっ?!?!美味しすぎて気づいたら無いのですっ?!」
ピカッ!!
ロリドラゴンが虹色に光り出した!!
これが進化か!!
[進化状態に移行を確認……
個体名:ラルティア・ラナ・ルナムーンのシステムパラメータにマスターのパスを介して接続……対象項目を改変開始……改変完了。トータルシステムケア確認……確認完了。進化フェーズ終了。
これにて、code:βを終了致します]
かれこれ30秒は発光し続け、
「……改めて、よろしくお願いします。我がマスター。」
ロリドラゴンは綺麗なオネドラゴンに進化していた。
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Name:ラルティア・ラナ・ルナムーン
Type:戦乙女
Job:竜麺戦姫β(Unique )
HP:70000/70000
SP:5000/5000
MP:40000/40000
AGI:8589
STR:647557
END:86787
DEX:757887
LUC:777
《Skill》
・闇竜咆哮波・絶 (Unique ) EX
・闇魔導 SSS
・炎熱魔導 SS
・竜覇気 SS (Lv.1/10)
・戦乙女の斬擊 SS (Lv.1/10)
・神の舌 S(Lv.1/10)
・製麺 B (Lv.1/10)
《見習いガチャ神の眷属》
《竜の姫》
《ラー姫》
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「ろ、ロリドラゴン……いや、オネドラゴン」
「マスター、私の名前はラルティア・ラナ・ルナムーン。ラナとお呼びください。」
そう言って俺の前に臣下の礼を取るオネドラゴン。
さっきまでとは明らかに違う威厳を醸し出すその姿は、まさしく一騎当千の闘気を感じさせる。
「マスター、早速私にラーメンを作り出すようご命令をッ!!」
そうだ、この娘は進化した今新たな職業、竜麺戦姫βへと生まれ変わったッ!!
間違いない。今のオネドラなら至高の一杯に辿り着けるッ!!
「オネ……ラナ!今すぐβ屋従業員登録をすませ、己の麺覇道を突き進むのだッ!!」
「御意ッ!!」
新たなステータスを獲得したオネドラゴンは凄まじいスピードでキッチンへと突入!!
天地を割るかの如く、647557のSTRでデバイス画面をタップ!!
【家系ラーメン・β屋職員、職業:麺師への転職を実行します。……システム判断によりラルティア・ラナ・ルナムーン様の職業:竜麺戦姫βに職業:麺師を統合します】
【おめでとうございます♪従業員登録が完了しました。これからたくさん美味しいラーメンを作ってバリバリ働きましょう!】
【ワールド1492で初めての特殊施設への個体登録を確認!ステータス情報を参照しラルティア・ラナ・ルナムーン様へ特別報酬を贈呈いたします】
【特別報酬:スキル 聖麺】
「ラナッ!!……いや、店員さん!早速β屋特製ラーメンを1つお願いします!」
「あいよぉぉ!!!」
ついさっきまでラーメンのラの字も知らなかった女の子が、凄まじく早い手捌きで一杯のラーメンを組み上げていてく。
天に昇る竜の様な湯切り!
それでいて繊細な姫の丼捌き!
「β屋特製……竜姫ラーメン!!いっちょおまちぃッ!!!」
ドンッ!!
これが進化したラナのラーメン!!!
出てくる言葉は、ただ一言
「いただきますッ!!!」
「おあがりよッ!!!!」
ズルズル、ズル
ごくごく
ドンッ!!!
うん、不味い!!!
所詮素人です