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19話 波乱の歓迎パーティー

ベガに新たな住人が増えた。一気に30名。


親睦を深めるために、今夜は歓迎パーティーを開こうと思う。


ということで何やら地上で色々しているらしいリシュア達に幾つかお使いをしてもらって、夜迄には艦内に戻ってくるよう伝える。




「フローレム達はお酒って飲むのか?」


「うーん、この世界のお酒が私達の思ってるのと同じかは分からないけど……私達の種族にも、呑むのが好きな子はいるわ。オリジンドワーフ達は漏れなくお酒大好きよ。」


「シルヴァ達は?」


「あの子達は変わってるから…余程気に入ったものじゃないと食べたり飲んだりしないのよ。そもそも、食事でエネルギー補給をする必要がないから嗜好品として呑む子が一人二人いるくらいよ」


すごいな、食事の必要がないって。どこから栄養を取り入れてるんだろう。非常に気になる。


色々と情報を聞き出したので、一旦材料や酒を調達するために俺はラナと昨日ぶりの地球に向かうことにした。




◆◆◆




「エルフ達はどうやらフルーツや野菜が好きらしいから、ベガで育ててない野菜とフルーツは籠にいれて良いぞー、あと魚介と肉もな」


「わかりました!」


何やらパーティーが好きなのか妙に張り切ってるラナにそのまま頑張らせることにした。

うんうん唸りながら、早速野菜コーナーを無視してお菓子を選んでいる。アホが。


無視して酒類を物色しに行く。ドワーフと言えばバーボンやウイスキーだよなあ。取り敢えずここら辺のは全部買ってみるかあ。


肉や魚介も奮発して沢山買った。全部リシュア達が稼いだお金だけど。




さっさと会計を済ませ、大量の荷物を一旦ベガに送る。


地上とベガを行き来するときは俺判断で人目がつかない所から転送させるようにしている。最悪スキルと言い張れば今の世の中なら逃げ切れると思うが、要らぬ関心を持たれる前に気を付けておくべきだろう。下手したらモンスターと勘違いされかねない。




お次はドのつくピザ屋さん。持ち帰りで、店員さんに嫌な顔されながら大量のピザを注文した。すみません。


「マスター!ピザって美味しいですか?!ラーメンのピザはありますか?!」


ハイテンションで変な質問をぶつけてくる残念な戦乙女ヴァルキリー。そんなのあるわけないだろ。




さて、ベガに戻るとリシュア達もお使いを済ませ帰ってきていた。


「主様、どうやら新たに配下を増やされたそうで。眷属として私達も負けないように、これまで以上に忠誠を誓います!この命を捧げて!!」


「兄さん暑苦しい」


何やら眷属として危機感を覚えたのかリシュアに重苦しいアピールをされた。


そもそもフローレム達は配下じゃないからな。


「よく分からないが、地上の仕事は順調なのか?」


「はい、万事順調に進んでいます。近い内に主様に良い結果をお伝えできると思います」


リューネが真剣な表情でそう答えてくれたのは良いが、結局何をしてるんだろう……聞こうとしたらラナがリューネを無理矢理連れてヴァロちゃんの餌やりに行ってしまった。


ラナはやはり女の子だからかリューネを気に入っている。ガールズトークでもしたい年頃かな。ガチャで生まれたばっかりだけど。


真相を聞き出す機会は逃したが、まあ変なことしてなければいっか。




いつの間にか会場のセッティングが出来た。訓練用アンドロイド達総出で手伝ってくれたのであっという間だ。


場所はβ屋、ミライ堂と同じフロア。普段は吹き抜けの中央スペースにベガが床を生やしてくれた。なんでも出来るなこの宇宙要塞。




◆◆◆




軽いパーティーのつもりだったが、何故か特設された壇上に上げられている。


「えー、本日は、ガチャのお陰で新たに30名の仲間を加えることが出来ました。

別世界から来たそうなので色々面白い話が聞けると思います。みんなで仲良くしましょう。ご飯も遠慮せず食べてください。

それでは、かんぱーい!」


みんな乾杯の文化を知らない中、何とか声を上げ盛り下がらないようにしてくれた。助かる。




今回はそう、BBQパーティーだ。

リシュア達にはホームセンターで炭やら焼台やら複数購入してもらった。


話を聞く限りそんなに食べる物に隔たりがある感じはしなかったが、出来るだけシンプルな料理が良い気がしたんでBBQ。素材で勝負しよう。気が向いたらピザとかお菓子を食べてくれれば良い。




「地球の食材はどんな感じだ?」


「うむ!我々のいた世界とほぼ変わらぬな!あと2000年もすれば、グルメ分子が活動を活発化させて生物達もグルメ進化し出すぞ!とは言え十分に満足できるものだ!」


何を言ってるかはよく分からなかったが、ドワーフ的にはまだまだ食材の進化が足りないらしい。なんだよグルメ分子って。


「ごめんなさい、ショート。オリジンドワーフ達は文化を守り栄えさせる■■■様から授かった使命があるから、食べ物や娯楽、お酒にはうるさいのよ。地球の食べ物は十分美味しいわ。」


「そうなのか、それならしょうがないな」


■■■様ってのは聞いても全く理解できないので無視する。多分運営的にはまだ明かしてはいけない情報なのだろう。




そんなドワーフ達だが、ラナが勝手に作り始めたβ屋特製ラーメン電脳ネギトッピングが大変気に入ったそうだ。何でも電脳ネギのサイバー味が濃い家系のスープと絡みあってラーメン全体の旨味が電子爆発してるらしい。やっぱドワーフの味覚はイカれてるのかもしれない。




「なあ、ヴァンパイアヘリオスってどうやって栄養補給してるんだ?」


「恒星魔力。星魔力の中でも恒星の魔力が僕達のエネルギー源。一度浴びたら長時間活動できる。」


地球で言う太陽にも魔力が有るのだろうか?それにしてもヴァンパイアが太陽からエネルギーを得ているとは、因果なものである。彼らの世界の運営にはとんでもないひねくれ者がいる気がする。




面白いことが分かった。なんと彼ら異次元組はステータスの表示が出来ないらしい。会議室ではそのまま流していたが、改めてステータスについて見せながら説明すると大変驚かれた。まあ地球でも昨日今日の話だから別に威張ることは出来ない。


彼らはどうやら、非常に優れた科学力。そして魔法や魔力に関する深い知識。そのどちらも持ち合わせている。


前の世界では星系や星団規模で国家が存在していたらしい。

そもそもの規模感が違うなあ。色々教えてもらうことにしよう。




「…なるほどのう。それなら、我等オリジンドワーフに任せてくれ。魔導機械や武器の製作は得意分野だ。」


「ありがとうございます。私達は地上で活動しているので、何か要りようならご連絡下さい。また後日、魔石を持ってくるのでそのときに詳細は詰めましょう。」


リシュアがオリジンドワーフの誰かに何やら約束を取り付けていた。ドワーフはモノ作りが得意と言う地球産のファンタジー知識は間違っていないのか。




途中でヴァンパイアヘリオス達が模擬戦をしたいと言い出し、ラナとリシュアと闘っていた。


見た感じ、ラナが無茶苦茶強い。普段ラーメンしか作ってないとは思えない強さだ。リシュアはヴァンパイアヘリオス相手に勝ったり負けたり。


ヴァンパイア一族はどうやら戦闘民族らしく、訓練室の代理実戦システムを大変喜んでいた。あとラナが強さの秘訣とか宣ってβ屋の宣伝をしていた。ヴァンパイアに食わせるもんじゃないだろ家系は。




◆◆◆




和気藹々と進行していたパーティーだが、終盤に大事件が起きる。




もうそろそろ解散して、各自自由行動にでもしようかなぁと考えていたときだ、




「あ、あのぉ~。こちら、野田翔斗様のお宅で間違いないでしょうかぁ?」




気付いたら俺の目の前に、人の言葉を話す真っ黒なスライムが出現していた。




[!!…上位存在を確認!マスター、離れてください!]




珍しく焦ったベガの声に、俺も事態の緊急性を察し断神剣を召喚しながらその場を飛び退いた。




「あ、なんかすみません……敵意はないんですよぉ…少しお話が有るだけですぅ…」




その存在も異質だったが、それよりも周囲がやけに静かだ。


突然で気付かなかったが、——どうやら時間が止まっている。


箸で食べかけの海老を持ち上げる者、模擬戦で賭けでもしていたのか跳び上がらんばかりに喜ぶ者、お酒を片手に集まって談笑する者。そこにいた俺以外の全てが停止している。


俺の仲間や、これから仲間になっていく者達が危機に晒されている。


自分でも驚くくらいの激情が胸を覆い尽くした後、すっと冷静になった。




「……何者だ。何をしに来た?」


「あ、あ、いや、そのぉ…少し、お話と言うかぁ、お願い、何ですけどぉ」




目の前にいる得体の知れないスライムはそう言うと、急に変形を始める。


「…なんだお願いって。何故時間を止めている?」


「あ、それはそのぉ、なんと言うか、一応プライバシー保護と言いますか、はい。時間ではなく、稼働を停止している、と認識して頂ければ、よろしいかとぉ…」


目の前には可愛らしい1人の少女が立っていた。黒い髪に真っ白の貫頭衣。翼が生えていれば天使に見えるような格好をしている。


「わたし、一応この世界で管理と言うかぁ、運営と言うかぁ、させてもらってるんですよぉ…■■■■■と言う者ですぅ…あ、聞こえなくても大丈夫なんでぇ…」


運営か。まさか、こうやって接触する機会が有るとは思わなかった。


どんな抵抗も無駄になると悟った俺は、大人しく彼女の話を聞くことにする。


[…停止状態からの復帰が完了。マスター、お怪我は有りませんか?]


「あ、あ、あのぉ、ちょっとあなたはそのまま止まってて頂きたかったんですけどぉ…」


[対象から検知された■■■を解析…データに有りません。臨戦態勢に移行します]


どうやらベガも停止させられていたらしい。というか、自力で復活するとかホントになんでもアリだなこいつ……




「ううぅ~…もう単刀直入に言いますぅ。

あの、ハッキング行為を止めてもらって良いですかぁ?」

不憫

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― 新着の感想 ―
こんばんは。 明らかに被害者側(?)な不憫スライムちゃんは一旦置いといて……実はラーメンピザってあるんですよ翔斗さん! 確かピザハッ○が今年の2月初めに期間限定の第二弾を販売してたはずです。
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