土曜日 午後
「やっと二人になれたね」
一葉と共に霞を見送った後にリビング戻ると、一葉は持ってきた荷物を持ちながら言った
「いっぱい一緒にいたいって言ったのにな〜」
『すいません、上手く調整出来なくて…』
少し拗ねた顔を見せる一葉が可愛く見えた
「冗談だよ、龍司君も大変だものね〜これからの時間は私のために使ってね」
『それは勿論です!』
俺と霞のために気を使ってくれた一葉に感謝をしつつ抱きしめた
「続きは龍司君の部屋でもいい?」
『ええ、行きますか』
リビングを出て部屋へ向かう、一葉は頬を染めながらついてきた
「龍司君」
『んっ』
部屋に入るなり一葉はキスを求めてきた、俺は待たせたお詫びだと抱きしめながら唇を重ねた
『待たせたので何でも聞きますよ』
唇を離し、一葉の希望を聞こうと声をかけた
「もっとしたい」
一葉は持ってきた荷物を床に置き、俺を押してベッドへと誘導する
「ずっと楽しみにしてたし、一回キスしたら我慢出来なくなっちゃった」
『俺も、今日は期待してました』
「ふふふ、今日は私がしてあげるね」
一葉は俺を押し倒して、腹の上に乗った
「龍司君、好きだよ」
『一葉、俺も好きだ』
そして一葉と、二回目の関係を持った
「幸せだなぁ」
行為をした後に、一葉はそのまま俺の胸に頭を置いて転がっていた
「まだ胸がドクンドクンって鳴ってるね」
『それはそうだよ、一葉が傍にいるんだから』
「ふふふ、嬉しい」
一葉はそのまま俺の手を握ってきた
『そういえば二回目だったけど、身体はどうです?』
前回は正直痛かっただろうと思う、そういう話はよく聞くし前回からそこまで期間が空いてないから少し心配になった
「ん〜、なんだろう…龍司君とするって思ってたから身体は素直だったっていうか」
『それって』
身体は準備出来てたと言いたいのだろうか、一葉はこちらを見ずにいるが耳が赤くなっていた
「昨日は寝れた?」
『今日は朝から動くのがわかっていたので、ちゃんと昨日の夜は早めに寝ました』
初めてした時はお互い寝不足だったため寝てしまった、そのため双葉達に見られてしまった
「ふふふ、私は午前中少し遅めに起きたから今日は眠くないよ」
行為の後は疲れて眠くなる事があるみたいだが、今日はまだ元気がある
「あ、そうだ」
一葉はベッドから起き上がり、持ってきた紙袋の中身を取り出した
「これ作ってきたんだ」
部屋にあるテーブルに上に、手作りと思われるお菓子と水筒が置かれた
『クッキーと、その水筒は?』
「アップルティーを入れてきたの」
前に高梨家に遊びに来た時にクッキーを作ってもらった事があった、その時よりも形も良く美味しそうなクッキーが包んである
「はい、どうぞ」
一葉が紙袋から紙コップを取り出すと、アップルティーを入れてくれた
「あ、美味しい」
少し湯気の出ている紙コップを口に近づけて飲むと、飲みやすい適温で甘い香りが鼻から入ってきて少し甘かった
『良かった〜、龍司君好きなのかなって持ってきたんだ』
「でも、わざわざアップルティーなんて珍しいですね」
最初はお茶か普通の紅茶だと思ったので、わざわざアップルティーを入れてきてくれた事に驚いた
「そ、それはね」
一葉は何か言いにくいのか、下を向いて恥ずかしそうにしている
『ん?』
俺は何かあったかなと思い出そうとするが、すぐには出てこなかった
「前に高梨さんとデートしてた時に飲んでたから…」
『あ〜』
百合とデートした時にアップルティーを買っていた事がある、その後に一葉達を見つけて話をしたのを思い出した
『あの時の事を覚えてくれてたのですね』
「うん、ごめんね」
『いえいえ、アップルティー好きなので嬉しいですよ』
インスタントで作れるものとは違い、わざわざ工夫をしてくれたのがわかる
『これ手前かけてますよね、甘くて美味しいです』
「少しジャムとか混ぜてるんだ、私も最近はたまに飲んでたりするから」
俺の好みに合わせようとしてくれたのだろうか、一葉のそういうところが嬉しく感じた
「ちょっとおトイレ借りるね」
『あ、場所はわかりますか?』
「うん、大丈夫」
一葉が下着のまま部屋を出ていく、まだ誰も帰宅してないはずだがいつもと違う光景に変な感覚を覚えた
(さて午後三時頃か、まだ百合が帰るまでは時間があるな)
残りの時間をどう過ごすか悩んだ、その前に俺も温かい物を飲んで身体が温まったので、一度トイレに行こうと思った
「戻りました」
『あ、俺も行ってきますね』
一葉を部屋に残してトイレへ行く
(一葉は他に、何かしたい事があるかな)
一番大事な用事は部屋に入ってすぐに終わらせたので、後は何かしたい事があるか考えた
(恋人とかは部屋でどう過ごすんだろう)
よく部屋でゴロゴロしてるとか話をするとか、漫画を読んだりアルバムを見たりなどはシーンとしてはある
(いや、アルバムはないな)
中学の時の頃を思い出すと、そのアルバムでさえどこに置いたか覚えてなかった
(俺は経験が無さ過ぎだよな)
これから頻繁に女の子達と過ごす機会が増えるだろう、その時間をどう立ち回れるか自分に今は自信を持てなかった
『戻りました』
部屋に入ると一葉がいなかった、いやベッドの上の掛け布団に膨らみが見えるので中にいるのだろう
『一葉?』
声をかけると布団がもぞもぞと動く、一葉が顔だけを出すと恥ずかしそうにこちらを見ていた
『あれっ?』
床を見ると先程まで着けていた下着が落ちている、一葉の今の姿が想像がついた
「時間あるよね?」
『まぁ、まだ百合が帰るのには早いかも』
「もう一回、どうかな?」
そう言いながら俺の様子を伺ってくる、俺はベッドに近づいて掛け布団の上から一葉を抱きしめた
『いいよ、しようか』
「うん!」
一葉の希望に応えて布団に入る、俺の身体も一葉が欲しいのか反応をしていた
「二回もしちゃったね」
まさか今日だけで二回もするとは思わなかった、一回目は一葉がしてくれたので二回目は俺からした
「ね〜、腕枕して欲しい」
『どうぞ』
俺が腕を伸ばすと一葉が頭を乗せてこちらを見る
「好き」
『ありがとう』
一葉が一度唇を重ねてきた、また離れて腕に頭を乗せる
「たまにね、私だけが独占出来たらって思う事はあるの」
『あ〜』
当たり前の感情だろう、世間的にはそれが普通なのだから
「嫌ってわけじゃないの、他の皆の事は好きだし龍司君がこうやって応えてくれるから」
『すいません』
一葉だけを選ぶ事が出来ない自分の情けなさに、謝るしか出来なかった
「ううん、謝らなくていいの、ただそれだけ龍司君を好きだとわかって欲しいの」
『ありがとう、俺は百合以外で最初に好きになったのは一葉だから』
「なんかそう言われると、特別な感じがするね」
一葉が微笑んで嬉しそうにしている
『いや正直な気持ちだよ、一葉とはずっと一緒にいたい』
「私も、同じ気持ちだよ。何かプロポーズみたいだね」
『ごめん、色々と経験が少なすぎて表現は下手だけど…でも俺の本音だから』
「うん、いつかちゃんとプロポーズしてね」
『俺と一葉の二人だけではなく、三人とかになるかもしれないけど…』
「龍司君の傍にいられるなら私はそれでも構わないかな」
一葉は俺の胸に手を置いて、何かを感じようとしている
「いいよ、その分だけ私の事を大切にしてくれるなら」
一葉の掌の温もりで胸が温かくなってきた
『まだ先の事にはなるけど、ずっと傍にいて欲しい』
「うん、もっとお互いを知っていこうね」
俺を見る一葉は優しい顔をしていて、見ていて凄く可愛いと思えた
「お邪魔しました」
部屋でゆっくり過ごした後、百合の帰宅が予定通りだったため身なりを整えて部屋を出た
百合が夕飯を三人で食べる事を提案したが、今日は家族四人で食べるらしく一葉は帰るとの事だった
「柊さん、また月曜日ね」
「はい、また月曜日」
『じゃあ送ってくる』
「夕飯は作っておくね」
一葉を送るのに俺も共に家を出た
「次はまたいつ二人になれるかな」
明日の予定は決まっていて来週以降の事はわからない、ただなるべくは一葉との時間を持ちたかった
「でも龍司君とできるなら三人もありかもなぁ」
『えっ?』
一葉が頬を染めながらこちらを見ている、俺の想像以上に一葉はエッチなのかもしれないと思った
『百合と一葉以外とはまだしてないですし』
「でもそろそろ真白さんとは、何かありそうな気がするな」
『その予定はまだないですし、三人ってのも相手の同意もないと…』
「女の勘ってやつかな、そういう事も含めて皆とはもっと仲良くならないとなぁ」
一葉が俺といる時間を増やす方法を考えている、嬉しい事だが他の皆との相性はどうなのかはまだわからない
「私頑張るね、もっと変わるから!」
『俺も皆が仲良くしてくれるのは良いこと事だと思いますし、一葉が魅力的になるのは嬉しいです』
俺達の関係は、もっとこれから深くなっていくのだろうと思えた
こうして土曜日の一日は終わるのだった




