土曜日 昼
「龍司君、そういえば午後は誰が来るの?」
霞が持ってきた映画が終わり、確認なのか霞に午後の来客を聞かれた
『あ〜わかってると思うけど、一葉が来るかな』
そういえば昼ご飯を遅らせようとしていて、一葉には昼遅めに来て欲しいと、連絡するのを忘れていたのを思い出した
「それならもう来てる気がする」
霞がそう言うと、玄関に向かい外に出て確認をしていた
「ほら、柊先輩がいた」
霞を追いかけてリビングから玄関へ向かうと、開けたドアの先に一葉の姿が見えた
「あ、真白さん龍司君、こんにちは」
「こんにちは」
『すいません、少し遅めに来て欲しいと連絡するの忘れてました』
俺に気がついて笑顔を向ける一葉に、外に出て謝った
「あ、早く来すぎちゃった?」
昼の十二時よりまだ三十分ほど早い、俺も待ち合わせには早めに行かないとなと勉強させられる
「大丈夫、これから昼ご飯作るから一緒に食べましょう」
「え、いいの?」
霞が一葉に声をかけて家に誘う、俺は二人に申し訳ないと思いつつ家に迎えた
『すいません、少し朝食が遅めになったので、昼も少し遅く食べようと思ってたんですよ』
リビングに三人で移動して、一葉の荷物を受け取った
(これはお菓子かな?)
一葉から受け取った紙袋から何か甘い匂いがしたが、一葉が何も言わないので他の荷物とまとめて置いておいた
「お昼は何を作る予定だったの?」
『一応オムライスの予定でしたが、お昼は食べましたか?』
木曜日に約束していたのでお昼はオムライスの予定だった、霞はもうエプロンをつけて準備をしている
「ふむふむ、私も遅めの朝食だったから一緒に食べてもいいかな?」
一葉はお昼を食べてなかったのだろうか、その代わりに何か作って来てくれたのかもしれない
(先程の甘い匂いは後でって事かな?)
二人になったらって気持ちがあるのかもしれないので、先程の物には触れないでおいた
「それなら真白さん一緒に作ろうか、それで龍司君に食べてもらうのはどうかな?」
「龍司君が良いなら任せます」
俺と作る予定だったが、二人の仲がより良くなるなら一緒に作ってもらうのも良いのではないかと思えた
『もし良かったら、二人で作ってもらってもいいですか?』
俺が楽をしたいとかではなく、先の事を考えたら二人で作ってもらう方が少しでも仲良くなれるのではないかと思えた
「じゃあ真白さん、頑張ろうね!」
「お願いします」
俺のエプロンを一葉に渡して、冷蔵庫から必要な材料を出した
『ご飯は炊いてあるので、三人なら二合で足りますよね?』
映画を観る前に、ご飯は霞に研ぎ方を教えながらセットしておいた
『後は鶏モモ肉と玉ねぎとかこれを使って下さい、ウインナーとかも入れますか?』
「せっかくだから使いますか」
「ウインナー好き」
必要な材料を準備して、二人に任せて椅子に座った
『キッチン周りでわからない事があれば聞いてください』
「一応前に使わさせてもらったので、ある程度は大丈夫だよ〜」
「私も大丈夫だと思う」
まな板や包丁やフライパンは出してあるし、調味料や皿などは見えるところにあるので問題はなさそうだった
「そうそう、気をつけて切ってね」
一葉が霞に玉ねぎの切り方を教えていた、姉と妹と言われても問題ないくらい傍から見ても可愛い二人だった
(そういえば二人は学年も違うし、普段は話とかしてるのかな?)
最近は、自分自信の事ばかり考えていてあまり周りを見る余裕がなかったと思う。だから二人の仲も気になった
『二人って、普段話とかはするのですか?』
「ん〜、学年が違うから学校では部室くらいかな?」
「でも朝の登校の時や、メッセージもたまにする」
思っていたより二人の仲は良さそうに感じた、それならこの先も安心していけそうだ
「GWが明けた時は、少し柊先輩を警戒してたけど」
GWの時そしてそれが明けた朝に、二人が俺との登校を巡って揉めた事を思い出した
『そういえばその頃の霞って、何かおかしかったな』
今の霞とは別人かと思うくらい、態度や話し方が違っていた
「あ〜たしかに、私と部室で二人でいる時と違ってたよね」
普段はあまり喋らす静かに過ごしている、たまに口を開いても長話をするタイプでもなかった
「あの頃は父のパーティーに行く機会があって、なるべく外面のいい女性を演じる練習をしていた」
『なるほど』
どれくらいの規模かはわからないが、霞の父のパーティーならそれなりに人が集まるのだろう
「結構評判良かったし、お見合いの話も来た」
元々霞は可愛いし、そこに人当たりの良さもあればそういう話も来るのは間違いないのかもしれない
「でも龍司君には通じないから辞めた」
霞が外面の良さを辞めたのは俺だと言う、俺は通じ無いというより人に惚れるとかそういうのが、その頃は理解してなかったと思う
『霞は元々可愛いと思ってたし、素のままの霞でいいよ』
「ありがとう」
俺の言葉に鶏モモ肉を切りながら頬を染めている、邪魔をして怪我をされたら困るので黙っていようと思った
「ふふふ、龍司君は外見じゃなく中身で見てくれるものね」
『うっ』
一葉に悪気はないのだろう、本当の事を言ったつもりだろうが最近の俺には刺さった
『最初はそうだったけど、最近は二人が凄く可愛くて外見でも惚れてます…』
俺は正直に二人への気持ちを伝えた、こういう機会でもない限り言う機会があまりないからだ
「え、本当?」
「嬉しい」
二人は俺の言葉に喜んでいる、最近は思っている気持ちはちゃんと伝えないといけないなと思う事が増えたと思う
「出来たよ〜」
一葉と霞が、完成したオムライスを三人分持ってきてテーブルに並べる
『あっ』
俺の分だけ、ハートが二つ書いてあった
「私達の気持ちだよ」
「大好き」
『ありがとう、食べるのが勿体ないな』
二人が協力して作ってくれたオムライスは、店で食べるのより美味しそうに見えた
二人も食べる準備が出来たみたいなので、俺が飲み物は用意をした
『では、いただきます』
「いただきま〜す」
「いただきます」
三人でお昼ご飯を食べた、午前中に見たパールの映画の話をすると一葉も興味を持っていた
『ご馳走様でした、片付けは俺がするので座ってて下さい』
料理を作ってくれた御礼にと、洗い物は俺がすることにした
「真白さん、今度その映画見せて下さいね」
「今度一緒に観ましょう」
自分の愛犬が出ている映画に興味を持ってもらえて嬉しいのか、霞は饒舌に話をしていた
(二人の仲はまた良くなったのかな?)
別々に過ごすつもりがお昼は被ってしまったのだが、二人の様子を見る限りは問題は無さそうだった
(もしかしたら俺に気を使ってくれてるかもしれないけど…)
皆で過ごす時間とは別に、二人っきりで過ごす時間も欲しいと言われたので、調整はうまくやらないとなと思えた
「じゃあ帰ります、龍司君今日はありがとう」
『ああごめん、また月曜日な』
「柊先輩も、また月曜日に」
「うん、今度映画楽しみにしてるね」
そうして霞は帰っていった




