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バイト

「今日は暑いね〜」


梅雨も終わりなのか、七月に入り朝も結構暑く感じるようになってきた。隣を歩く百合は、朝から胸元を開けて風を入れるように仰いでいた


『百合、見えてるぞ』


先程から制服のブラウスをパタパタとするたびに、チラチラと青色の下着が目に入る


「別にいいわよこれくらい、どうせ中身は龍司にしか見えないんだから」


『そ、それはそうなんだが』


俺が注意しても気にしてないという態度に、周りの男子の視線が気になるが本人が言うならと任せた


『もう俺が入学してから三ヶ月くらい経つんだな』


たった三ヶ月なのに、あっという間に濃厚な時間を過ごしたと思う


「そうね、私は龍司がここまで変わると思ってなかったし、こんなにモテモテな男になるとは思わなかったなぁ」


『それは俺もだよ、というか俺みたいなやつ世の中に他にいないだろ』


入学してから二ヶ月ほどで自分の事を好きになってくれた子が五人もいて、そのうち一人は許婚になり他の四人も婚約者として付き合っている


(普通では考えられないな)


中学の時の自分に言っても、絶対に信じてはもらえないだろう


(いや普通信じられないよな)


今の状況が夢かもしれないと思う事は多々あるが、いくら頬をつねっても状況は変わらないのてあった


「あと一ヶ月もせずに夏休みだね、どこに行こうかな」


夏といえば海や祭りもあるだろう、そういえば部活の合宿もやりたいと言ってたような


『なんだかんだで、あっという間に過ぎそうな気もする』


「そうね、龍司の周りはイベント尽くしになりそうね」


幸せな事なのだろう、皆と楽しく過ごせたらなと思った








「おーす、龍司」


『大樹おはよう』


「今日は高梨先輩と登校してたみたいだな」


『あ〜百合と登校する日だしな』


曜日によって登下校の相手が基本決まっている、今日は百合と登下校する日なので間違いない


「美男美女のカップルを見たって、他校のやつが俺達のグループメッセージで言っててさ」


『なるほど』


大樹は中学の時の友人とたまに遊んだりもするらしい、その友人が朝登校していたら俺達を見て誰かと聞いてきたそうだ


「そういえば中学の時の友達が誕生日会やろうって言っててさ、まぁそれは名目で実際は合コンみたいなものなんだが」


『この前もそんな感じで、カラオケをやっていたような』


「あ〜なんかな、テニス部だからってそんなイメージに見られるのか、結構頼まれるんよな」


大学とかだと、テニスサークルはモテるとか女遊びが激しいとか、漫画では見たことがあるような


「他校にも龍司の話が言っててさ、呼んでくれとよく言われるんよ」


『俺はもう相手がいるから』


「そう!それを知らない子達が結構他校は多いから、毎回断るのが大変なわけよ」


『いや、知らんがな』


他人の事情は知らないけど、俺はこれ以上異性と関わる事は面倒だと思っていた


『そんな無理しなくてもいいのに』


「まぁこういうのも将来的にどう影響するかわからないしな、ただ誕生日のプレゼント代とかカラオケとかで遊ぶ金とか、バイトしないと結構厳しいんだよな」


大樹は大樹なりに色々と考えて動いてるらしい、話を聞くといいバイトを紹介されたり、普段は利用出来ない施設を友人の親の力で使えたりとメリットもあるとか


『バイトか』


俺も最近思っていることがある、毎月親から貰える小遣いやお年玉などの、貯金を崩してやってくのには足りないんじゃないかと


(ただでさえ五人の女の子がいて、デート代や誕生日のプレゼント代も考えないといけないしな)


余裕を持つためにバイトをしたいと前から思ってはいたが、なかなか家族の了承がもらえない


「そのうちいいバイトあれば紹介するか?」


『うちは家族が駄目っていうからな、また相談はしてみるけど』


「龍司は色々とお金がかかりそうだしな」


大樹は霞達を見ながら言っていた


「大丈夫、龍司君は私達が養うから」


『いや、俺はヒモになるつもりはないぞ』


俺達の話を聞いていたのか、霞が話に入ってきた


「その気持ちは大事」


『ああ、頑張るからな』


「いいなぁ龍司は」


朝の会話で俺が将来ヒモになりそうだったので、なんとか回避をすることに成功したようだった








「バイトがしたいの?」


家に帰宅をしてから、今日の流れからの話を百合に相談をした


『プレゼント代とか、自分で働いた金で買いたいなって思ってさ』


「まぁ、それは貰う方も嬉しいわよね」


『せっかく高校生になったし、バイトもしてみたいけど百合も母さんも駄目って言うからさ』


何度か相談した事はあったが、入学したてだから学業や部活を優先するように言われていた


「私達も過保護だからねぇ、でももう龍司も外で女を作るとかなさそうだしなぁ」


『えっ?』


何か俺が考えていたのとは、違う理由が聞こえる


「でもなぁバイト先で変な友人が出来たりして、放課後や休日を潰されて私達との時間がなくなるのもなぁ」


『あ、うん?』


何か懸念点が俺の想像と違っている、百合は俺の事を考えてくれてるのは間違いはなさそうだが


「そうなると…」


『そうなると?』


「私とモデルやるか、いや…でも龍司が雑誌に載ったりしたらまた学校でうるさくなったりしそうだしなぁ」


百合が言うモデルは、母さんの仕事の関係で紹介された雑誌などのモデルだろう、それに俺も参加するという事なのだろうか


「ちょうど男性のモデルが足りないって話があって、いい人いないかこの前聞かれていたのよね」


『そうなのか』


モデルなんか生半可な気持ちでやれる事でも無いと思うが、しかも母や百合の関係ならミスなどするのが怖い


「毎週あるわけでもないし、結構お金も日払いで貰えたりしていいのよね、母さん経由で来るから信用も出来るし」


条件を聞くだけだとかなりいい、ちゃんと予定を組めば休日の過ごし方も上手くやれそうだった


「下手なバイトされるよりいいかなぁ、お母さんに聞いてみるから少し待ってなさい」


『わかった』


バイトの件は百合に任せれば大丈夫だろう、これからの事を考えたらお金はいくらあっても足りないくらいだと思ってる


(自分で稼いだ金でプレゼントを買いたいし、それに…)


俺には少し前から考えていた目標があった、それを達成するためにはかなりお金が足りないのはわかっていた


(後はその時期をいつにするかだな)


夏だと早いだろう、そうなると冬のクリスマス辺りがいいのかもしれない


今の俺達の関係をもっと大切にするためにも、それは自分で考えて行動しないといけないと思えた


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