霞のお願い
「龍司君、土曜日空いてる?」
一葉と約束をした次の日の朝、霞と登校していると土曜日の予定を聞かれた
『土曜日か、ちょっと用事があるから厳しいかも』
昨日一葉と土曜日は二人で過ごそうと約束をしたため、霞の誘いは断るしかなかった
「そう、日曜日にお父さんとお母さんが帰るかもしれなくて、何か作ってあげたかった」
隣で話す霞は、少し落ち込んでいるようだった
(そういえば料理が出来るようになりたいと言ってたな)
前に高梨家で一緒に料理をした時に真剣に覚えようとしていた、その事を考えると両親に何か作ってあげたいのかもしれない
『霞の親ってたまにしか帰らないんだっけ?』
普段は仕事で海外にいる事も多いと聞く、祖父母も旅行で家を空けることが多いため、霞が一人でいるのも多いと聞いていた
「うん、明日はもしかしたら帰れるかもって言ってた。後は来週は絶対帰るって」
『来週?何かあるのか?』
「あっ」
普段はあまり家の事や自分の事を話す事は少ないので、霞にしては珍しいと思った
「それは内緒、でもそのうち話す」
言う予定ではなかったと隠そうするのがわかったが、俺は追及はしない事にした
(言いたくない事もあるだろうし、そのうち話してくれるみたいならそれでいい)
「日曜日は確定ではないけど、土曜日に練習したかった」
『ふむ』
(どうしようか、それなら少しでも力になりたいけど)
一葉との約束は守りたいし、個人的にも二人になりたい理由もある
「最近龍司君と二人で過ごす時間もなかったから、出来れば一緒にいたい」
一葉だけではなく、霞もそういう気持ちは持ってくれているようだった
(そうだよな、一人だけを特別扱いは出来ないよな)
一葉と過ごしたいから霞を蔑ろにするのはおかしな話だろう、だが二人がいいと言うなら霞の料理の練習に一葉を呼ぶのもおかしい
『ちょっと予定の調整をするから、少し時間をくれないか?』
「わかった、待ってる」
学校に着いてから、一葉にメッセージを送って相談をする事にした
『土曜日の事で相談があるんですけど』
教室についてから、一葉にメッセージを飛ばした
一限目の授業が終わり、確認をすると返事が来ていた
「どうしました?」
『霞が土曜日に料理を教えて欲しいと言うので、午前か午後のどちらかを使いたくて』
そう送り返すとすぐに返事が来た
「真白さんも龍司君と二人がいいでしょうし、私はなるべく長く一緒にいたいので午後をもらえると嬉しいかな」
俺の突然の予定の変更にも、一葉は対応をしてくれるみたいだった
『ごめん、霞にも事情があるからさ、土曜日の午後は沢山一緒にいよう』
「わかってますよ〜、楽しみにしてるからね」
一葉との調整も出来たので、土曜日の午前は霞と料理をして、午後は一葉と過ごす事になった
『土曜日の午後は用事があるから、午前中早めに来れるか?』
「わかった、九時でもいい?」
霞に送るとすぐに帰って来たので、いいよと返しておいた
「ねぇねぇ龍司君、土曜日か日曜日は空いてる?」
昼休みになり、皆でお弁当を食べていると双葉に声をかけられた
『あ〜、土曜日は予定が埋まってるかな』
「じゃあ日曜日会えないかな?」
「ねぇ、私も龍司君と会いたいんだけど」
俺と双葉の会話に桜も混ざってくる、霞は土曜日に予定を入れてるので黙っていた
「真白さんが黙っているのはそういう事よね」
「お姉ちゃんも土曜日予定あるって昨日言ってたなぁ」
土曜日の予定は悟られたらしい、日曜日は私達とと言われた
『やっぱり二人共、別々に会うのがいいよな?』
六人で交際をしているといっても、やはり二人っきりになりたい気持ちはあるのはわかっていた
「そうね、二人っきりのが都合がいいわよね」
「う〜ん、私も二人で過ごしたいかな」
二人が何を考えているのかわからないが、それなら別々の方がいいだろうと思えた
『じゃあ午前か午後で分けようか』
一葉や霞との土曜日と同じく、日曜日も二人と別々に会うことにした
「私は隣で朝一から行けるから、柊さんは午後にする?」
「それでいいのですか?」
「その分朝早めに叩き起こすから大丈夫よ」
『お、俺の睡眠の権利は…』
「諦めなさい」
これもまた六人で交際している俺の責任なのだろう、日曜日も二人のために頑張ろうと思った
『じゃあ日曜日はそんな感じで』
「いいわ楽しみにしてる」
「私も!どうしようかな〜」
二人は予定が決まって嬉しい様だった
(今週は百合がバイトで良かったかも)
この予定に百合までいたら、どこで穴を埋めるかという話になるとこだった
(まぁ百合なら夜とかもあるか、同じ家だし)
出かけたいと言われたら難しいが、その時はその時で調整が必要だなと、これからも毎週がどうなるか読めないと思った
『そういえば何を作るか決めてるのか?』
「決めてはない、卵料理とかしてみたい」
放課後になり部活が終わってから、霞との帰り道に土曜日に何を作りたいのか聞いてみた
『卵料理か〜、オムライスとか作ってみるか?』
オムライスなら俺でも出来る料理だ、出来上がったものに絵や文字と描いたり出来るのも面白い
「やってみたい」
『よし、とりあえずオムライスと他に何か考えておくな』
「うん、ありがとう」
(親に料理を作ってあげたいとか、霞もそういうところもあるんだな)
俺の知る限りでは親子の仲は悪くはなさそうだ、ただ普段はあまり家にいないとは聞いていた
(土曜日は少しでも覚えて帰れるようにしよう)
土曜日のお昼はそれで済ませる事になりそうだ、一葉にはお昼は食べてから来てくれるように伝える事にした




