一葉の手伝い
「今日の放課後、お願いしたい事があるんだけどいいかな?」
今日は一葉と登下校をする日だ、二人で歩いていると一葉から頼み事をされた
『いいですけど、買い物とかですか?』
部室へ鍵をかける関係上、部長の一葉と合鍵を持つ俺が基本的に開け締めをしている
(まぁ皆信頼出来るから、鍵を預けても問題なさそうだが)
早めに下校するのなら、部活をいつもより早く終わらせるのもありだった
「ううん、部室で出来る事だから部室でお願いしたいかな」
『なるほど、了解です』
一葉の頼みは部活動の関係なのかもしれない、他の皆もいてもいいと言う事なので、協力をしてもらうみたいだった
『じゃあ放課後手伝いますね』
「うん、お願いします!」
今日の放課後は、皆で一葉の手伝いをする事になった
『ここらへんでいいのですか?』
「うん、そこでお願い」
放課後になり部室には生徒会の活動のある百合を除く五人で集まった、その後俺だけが壁を背にして椅子に座らされていた
『それでこの後は何をすれば?』
「龍司君はそのまま座ってて、皆さんお願いします」
一葉は何かメモを取るように構えている、まずは双葉が近づいてきた
「し、失礼します」
双葉は俺に近づくと手を伸ばしてきた
(お、なんだこれ見たことがあるような)
双葉の手は俺の横を通り壁に手をついた
(お〜近い、てかいい匂いがする…)
恥ずかしいのか双葉は、俺と目が合わないように顔を少し横にしていた
「双葉、もっと俺様風に強気にして」
俺達を見守る一葉は、真剣な顔をして何かを描いていた
『あれ、もしかしてこれ漫画の資料みたいな?』
「あ、そうです、壁ドンとか見たくて」
『なるほどね〜それならそうと言って欲しかったな』
別に嫌とかでないが、何をするかわかっていれば協力もしやすいものだ
『俺は座ってるだけでいいのですか?』
「うんいいよ、他の皆の動きや反応もみたいから」
一葉の描いてるものは、もしかしたら男性へ女性がしているパターンなのかもしれない
「次は私の番」
双葉が離れた後、霞が近づいてくる
「んっ」
先程と同じく俺の横を手が通り霞の顔が近づいて来たが、そのまま唇を重ねてきた
『んっ!?』
「こら真白さん、何をしているの」
桜が霞に注意をすると霞は唇を離したが、悪びれた様子はなかった
「手が短いから手をつく前に唇がついた」
霞は身長が低いので手もたしかにその分短めではあるだろうが、壁へ届かないかどうかは微妙なところだ
(まぁ確信犯だろうな)
霞の顔を見る限り、狙ってたとわかるくらいに余裕の顔をしている
「なるほどなるほど」
一葉はその様子を真剣に描き続けている
「そうなると私はどうしようかしら」
少し悩みながら、桜が近づいてきた
「あ、黒音さんこういうのお願い出来る?」
一葉が桜へ耳打ちをしている、桜がこちらを向いて怪しい笑みを浮かべた
「柊先輩に言われたら仕方ないわね」
桜は俺の膝の上に跨るように乗った、そしてそのまま抱きしめてくる
『桜、これは?』
「柊先輩がやれって言ったのよ、仕方ないでしょ」
あからさまに嫌がっていない桜がいるが、俺は今抱きしめられて顔が二つの柔らかいものに塞がれていた
(温かいし柔らかいのは最高なんだが、もうこれ壁ドンでも何でもないな)
頭の上からは桜の何か色気のある吐息が聞こえてくる、俺は緊張してそのまま動けないでいた
「真白さんも黒音さんもズルいよ、私だけ普通だったじゃん!」
双葉が少し離れたところから抗議していた、双葉ももっとしたいと一葉にお願いしている
「黒音さんありがとう、私もちょっとしてみようかな」
言われて桜が離れると、一葉が近づいてきた
「いくね」
一葉がそう言うと、俺に近づいて手を顔の横に伸ばした
「よいしょ」
手を壁についた時、俺と一葉はもう少し顔が近づけば唇を重ねられる距離まで来ていた
「はぁっ」
俺と目があった一葉は少し頬を染めていた、色気のある呼吸がしてこの前の事を思い出してしまう
(この前以来一葉を見ると、少しもやもやするというか…なんだろうなんとなく一葉が欲しいと思う)
俺の思いが一葉と同じなのかわからないが、一葉が耳に口を寄せて囁いてきた
「ねぇ、キスしたいな」
一葉がその言葉を口にして、顔を元の位置に戻してすぐに唇を重ねてきた
『んっ』
土曜日以来の色気を一葉から感じた、一葉ももっと俺としたかったのかもしれない
「あ〜、お姉ちゃんずるい!」
「柊先輩やりすぎよ!」
双葉と桜が、二人で一葉の背中を押した
「んんっ」
『ん〜!』
その分一葉の圧力が、俺の唇や胸に押しつけられるだけだった
「ふ〜、龍司君ごめんね」
『いえいえ、大丈夫ですよ』
少し顔を赤くしている一葉が俺に謝ってきた、俺は嫌ではなかったと一葉に伝えた
「へ〜面白そうな事してたのね」
部室の入口から声が聞こえて見ると、百合が扉を開けて覗いていた
「なるほどなるほど」
部屋に入り一葉からやっていた事を聞くと、百合が近づいてきた
「私がこの前漫画で見たシーンの再現はどうかしら」
『それって大丈夫なやつだよな?』
百合はたまに女性向けの漫画を読んでたりして、少し横から見ると過激なシーンもあったりしている
(まぁそういう事はしているから、恥ずかしくて見れませんとか俺達にはまだ早いとかはないけど)
「何よ〜ちゃんと全年齢向けな漫画よ!」
『俺はこのまま座ってていいの?』
「いいわ、行くわよ〜」
そう言いながら上履きを脱いで足を上げた百合は、俺の顔の横を通らせて壁を足で踏んだ
「これが足ドンよ」
『百合、紫』
「ああ、今日はちょっとエッチなの履いてるわね」
そう言いながら俺を見ている百合は、少し恥ずかしそうにしていた
(近いんだがな)
少し顔を前に出せば、百合の下着に顔が当たるくらいまで近づいていた
『恥ずかしいから足を降ろしてくれ』
「そ、そうね」
漫画の世界とリアルでは、やはり違うものだと感じていたみたいだ
「高梨さんありがとうございます、皆さんもご協力ありがとうございました」
色々と参考になったと、一葉はメモをしたものを見返しながら感謝をしていた
「もしかしたら本格的に応募してみるかもしれなくて、また良かったら手伝ってもらえますか?」
『俺達で良ければいくらでも手伝いますよ』
「ええ、任せなさい」
「大丈夫です、頑張りましょう」
「皆ありがとう!」
一葉の力になれるなら、俺達はいくらでも手伝うつもりでいる
『百合が来たって事はもう下校の時間か』
「そうね、終わったのなら帰りましょうか」
俺達は片付けをして部室を出た
「龍司君、今日はありがとう」
『いえいえ、力になれたのなら良かったです』
一葉と二人で帰りながら話をしていた
「そういえばね、私が壁ドンをしようとした時なんだけど」
『あ〜、うん』
先程の部室での事を思い出した、一葉が前より色っぽいと思えた
「龍司君に近づいたら、ちょっとエッチな気持ちになっちゃった」
一葉は頬を染めながらこちらを見てくる、俺も同じ気持ちになっていたので少し嬉しかった
『俺も正直そう思ったよ、やっぱり土曜日の事があってから一葉の事は意識しちゃうかも』
「う、嬉しいよ…今日家に誰もいなかったら良かったのにな」
『あ〜うちも今日は百合だけではなく母も帰りが早いと言ってたかな』
どのみち時間的にも厳しかったが、お互いそういう気持ちになった時に出来ないのは残念だと思えた
「ねぇ、土曜日か日曜日は空いてるかな?」
『あ〜母さんは仕事で、百合も今週はバイトと言ってたから家にいないかな』
今の予定だと都合の良いことに、一葉と会えるかもしれないと思った
「じゃ、じゃあ土曜日会いたい」
腕を組んでいた手に力が入る、俺は一葉の頭を撫でてあげた
『そうですね、二人で過ごしますか』
「いいの!?」
『いいですよ、後で他の予定入らないように考えますか』
「うん、嬉しい!」
一葉と関係を持って以降もっと傍にいたいと思うようになった、これは他の子でも同じになるのかは今はわからない
けれどそういう感情を持てるようになった自分は変わったし、皆のおかげで変われたのだろうと思えた




