表と裏 5
(失敗した…)
(失敗した…)
(失敗した…)
(失敗した失敗した失敗した…)
上手くいってたのに最後の最後にジャージを見られた
…いやこれ俺のせいじゃなくて姉のせいじゃね…
『しかし…柊先輩か…』
知らない人だったら良かった
まさか声をかけて目があった瞬間頭が真っ白になってどう誤魔化すかでずっと頭がいっぱいだったんだ
ただ相手が疑問を感じる顔をした時にそういえば今の俺は認識されてないんじゃないかという結論にいたりなんとか家まで送り届ける事が出来た
『はぁ…もっと早く撤収すれば良かった…』
(次はないけど次は気をつけよう)
『ただいま〜』
「あんたいったい何時だと思っっっっ!!どうしたのそれ!!」
『何が?』
「ほっぺから血が出てるじゃんよ!!お母さん救急箱!!」
『いやたいしたことはないよ、上手く掠らせただけだか…ら、あ、やべ』
「ほー?もう逃げられると思うなよ」
『ごめんなさいごめんなさい、優しく消毒して痛い!痛いって!』
(あのおっさんより姉のが怖いわ…)
「つまり酒飲んだ爺に私の同級生が絡まれてて助けたと…?」
『まぁ…そんな感じ…かな』
「多少説明に腑に落ちないとこもあるけどまぁいいわ、あんたが無事ならね」
「そうね〜心配になるから無理はしないで欲しいわ〜、勿論龍ちゃんの事は信じてるのよ?」
『母さんごめん…』
『そういえばこの頬の傷さ、どれくらいで治るかな?』
「どうして?」
『いや、月曜日俺の事探すって可能性があるんだ』
「ふむ?」
『姉ちゃんが着てけって行ったからジャージ見られたんだよ〜…』
「あー、はいはい。じゃあ月曜日上手く隠してあげるよ」
『本当に!?』
「ただ限界があるからね、至近距離で見られたらバレる可能性があるからね!」
『OK!死守する』
「とりあえず今日の反省として土日は家で大人しくしてなさい」
『了解しました…』
これでなんとか月曜日は凌げるだろうか…