二人の母
「お姉ちゃん!」
どれくらい寝ていたのだろうか、声が聞こえて目を開けると双葉が俺達の前にいた
(あ〜そうか、一葉とした後に少し話して寝たんだっけ)
寝る前の事を思い出し、横でまだ寝ている一葉を見ると気持ち良さそうに寝ていた
(てか俺達裸のまま寝てたのか)
俺も一葉もした後のままの格好だった、今日の昼は暖かったので風邪を引いたりはなさそうだと思う
「あ、あの…」
「あらまぁ」
視線を俺達を見る人に向けると、双葉と双葉達の母がこちらを見ていた
『あ、おはようございます』
「うんおはよう、それでどういうことかしら?」
笑顔で話しているが、怒っているのか喜んでいるのか表情からは読めない
「龍司君大好き」
横で寝言を言っている一葉は、まだ起きる様子がなかった
『どんな夢を見てるんだよ』
「お姉ちゃん、起きて!」
双葉が寝ている一葉の肩を揺さぶるがまだ起きない
「ん〜」
「二人共、ちゃんと服を来たらリビングに来なさい」
双葉達の母はそう言うと、部屋から出ていった
(怒ってるのかな?急がないと)
『一葉、一葉!起きろ』
「ん、龍司君?」
俺が一葉の肩を揺すると、徐々に目を覚ました
「あ〜龍司君だ〜」
体を起こした一葉は俺に抱きついてくる
「龍司君の匂い好き〜、ん〜」
俺の首あたりの匂いを嗅いだ後に、唇を近づけて来るが双葉が遮った
「お姉ちゃん!早く着替えないとお母さんに怒られるよ!」
「ひゃっ!?」
一葉は驚き、横にいる双葉に気がついた
「ふ、双葉!?」
「お姉ちゃんなんで裸なのよ、お母さんが服着てリビングに来なさいって言ってるよ」
「あわわわわ、龍司君どうしよう…」
予定より寝すぎたのか、外も多少日が落ちる時間だった
『とりあえず服着ようか、双葉悪いけど先に行ってて』
そう一葉に促し、双葉にも部屋を出てもらい服を着た
「見られちゃったね」
一葉はこちらを見て恥ずかしそうにしている
『まぁ仕方ない、ちゃんと話をしよう』
そう言って一葉に一度キスをして部屋を出た
「うん、龍司君大好き!」
一葉と共にリビングへ向かった
「それで、これはどういうことかしら?」
リビングに入ると、一葉の脱いだ服がソファーに置いてあった
「心配して部屋に行ってみれば二人は裸で寝ているし、もうちょっとうまくやりなさいよ」
二人の母は怒っているわけではなく、呆れていた
「だって〜、気合を入れるというか龍司君に覚悟を決めたよって見せたくて…」
一葉は照れながら目の前にいる双葉と母に言い訳をしたいた
俺と一葉は四人用のテーブルに横並びに座り、反対の椅子に双葉と母が座りこちらを見ている
「それで龍司君は、一葉との責任を取ってくれるのかしら」
俺の前に座る二人の母が、俺を真っ直ぐに見ている
『すいません』
「謝るって事は責任は取れないのかしら?」
『いえ違います。帰ってこの状況は驚かれたと思うので、責任は勿論取るつもりで一葉としました。俺は一葉を大切にしたいと思っています』
「龍司君」
隣から一葉の声が聞こえたが、俺は二人の母をずっと見ていた
「双葉の事は?」
横にいる双葉へ視線を向けると、不安そうにしていた
『双葉の事も大切にしたいと思っています、そう簡単に言える話ではないかもしれませんが、二人への想いは本気です』
俺は正直に思っている事を伝えた
「…」
二人の母は少し目を瞑り考えていた、二人の将来を考えたら簡単なものではないのだろう
「龍司君は他にも女の子がいるのよね、それでもうちの子達もちゃんと幸せにしてくれるの?」
真剣な顔でこちらを見て話している
『したいと思っています、自分の置かれている状況は普通とは違うと思いますが、皆が自分を大切にしてくれる限り自分も応えたいと思っています』
思っている事を正直に話す、親としては思うところもあるはずだ
「二人が惚れてる相手を諦めろなんて、親の言える事ではないわ。だから約束して、二人を泣かせる事だけは許さないからね」
今回の話は形式な部分もあったのかもしれないし、親として俺への確認もあったのかもしれない
『約束します、二人を幸せにします』
「龍司君、私はずっと傍にいるよ」
「私だって、龍司君以外は考えられないんだから!」
俺の言葉に二人も応えてくれた
「親としてはね、若さとか一時の気の誤りとかそういうのもあるのはわかるけど、身体に傷をつけるような事はちゃんと将来的にも責任を取って欲しいと思うの、だから一葉達のためにも気が変わらない事をお願いするわ」
『わかっています、遊びでは終わらせません』
「私も龍司君とさよならなんて考えられないもん」
俺と一葉は二人で母に約束をした、双葉も気持ちは変わらないからと伝えていた
「子供の気持ちは優先してあげたいからいいけど、ちゃんと学校を卒業するまでは気をつけてね」
『迷惑をかける事はないよう気をつけます』
俺は二人の親を裏切らないようにしたいと思った
「だけど孫は早く見たいから、楽しみにしてるわね」
「お母さん!」
先程とは違って優しく笑いながら言っていた
(子供か…高校を卒業してから働くか大学へ行くか色々と考えないとな)
まだまだ先の事だが、三年なんてあっという間に過ぎてしまう、皆との将来も後々話合わないとなと思った
『ところで、双葉はさっきから何を見てるんだ?』
先程から見ていると、こまめにスマートフォンをチェックしている様子だった
「あ〜龍司君達も、グループメッセージを見るといいかも?」
『えっ?』
言われてメッセージを確認をすると、通知数が凄い事になっていた
「実は龍司君としたら、ちゃんと報告する事になってまして…」
履歴が遡れないが一葉か双葉が報告し、話が盛り上がっていたみたいだ
「次は絶対私の番」
そう言いながら次は私の番ですという、謎のスタンプを連打している霞の返信があった
「龍司君はこれから忙しくなりそうだね」
双葉が笑いながら言っている
「私ももっとするもん!」
『あはは、一応二人の親の前だから止めような』
俺は恥ずかしさに二人を止めるしかなかった
『明日は二人共うちに来るんだっけ?』
今日は一葉以外は、高梨家で母に化粧を教わっていた
「今日はね、デート用の化粧とか教わったかな」
たしかに言われて見ると双葉はいつもより綺麗で髪型も可愛いと思えた
「明日は学校用の軽めのって言ってたかな」
『なるほど』
土日でしっかりと教えてくれるらしい、母には感謝しないとと思えた
「私も月曜日からは、龍司君の女だって自信持って行きたいから頑張る!」
一葉が気合を入れていた
『そうだな、一葉はもっと自分に自信を持ってくれると嬉しいかな』
「うん、この前図書室で話した時のように、私もっと勉強も運動も楽しむから!」
一葉はこれから変わっていければいいなと思えた、他人のために我慢する事はないのだから
(俺は明日はどう過ごすかな)
外出は禁止だろうから皆を見ているか部屋で過ごすか考えようと思った




