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一葉の涙 1

今日も六人で登校をしていた、相変わらず俺達は見世物みたいに視線を感じていた


(いい加減、飽きないものかね)


三日ほど経つのに、他人の事によくそこまで関心があるなと思っていた


『そういえば、百合や一葉はどうだった?』


昨日のラブレターの件でバタバタしていて、二人の事は聞いていなかった


「あ〜私はいつもと変わらないかな、しょっちゅう後輩から手紙入ってたり告白されたりするけどね」


『え?そうなの?』


「ふふふ、私は結構モテるのよ。その私を独占してるのだから誇りなさい」


百合は自分の胸に手を添えて、アピールしていた


『俺は幸せものですね』


「そうよ、私以外にもモテる女の子達が周りにいるのだから、自信を持ってもらわないと困るわね」


皆が俺を見ていた、何度見ても可愛い女の子達だ


「そういえば柊さんも、五人くらいからもらってたよね〜」


「高梨さん、言わないで〜」


一葉の印象が明るくなってから良さに気がついたのか、一葉に近寄る男が増えているらしい


「一応読んだけど、龍司君にしか興味ないから気にしないでね!」


『ありがとう一葉、嬉しいよ』


そう言いながら手を握ってきた一葉は涙目だった


(あまり異性とか苦手そうだもんな、いきなりこうなったら疲れるよな)


『百合、一葉の事は頼むよ』


「あ〜たまに声かけられてるみたいだけど、しつこいやつがいたら対処しとくわよ」


「高梨さん、すいません」


百合と一葉は仲良く出来てるようだ、落ち着くまでは任せるしかなかった






「私は二枚ですね、霞さんも二枚、龍司君は?」


『さすがに減ってる、六枚ほどかな?桜は?』


「三枚あるけど、中身は相変わらずね」


昨日よりは減ったが今日も入っていた、桜だけは何故かラブレターではなく呪いの手紙だったが


『なんで桜はそんなのばかりなんだ?』


「仕方ないわよ、中学の時から私はそういうイメージなの。自業自得だから受け入れてるわ、でも龍司君の傍にいられるからいい」


過去の事が原因らしい、もしかしたら中学の時の同級生が、こういう手紙を入れてるのかなと思った


『何かされたらすぐに言ってくれよな』


「今のところ実害はないから、何かあったら頼るわよ」


桜は前からそうだったのかもしれない、でも慣れたから大丈夫って話でもないので、後で考えないといけないと思った




教室に移動し一日を過ごした、相変わらず休み時間に俺達を見に来る他の教室の生徒や、別の学年の先輩がいるように視線を感じた


(一回見たら満足するのだろう、もう少し我慢すれば落ち着くかな)


日に日に減っていくので、暫く我慢すればいいと思っていた






「龍司君、飲み物買いに行かない?」


放課後、部室にいたら一葉に誘われた


『いいですね。たまには行きますか』


他の皆は大丈夫だと言うので、二人で売店に行くことにした




「なんか二人で放課後に、校舎内を歩くのも久しぶりかも」


最近は色々とバタバタしていたので、一葉と知り合った頃を思い出した


『あの頃はこんな関係になるとは思わなかったなぁ』


二ヶ月ほど前を思い出すと、今日まであっという間に過ぎたなと思った


「ね〜、あの頃は面白い後輩君だと思って、そこから好きな人になったんだけど」


一葉はそう言いながら、頬を染めて下を向いていた


『まぁ俺もそうだったけど、でも今は…』


「あ〜!噂の高梨君じゃ〜ん」


声をした方を見ると、俺達の正面から知らない女子が三人歩いてきた




(誰だ?)


俺は認識はなく、一葉を見ると少し様子がおかしく見えた


ジャージの色から三年生だとは思えたが、百合の知り合いというわけでもなさそうだった


「君、高梨さんの弟らしいじゃん」


『姉の友人ですか?』


「別に〜そこまでじゃないけど、なんかかっこいい一年がいると聞いてさ〜」


笑顔というよりは、ニヤニヤとこちらを見定めているような視線で近づいてくる


他の二人も、真ん中の女子と共に徐々に近づいてきた


「へぇ~、いいじゃん、私達とちょっと遊ぼうよ」


「うわ、結構筋肉ついてるじゃん」


俺に近づいて腕や胸を触ってくる


『ちょ、ちょっと先輩達』


「いいじゃんいいじゃん、いい事教えてあげるからさ〜」


「ちょっとそこの空き教室に入ろうよ〜」


俺の首に手を回し、抱きつきながら顔を近づけてきた


『すいません、俺用があるんで』


近づけてきた顔を避けるように、顔を横に向けた


「はぁ?私達が誘ってんのにさ〜、そこの地味な女より私達のがいい事教えてあげられるからおいでよ」


一葉はずっと不安そうな顔をしながら、俺達のやり取りを見ていた


「あ、あの…」


「おめえいつまで見てんだよ、早く消えろや」


一葉が話に割って入ろうとしたが、三人のうちの一人が一葉に暴言を吐いた


「っ!」


一葉は俺を見て、悲しそうな顔をしながら走り始めた


『えっ、ちょ…』


一葉が走り去る時に、泣いてるように見えた


「邪魔者もいなくなったし、行こうか」


三人が俺を、すぐ近くの空き教室へと連れて行こうとしてきた


『…いい加減にしろ!』


俺は大きな声と共に、目の前の女子の肩を押して距離を取る


『くそっ』


俺は三人をその場に置いて、一葉を追いかけた


(今四階だから、下の階で一葉の行きそうなとこは…)


一葉の行き先で、思い当たるとこがいくつかあったので急いで向かう事にした






(あとはここか)


売店にはいなく、メッセージや電話をかけても通じないので少し見て回った


途中で、前に図書室で知り合った事を思い出し本来なら閉まっているはずの図書室に行くと、何故か鍵が開いていた


中に入ると誰もいなく気配もなかったが、一葉がなんとなくいる気がした




(やっぱりいた)


奥まで行くと、一葉が体育座りで床にいた


『一葉』


「…」


一葉は登下校で着る制服姿なので、体育座りだとスカートから下着が見えていた


『パンツ、見えてますよ』


「…見ればいいじゃん」


拗ねるように言う一葉を可愛いと思ったが、冗談をいう状況ではないのだと思い隣に腰を下ろした


『一葉ごめん』


「…」


『もっと早く対処するべきだったよな』


「…」


一葉は暫く、言葉を出さずに膝に伏していた


(こういう事は予想してなかったな、二人でいる時にあんな事してくる人もいるとは…)


先程の件、一葉を探している最中に三年の教室を見に行ったら、先程の三人が見えた


(後で百合に相談しておこう)


情けない話だが、百合に頼るしかないのが俺に出来る事であった


(ただ次からは気をつけよう)


今回の件で、他の子達を傷つける事例がわかった。俺は次こそは今回のような事がないようにしようと思った






「…私ね」


暫く横で考え事をしていたら、一葉が口を開いた


「私本当は勉強も出来るし、運動も得意なの」


『え?ああ、そうなんですね』


予想してない言葉が、一葉の口から出た


「中学生の途中まではね自由にやれてたんだ、勉強も沢山してたし体育祭とかでも一位取ったり」


『お〜凄い』


一葉は外見も含めて色々と違和感があったが、本当の一葉は凄いんじゃないかと思っていた


「でもある日言われたの、私みたいなやつは目立つなって」


一葉の話によると、クラスメートの女子でも人気者の女子がいるグループがあったらしい


そのグループのメンバーや本人からも言われて、一葉は大人しく過ごすようにしたらしい


「べ、別にイジメとかそこまではなかったのだけど、やっぱりそういう子が光を浴びたいのかなって思って…」


たしかにそういう子はいるなと思った、同級生にもやけに目立つ女子がいる話は聞いていた


『SNSとかでいう承認欲求みたいなものかね、そういうのが好きな人はいるものな』


「うん、だから目立たないようにしてたのだけど…」


『うん』


「最近ね、もっと表に出てもいいんじゃないかと思えたんだ」


『ほぉ、それはどうして?』


「この前のテストで一位を取れた時に、ああ楽しいなって」


この前の中間考査では百合に勝ち一位を取っていた


「なんで百合さんより私が上なのとか言われたりもしてたけど、百合さんは柊さんの努力の結果とちゃんと周りに言ってくれてね」


『お〜』


さすが百合だなと思えた


「さっきの事もあるのだけど、勉強も運動ももっと頑張って、私は龍司君の彼女だって自信持って言いたいの」


一葉は自分のためだけではなく、俺のために頑張ろうとも思ってくれたらしい


「だからね」


一葉は顔を上げてこちらを向いた


『一葉』


「私は、龍司君の傍にいてもいいかな」


一葉は涙を流しながら俺を見ていた


『当たり前だろ』


俺は一葉を抱きしめた


『ずっと傍にいていいよ、いやいてくれ』


「うん…うん」


俺の胸で泣く一葉を愛おしく感じたし、もっと自分が守らないといけないと思えた

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