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ラブレター

次の日、今日も朝から皆で登校をしていたが、ただあまりに会話がなかったので心配になった


『双葉は大丈夫か?』


昨日登校してからの周りへの対応に疲れているのか、今日は朝から元気がなかった


「学校でもそうだったのですが、家に帰ってからも友達が結構メッセージをしてくれて、色々聞かれたり男友達紹介するよって言われたり…」


『あまり寝れなかった?』


「それも少しありますね、でも少しすれば落ち着くと思うので」


双葉は交友関係を広く持つようにしていた、だからそれの影響が今来ているのだろう


『他の皆も大丈夫?』


周りの皆もあまり口を開かなかったので、心配になって聞いてみた


「私は別に、面倒なら無視してるし」


百合も交友関係は広いが、そこまで気を使わずにいられるようだ


「私は連絡先を交換してる人はいないので」


「同じく」


「私もそうね」


一葉や霞や桜は、それに関しては問題なかったらしい


『それなら良かったけど、いつもよりは静かだなって思ってさ』


「あ〜予想通りなら学校に行けばわかるわ」


『学校?』


百合達は俺の事を見ながらそう言っている


「昨日の今日なら考えられる事はアレでしょうね」


「アレですね」


『ふむ…』


皆が言うアレがわからないが、着けばわかるのだろうと思った


学校に着き下駄箱へ向かうと、珍しく百合達もついてきていた


「開けてみなさい」


『えっ?ああ、うん』


靴を履き替えようと下駄箱を開けると、中には大量の手紙が入っていた


さすがに漫画の世界みたいに、開けたらドサドサドサッと落ちるような展開はなかったが、スーパーの袋に詰め放題みたいに隙間を埋めるように手紙が入っていた


「想像より多いわね」


「今どき古風な感じですが、やる人はやはりいるのですね」


そう言いながら双葉が開けると、双葉のとこにも四枚ほど入っていた


『おお、双葉もか』


「私もあった」


「私も?」


霞のとこにも二枚、桜も二枚入っていたらしい


「何これ、脅しじゃない」


桜がすぐに二枚の手紙を開けると「高梨君に近づくな」や「高梨君から離れろ」と書いてある手紙だった


『なんか桜だけ違くね?』


「別にいいわよ、男には興味ないし」


『何かされたら言ってくれよな』


「わかってるわよ」


桜にそんな内容のが書いてあると思ってなかったので心配になったが、俺は何かあれば守ろうと思えた


「はい龍司、これ入れといたから」


これを予想して用意してあったのか、百合が紙袋に手紙を全て入れてくれた


『これ全部読まないといけないの?』


「まぁそうでしょうね、捨ててもいいけど」


『それはそれで失礼か』


そう言ってる横で、霞はゴミ箱に手紙を捨てていた


「興味ない」


『うわ、いいのか?』


「龍司君以外に使う時間が無駄だからいらない」


『あ、うん、ありがとう』


ちょっと厳しいが、霞が潔く見えた


「私は一応見ますね」


双葉は後で確認するらしい


「さて私達も確認に行きますか」


「そうですね、龍司君手紙読んでもいいけど、あまり深く考えなくていいのだからね!」


百合と一葉が自分達の下駄箱へと向かった


『深く?』


「送り主について、気にするなってことでしょ。私達がいるのだから」


桜に言われると一葉の言いたい事がなんとなくわかった


『ああ、そうだね』


「龍司君は、私達がいればいい」


下駄箱の中も綺麗にしたので教室へ向かった




「おっす、今日も朝から注目されてるな」


教室に入ると大樹が声をかけてきた、大樹の言うように周りから視線を感じる


『おはよ大樹、皆珍しいもの好きなんだろ』


「そうか?まぁその手待ちの紙袋もやばそうだが、俺もテニス部の先輩とかから龍司を紹介してくれって言われたわ」


『え、マジで?』


「ああ、大切な子がいるらしいのでって一応断ったが」


「東本君有能」


「珍しく東本君を良い男と思ったわ」


霞も桜が大樹を褒めていた


「いやまぁ、俺も後が怖いので…勝手な事も出来ないしな」


少し周りを気にしながら話しているが、大樹なりに気を使ってくれたらしい


『大樹ありがとうな、暫く迷惑かけるかも』


「まぁ仕方ない、昨日龍司を見た時には諦めたよ」


お手上げだみたいな態度をしている大樹は、いい友人だと思えた


「しかし凄い量だな、今どきラブレターとか入ってるものなんだな」


『朝下駄箱開けたら詰まっていたわ、多分二年や三年の人も入れてたみたい』


何枚か手紙の裏を見たら、律儀に学年や名前を書いてる人もいた


「それ全部確認するの?」


『一応は見ようかな、申し訳ないし』


「まぁそれでも、龍司の気持ちは揺るがないだろうしな」


『当たり前だ、皆のためにただ誠実に対応したいだけだ』


大樹の言葉に、俺は三人を安心させたくて言葉にした


「私は捨てたけど」


「え、真白さん強くない?」


霞はスパッと捨てたことを喋っていた


こちらを見ていた男子のうち一人机に倒れたのがいたので、手紙のうち一枚はその男子だったのであろう


(このうち何枚かは、クラスメートもいるかもしれないな)


誰が聞いてるかわからないので、手紙については気をつけようと思った





(増えてしまった)


休み時間や昼休みに教室や廊下に呼び出されて、知らない女子から手紙を渡されたり、連絡先を聞かれたりした


朝の紙袋の中身が更に増えてしまって、どう処理すればいいのかわからなくなってきた


(とりあえず放課後部室で読むか、いやでも皆が気にするか)


家に帰ってから確認しようと思っていたが、結局部室で読む事になった






「龍司君、次はこれ」


放課後部室に入ると、霞と一葉達に座らされ周りを囲まれた


左右や後ろから、俺が手紙を一枚一枚読むのを監視されている


「ねぇこれ、写真入れてるよ」


「これかなり盛ってるわね、ここボヤケてるじゃない」


「プリクラ入ってる、これも盛ってるね」


俺より皆のが興味あるようだった


手紙の内容については、だいたいは昨日見て一目惚れしましたとか、前から好きでしたっていうのが多かった


「お祖母ちゃんの時はありがとうございました。もっと話をしたかったです」


これは隣の教室のあの子だなってわかった


(ある意味そういうイベント的なもので、皆便乗して盛り上がったという事でいいのかな?)


この期に及んで自分がモテてないとは言わないが、全員が全員本気で言ってくれてるわけではないのだろうと思った


「で、どうするの?」


全てが読み終わり皆がこちらを見ている


『言わなくてもわかるだろ、俺には他にはいらないよ』


「そうよね〜」


両腕が抱きしめられ、頭に抱きつかれるのがわかった


「まぁ暫くはこれが続くだろうけど、我慢しなさい」


『早く終わるといいなぁ』


俺達の平穏が、早く訪れて欲しいと思った


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