表と裏 4
(ヒーローが現れたと思った)
周りは誰も助けてくれなくてこの後どんな目にあうかわからなくて、泣き叫ぼうとしたところで救ってくれた人がいた
『大丈夫?』
声が聞こえて相手を見て目があった瞬間…
その人は驚いていた…
十秒ほど見つめ合っただろうか…
何故かわからず私が疑問を持つような顔をしたら相手の男の人が
『とりあえず歩けるかな?ここには居たくないだろうし大丈夫そうなら送るから行こう』
と優しく一緒に歩いてくれた
…
…
…
家に着くまでの事は何も覚えていない
たぶん私は何も話せなかったし相手の人も私の事を考えてずっと傍にいてくれただけだと思う
家に入るまで一緒についてきてくれて私の家族にも説明もしてくれた
私の家族には何も悪くないから、後日警察に被害届けを出す時も傍で支えてあげてくださいと言っていたような気がする
連絡先を聞く家族に丁寧に断りを入れてて、どうしてこの人はこんなに優しいのだろうと思った
ただどうしてもお礼をしたくて手がかりになるものはって思った時にとある物に気がついた
明るいとこに来て少し冷静になって相手を見たら
「その…ジャージ」
『え!?どこでも売ってるものですよ!!』
「1年…生?」
『いえいえ…違います!では自分も帰らないとなので失礼します!』
『今日の事は気にせずにゆっくり休んでくださいね』
そして帰って行った
あの人はうちの学校の生徒かもしれない
あとあの左目の泣きぼくろ…
三つあって綺麗な正三角形を描いていた
本当は土日に今日の事を思い出して泣いてしまうかもと思ってたけれど…また会えると思ったら元気が出てきた
月曜日になったら彼を探そう
(絶対見つけて御礼を言ってこの気持ちを伝えよう)
そう想うのだった