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一葉と梅雨

「う〜、ボサボサだよ〜」


六月に入った頭から、あいにくの雨だった


『梅雨の時期ですからね』


今日は一葉と登下校する日だ、寝癖を直してきたつもりだったみたいだが、ちょこちょこ跳ねてるやつがいた


「龍司君に可愛くないとこ見せたくないのに〜」


『そんな事ないですよ』


「う〜、でもこんなにくっついていられるからいっか!」


一葉は傘を持って来ていたが、一緒に入りたいと自分の傘は閉じて俺の傘に入っている


「もっとくっついてもいい?」


『どうぞ』


お互い濡れないようにくっつくが、少し一葉側に傘を寄せてあげた


(まぁ俺の肩が少し濡れたところで、たいしたことないしな)


こういう事が増えそうなので、大きめの傘を買おうと思った


後ろを見てみると、さすがに四人で横並びにはならず、双葉と百合、霞と桜のペアで話しながら歩いていた


(百合達に比べたら、霞と桜はあまり会話してないか)


まだまだ皆仲良くとはいかないようだ






「また放課後だね」


『そうですね』


一葉は少し寂しそうにしてたが、またすぐ会えるからと頭を撫でてあげた




教室に入ると大樹が寄ってきた


「おーす龍司、今日は相合傘だったらしいな」


『また例の噂か?』


「ああ、そうそう」


『毎度飽きないものだよな』


俺は少し、呆れるように言った


「まぁ昨日も一昨日も、言われてたしな」


『そうか』


(俺は構わないが他の皆には、害がなければいいなと思った)


「まぁ学園のマドンナ的な高梨先輩の弟で」


『マドンナとか、言い方が古いな』


「ははは、たしかに。あとは同学年でも人気のある、柊さんと真白さん」


(二人はたまに、告白されてるらしいしな)


「黒音さんは、美人だけどいつも一人だよな」


「余計なお世話よ」


黒音が話に、割り込んできた


「あとは今日一緒に来てたっていう、先輩か?」


『ああ、双葉のお姉さんだな』


「マジか、姉妹丼やん」


『ごめん、ちょっと何言ってるかわからない』


大樹はちょこちょこわけのわからない事を言うが、好きな恋愛ゲームの影響らしい


「次何かあったら、俺また何かやっちゃいました?で頼むわ」


『言わねーよ?』


「ははは、俺もモテてぇ」


(そんな楽なものでもないけどな)


恋愛慣れしてるわけでもないし、色々と異性には気を使う


現実は、恋愛ゲームのようにうまくはいかないと思った






放課後になり、皆で部室に集合した


「では、かんぱ〜い」


『乾杯』

「かんぱ〜い」


六月に入った事で、漫画研究部の存続が確定となった


そのお祝いということで、売店で飲み物を買ってきて皆で飲んでいた


(結構厳しかったんだな)


来る途中にいくつかあった部活の部室は、空き教室にされていた


自分達は無事存続出来て、良かったと思えた




「去年までは静かに活動してるだけだったんだけど、せっかくだから今年はもっと活動したいな」


『具体的には?』


「夏に合宿とか」


『漫画研究部で合宿ですか』


「名目はなんでもいいの!龍司君と一緒に夏を過ごしたいの」


周りを見ると、皆うんうん頷いている


(なるほど、そう言ってくれるのは嬉しいけど)


「プールや海に行ったりしたいし、逆に山でキャンプとかもいいよね」


(プールや海か)


誰の水着を想像する


一、一葉

二、霞

三、百合

四、双葉

五、桜


(…なんだこれ)


急に脳内に、選択肢が浮かんだ気がした


『…』


「あ〜、龍司君誰かの水着を想像してるなぁ」


『いや、してないですよ?』


「ねぇねぇ、誰のを想像したの?」


皆こちらを見ている、どれを選んでも碌な事がないのが分かっていた


『か、母さんかな…』


「ふ〜ん、マザコンなんだ」


不名誉な言い訳をする事になった




「まぁ夏休みの事は後で相談するとして、まずは中間考査ね」


中間考査、俗に言う中間テストの事だ。俺達一年にとっては入学後初のテストとなる


予定では来週の金曜日、六月十日に行われるらしい


「来週は部活もテスト休みだから、金曜日までしっかり勉強するのよ」


(赤点だけは気をつけないとな)


「ちなみに赤点を取ったら、期末考査が終わるまで龍司との登下校はなしね」


「えぇっ!?」


皆驚いていたが、うちの学校は進学校ではないので赤点の基準は緩かった


(成績も皆平均点以上だから、大丈夫かな)


月一の小テストの点数は、皆平均点を超えてるらしい


「せっかくだから今週の土日は、勉強会でもしましょうか」


『ああ、いいですね』


「来週は、曜日ごとに分かれて、勉強するということで」


「あくまでも勉強だからね、わかってるわよね?」


『はい!』


姉の圧が怖かった






皆で部室から出た後、俺と一葉以外の四人は先に帰り俺達も帰っていた


「雨止まないね」


『明日の午後には、一度晴れるみたいですけどね』


「そっか〜、でもこうやって龍司君にくっついていられるからいいや」


朝と同じく、帰りも一葉は俺の傘に入っていた


「夏か〜、楽しみだね」


『そうですね』


夏休みを楽しめるのは学生の特権なので、去年までとは違い今年は沢山の思い出が出来そうな気がした


「約束…」


『ん?』


「忘れてないからね」


『うっ』


約束とは、あの事だろうか


「龍司君がいいなら、早くてもいいんだからね」


『それは…考えておきます』


「うん!いつでもいいんだよ」


『ははは』


夏までにはと約束をしたが、五人からの誘惑にいつかは限界を向かえそうと不安になる自分がいた


「もう家に着いちゃうね、もっと一緒にいたかったな」


『これからもっといられますよ』


「うん、いっぱい一緒にいようね」


先輩が首に手を回し、唇を重ねてきた


「また明日ね」


『ええ、また明日』


今年の夏は、楽しくなるといいなと思った




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