双葉と存続
「腕を組んでもいいですか?」
今日は、双葉と登下校をする日だ
『ん?いいよ』
双葉は頬を染めながら、腕に抱きついてきた
『もう五月も終わりだな』
「そうですね、私達が入学してから二ヶ月もあっという間でしたね」
思い返して見ると、この二ヶ月は人生で一番濃い二ヶ月だったかもしれない
『俺、正直双葉とこんな風になるとは、思ってもなかったよ』
「あー、たしかに、教室でも一切話しませんでしたからね」
一葉を助けて送っていった時は、一葉以外の家族の顔を落ち着いて見る余裕がなくて、そのせいでGWに双葉を一葉と間違えた事があった
(でも双子ではないのに、結構似てるんだよな)
双葉は、顔も身体も、一葉にほぼ似ていた
(前の部室の時も、口元にほくろがないから気がつけたしな)
双葉を見てたら、俺の視線に気がついたみたいで
「何見てるんですか〜、胸かなぁ?エッチ」
『いや、違うよ』
「ふふふ、嫌じゃないですよ〜でも触りたいならまた後でお願いしますね」
『いやいや、しないよ』
「ふ〜ん?」
双葉は、家では一葉とは逆に大人しい。だからこそ明るく振る舞ってる時は、無理をしているように見えた
(後で聞いて見ようかな)
放課後二人で帰る時に、聞いてみようと思った
「漫画研究部、存続けって〜い!」
『おー』
「パチパチパチ」
わかってはいたことだが、無事五人集まり存続が決まったのは良かった
『おめでとうございます、でも一葉だけに負担をさせたくないから、何かしたいですね』
部室に来ても読書ばかりなので、協力したいと思った
「ありがとう。今度漫画描く時に、協力してもらおうかな」
『俺に出来る事なら言って下さい』
「私達も、手伝うからね」
「うん、ありがとう」
皆も協力を申し出ていた
(先輩の漫画以外に、何かやれる事があればなぁ)
絵心には自信がないので、そちらで手伝えないのは残念だった
本日も部活が終わり、双葉と下校をしていた
双葉は朝と同じく、腕を組んでくる
『そういえばさ』
「うん」
『あー、言いにくかったり、嫌なら言わなくてもいいんだけど』
「う、うん」
『双葉は無理をしてないか?』
「どうして?」
『結構学校では無理に明るくして、周りに合わせてるなぁと思う時があってさ』
「あー、わかっちゃうんだ」
『基本的に周りにはわからないと思うけど、俺は最近は結構双葉を見てるからさ』
「そうなんだ」
双葉は嬉しかったのか、頬を染めて下を向いていた
『あとはまぁ、家と学校のギャップもあるよな』
「あれは家族と、龍司君にしか見せてないんだからね!」
部室ではあまり喋る事はないが、明るく振る舞ってはいた
『だからなんだろうな、俺には隠さずにっていうか』
「甘えてもいいの?」
『あ、うん』
「そっか、嬉しい」
組んでいる腕を、少し強く引っ張られる
『おっと』
「んっ」
俺を引っ張った双葉は、顔を近づけてきた
軽く唇を重ねると、離れて微笑んだ
「ふふふ」
『周りに見られちゃうぞ』
「大丈夫、誰もいないよ」
ちゃんと確認はしていたみたいだ
「私ね、イジメとか仲間外れに合うのが怖いんだ」
双葉を送る帰り道、ふと立ち止まったと思ったら双葉が口を開いた
『イジメ?』
「うん、私はないんだけどね」
『まぁわかるよ』
誰だって虐められたいわけではない、でも起きてしまう
(理不尽な世の中だよな、ある日急にターゲットになるわけだし)
自分自信も、過去に起きた事実は認識はしている
(俺の場合は、姉ちゃんのおかげで色々と解決出来たけどな)
一人っ子だったら頼れる相手もいなくて、今頃どうなってるか想像出来なかった
「だからね、龍司君のお姉さんって、凄いなって思ってるの」
姉は友人が多いし、好かれてると思う
(世渡り上手ってやつだよな、俺も何度も助けられてる)
「私はお姉さんほど上手く立ち回れないから、なんとか周囲だけにでも嫌われないように演じてるだけ」
『ふむ』
(俺はそれさえも出来ないけどな、たしかに双葉は人気がありたまに告白されているらしいし)
『でも、やろうと思って出来るのは凄い事だよ。俺はそれさえも出来ないからさ』
「うん、ありがとう」
『それでもやっぱり疲れてるのがわかる時があるからさ、無理せずに俺に甘えてくれていいよ』
「うん」
『俺はたいしたことは出来ないけどな』
「そんな事ないよ」
双葉が正面から抱きついてきた、胸に顔を埋めてきたので抱きしめ返した
「いっぱい甘えさせてね」
『ああ、無理だけはしないようにな』
双葉が離れるまで待って、家まで送っていった




