表と裏 2
『さすがに今日は来ないか…』
現在の時刻は17時50分もう部活動は終わりにして下校する時間である
先程まで部室にいたニ年生や妹も帰ってしまった
(タイミング合えば顔合わせ出来るかなって思ったんだけど…)
『仕方ない、また来週以降もあるもんね』
部室の鍵を閉め下駄箱に向かう、もう週末ってのもあるのかあまり生徒は残っておらず下校したようだ
外を見るともう真っ暗で、運動部の一部が片付けや着替えをしているくらいだった
下履きに履き替えたところで、そういえば今日は好きな漫画家の新刊の発売日だった事を思い出す
(土日は家でゆっくり過ごしたいし、帰宅ついでに本屋に寄ろうかな…)
いつもなら真っ直ぐ帰って土曜日に家族と買い物に行くが、たまには悪い子になってもいいだろうと駅前の書店へ向かった
『あった!最後の一冊』
いつも行く書店で探したところ店頭に置いてあるのはこれが最後の一冊のようだった
(明日だったら買えなかったかも、来て良かったなぁ)
楽しみにしてた新刊を買うことも出来、後は帰るだけと歩いてたらふいに横から衝撃が走った
(何かにぶつかった?酒と煙草の臭い…)
急な衝撃に倒れはしなかったもののよろめきながら相手を見るとヨレヨレのスーツを着た50歳くらいの顔を真っ赤にした男だった
「なんだぁ?ぶつかっておいて謝る事も出来ないのか!!クソガキが!」
その男は怒号を浴びせながら私の肩から下がっている髪を掴み引っ張った
『い…痛っ!痛っぃ!!』
「ガキが!大人に逆らったらどうなるかわからないのかっ!」
(どうして…学校の帰りに本屋に寄っただけでこんな目にあうの…)
周りはただ見てるだけで誰も助けてくれない…
(誰か…助けて!!)
「おいっ!やめろ!」
泣き崩れそうな私の耳にたしかに聞こえた気がした