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表と裏 1

俺には〈裏〉の顔がある

裏の顔と言っても誰かを暗殺するとか暗躍するみたいなそんな話ではなくて…




『姉ちゃん俺のジャージ知らない?』


「あー急にバスケやろうって話になって、借りて着て結構汚れたから洗濯機入れちゃった」


『えー、今日料理部で食べたから夕飯食べる前にランニング行きたかったのに…』


「悪い事するわけじゃないし学校の指定ジャージでもいいじゃん」


『いやーだってあれ学年事に色違うから目立つじゃん』


「どうせバレないわよ、ルールは覚えてるでしょ?」


『いやまぁそうなんだけどさ…』


姉や母と決めたルールがある

学校以外へ出かける場合いつも暖簾みたく下げてる髪を上げて出かける事

学校に行って見たくないものを見るわけではないからいいでしょと、説得されて中学生の途中からすることになったルールだ…


まぁ自分の趣味に関わる部分でもあるからいいんだけどね


「よし!オッケー」


『姉ちゃんありがとう』


昔から母がいる時は母が、いない時は姉がセットをしてくれる

母はヘアメイクアーティスト、姉も母に憧れて同じ道を目指してるらしい

俺も多少その影響を受けてるのだが…


ちなみに父親は会社員で三年前から単身赴任をしているため、俺は姉や母の玩具おもちゃにされていた


ランニングなどで身体を鍛えているのは家族を守るためってのもあるが、昔母がふざけて女の子みたいに俺をおめかしさせて出かけたら、誘拐されそうになった事がありその過去も影響している


『んじゃ少し出かけてくる』


「あまり遅くならないようにね〜」


『了解』







いつものランニングコースを走り、ゴールである駅前の広場のベンチに腰掛ける


『綺麗だなぁ』


あまり街灯の当たってないベンチに座ってから眺める駅前の風景は俺の目には輝いて見える

そしてランニング後にやる俺の趣味が毎回の楽しみである


(これは正直目を隠していては見辛くてやりにくい事だからな…)


姉や母の影響で主に女性の髪や化粧、服装などを見て自分なりに理想の女性に妄想で仕立てる

そこまで変態チックな話ではなく、あの人はショートも似合いそうだなとか、もうちょっとナチュラルメイクでいいんじゃないかなぁとか、この見た目ならこういう服が合うよねって感じの、自称人間観察をしている


まず間違いなく姉と母の影響である


(まぁ自分の理想が出来ても付き合いたいとかは思わないんだけどね…)



「すいません、お兄さん独りですか?」


『え、一人ですけどさっきまでランニングしててもう少しで帰るところです』


「そうなんですね、どうですか?私と一杯飲みに行きませんか?」


『いやいや、自分学生なんで…』


「え?大学生?」


『いや高校生です、まだ入学して一ヶ月経ってませんよ』


「うっそー!ごめんなさい!!」


そそくさといなくなったが…俺ってそんな老けて見えるんだろうか…

今の人で今日四人目なんだよなぁ…


『はぁ…ヘコむわ〜、いい時間だし帰ろうかな…』



「……!!っっっ!……キが!!」


「…!ったいっ!」


ベンチから立って家の方向に向かおうとした時に100メートル先に怒号と悲鳴が聞こえた


俺はついそちらに向かって走りだしてしまったのだった


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