席替え 2
『やっと、話をする事が出来た』
私は帰宅して、自室の窓から幼馴染の住む家を見た
中学校に入学してすぐ、ある事により幼馴染との縁が切れた
その幼馴染は、一学期早々に学校に来なくなり、二学期に登校してきて以降は、誰とも話をせず授業を受けて帰るだけだった
私は彼への謝罪と、もう一度関係をやり直したくて何度も話かけたのだが、まるで私の声が聞こえてないかのように反応をされなかった
そしていつかチャンスが来るかもしれないと、幼馴染と進学先を同じにした
そして今日、入学後初の席替えで、願っていた彼の近くに座れた
ただ彼は、私の事を認識してくれたが、誰かはわかっていなかった
『明日聞いてみよう』
私はもう一度幼馴染に戻れるように、そして彼の隣にいられるようにしたいと願った
『高梨君、おはよう』
「あー、おはよう」
『眠そうね』
彼は、朝から大きな欠伸をしていた
「いやー、昨日姉が機嫌悪くてなかなか寝させてくれなかった…」
『そうなのね』
もしかしたら、私のせいかもしれないと思った
「そういえば、名前聞いてないよね?」
たしかに、こちらは知っているから当たり前にしてたが、彼は私の事を知らないと言っていた
『私は黒音桜よ、よろしくね』
「ああ、黒音さんよろしく」
(本当に覚えてないんだ)
名前を聞いて全く反応がなかった、つまり本当に私を知らないということだ
『ところで、高梨君は幼馴染とかいる?』
いきなりだが、どうしても聞きたかった
「あー、いたかな」
『その人の名前って覚えてる?』
「んー、たしか…」
(…誰?)
彼の口から出た名前は、知らない名前だった
『本当に合ってる?』
「なんで黒音さんが気になるのかわからないけど、姉に聞いたらそう言ってた」
(ん?姉?)
『お姉さん?』
「うーん、名前忘れてしまって、一度聞いたことあるんだ。俺の記憶と違ってたから、一度表札見に行ったけど間違いなかった」
(そういえば前に、表札にいたずらしてあったと、親が言ってたような…)
『なるほど…』
つまり彼の姉が嘘を教えて、表札に何かをして記憶を改ざんさせた可能性があるということになる
(これは簡単にはいかないかも)
私がどんなに頑張っても、彼の姉がいる限り改ざんされるかもしれない、それだけの信頼が二人にある可能性がある
(でもまた話せるわけだし、一からやり直せるなら…)
私が彼に話かけたのは、他にも理由があった
高校に入学してすぐに男友達が出来たのは、同じ教室なのでわかっていた
彼が他の女子と腕を組んで登校してきたという噂、教室での真白さんや弁当の事
私は正直、焦っていた
(少し前までは、女性の影は全然なかったのに…)
このままでは後悔するのではないか、その気持ちが後押しをした




