席替え 1
「高梨君、おはよー」
次の日の朝も、二人は来ていた
昨日と同じく三人で歩くが、今日は腕を組まれてはいなかった
俺達の少し後ろを歩く、姉がいるからだ
「ねぇ、高梨君」
『どうしました?』
「お姉さん機嫌いいね」
『そうですか?いつもあんな感じですよ』
昨日の夜相手をしたからか、今日は朝から機嫌が良かった
「お姉さんと、何かあった?」
『いや、いつもと変わらないですね』
「そう、いつもなんだ」
含みのあるような事を言ってくるが、聞き返すのも良くないので触れない事にした
「先行くね〜、はい本日の愛妻弁当」
『ありがとう、姉ちゃん』
今日は姉の弁当らしい、でもわざわざそんな言い方をしなくてもいいと思うのだが
「むー」
姉の背中を見ながら、二人が拗ねていた
姉が離れてすぐに二人が腕を組んできた、姉がいるから一応遠慮はしていたようだった
「そういえば、今日は席替えがある」
『あー、入学して一ヶ月経ったからやるって、担任が言ってたよな』
「えー、他の女の子と席が近くなっても、仲良くなったら嫌だよ」
『いやいや、俺なんかそんな風に見られませんよ』
「そんなことない!」
『うぇっ』
二人がいきなり叫ぶので、周りが一斉にこちらを見た
『二人とも、見られてるから』
元から視線が痛かったが、更に見られたら疲れる
「高梨君は、警戒心が足りないよね」
「絶対死守する」
『大袈裟ですよ』
(二人が何を気にしてるかわからないが、俺はいつも通りの学校生活を送るだけさ)
「おーす、龍司」
『大樹おはよ』
「なぁなぁ、席替えどこがいい?」
大樹に言われ、教室内を見た
『やっぱり窓際の一番後ろかな』
「だよなぁ、一番気持ちよく寝れそうだぜ」
『夏は暑いけどな』
「前髪切れよ」
『むーりー』
とは言いつつ、最近は少し髪を切ってもいいかなと思い始めていた
(これもみんなの影響かな)
高校に入るまでは絶対切りたくないと、何度も姉や母の誘いを断った
(最近は大樹や真白や先輩、もちろん姉もみんなのおかげで周りが少し見えるようになった気がする)
「席替えは放課後のLHRでやるぞー」
担任の言葉に、教室が騒がしくなっていた
「高梨君、よろしく」
『ああ、真白よろしく』
くじ引きの結果、狙ってた窓際の一番後ろを取ることが出来、その隣は真白だった
真白の前には柊先輩の妹がいた
(俺の前はと言うと…)
「最近随分とモテてるようね、高梨君」
『あ、はい?すいません』
前の席の女子に、いきなり嫌味を言われた
最近俺が目立ってるのが、気に食わない系の人かもしれない
「別に文句ではないわよ、久しぶりね」
『え?えぇ、初めまして』
俺に話かけた前の席の女子は、肩の下まである長い黒髪に眼鏡をかけた綺麗目の子だった
「初めまして!?覚えてないの?」
『うーん?今日初めて話しますよね?』
入学してから一ヶ月、普段から教室内での会話が少ないのに、この女子との事は記憶にない
「高梨君」
真白が割り込んでくる
「その女は嫌な気配がするから、近寄らないで」
「なんでよ!」
真白は、この女子と俺が話すのが嫌らしい
『まぁクラスメートだし』
「何よもう、せっかく話せたのに」
前を向きながら、何かボソボソと言っていた
「ということがあった」
部室に移動して昨日と同じ座りになり、先輩に真白が報告をした
「たかなしくーん、言ったよね?」
先輩が、組んでる腕を強く締めつけてきた
『クラスメートですよ?気にするとこあります?』
「高梨君は魅力あるもん、気がつかれたら嫌じゃん!」
『いや〜、二人は俺を過大評価しすぎですって』
(二人に好かれてるのが、不思議なくらいなのに)
「もうっ!そういうとこだよ」
二人が拗ねていたのでなだめた後に、昨日と同じく家まで送っていった
「ふーん、そうなんだ」
今日の席替えの事を、姉にも話した
「そういえば名前は?」
『あれ?たしかに聞いてないな』
「何それ、普通は聞くでしょ」
『いや…俺はまぁ最近目立ってたからだろうけど、向こうは俺の名前を知っていたよ』
「ふーん、どんな子」
姉にその女子の特徴を説明すると、急に顔が怖くなった
「あの女ぁっ!」
姉と因縁があるのか、もうそれ以降その話はしなかった
「とりあえず警戒しなさい」
『わかった』
もしかしたら、教室内で勧誘や壺を買わされるのかもしれないと、思ったりした




