料理部
「龍司って背高いよな、いくつ?」
『178くらいだったと思う、大樹は?』
「173かな?」
『たった五センチの差じゃん…』
「いや五センチは結構デカいからな?」
高い方がモテるとはよく聞くけど、高くても頭ぶつけたりするしスポーツやってるとか、モデルみたいな顔や体型してるという条件なども必要じゃないか?
『俺みたいな身長でも前髪暖簾の陰キャは、モテないと思うぞ』
「前髪切れよ!」
『あ、ムリっす』
「暑くないのか?そんなに目の前に髪があって…」
『いや〜正直きついよな、夏なんか地獄ですよ』
「じゃあ切れよ!」
『男には色々あるのさ…』
「いやカッコつけられても…」
『機会があればいつか話すよ』
「わかった」
正直機会なんて一生来ないと思うけどな…
毎週金曜日は料理部の実習である
金曜日だからカレーを作りますって事でもない
金曜日以外でミーティングを行い金曜日に実習をするのが毎週の流れらしい
実習をして残った材料などは、絶対持ち帰ろうというルールがありそれに則った形になる
漫画研究部ともう一つ掛け持ちしているのがこの料理部であり、自分にとってはこちらが本命なのである
死ぬまで独り身でいるつもりの自分としては、若いうちから料理が出来るようになりたい
家でも勿論手伝いなどはしてるが少しでも機会を増やそうと、入部を決めていたのが料理部なのである
『今日はハンバーグだったなぁ』
また一つレパートリーが増えたぜ!
家でもハンバーグを作るのを手伝うことはあるが作業手順や添える野菜、ソースにかけてまでワンパターンにはならない
なのでレパートリーの一つとして言ってもいいのだ
(そういえば漫画研究部はどうするか…)
片付けなどが終わって部室を出たのが17時…そして左手にはいくつかの野菜が入った袋…
『仕方ない帰ろう、また月曜日に顔出せばいいな』
そう自分に言い聞かせて帰宅する事にした