恋愛ゲームの主人公 1
『エッ?ナニコレ???』
どうして、こうなったのだろう
俺は何かを、間違えたのだろうか
GW明けの初日、昨日は姉のおかげでよく眠る事が出来た
姉も朝からご機嫌で、いつも通り二人で登校しようと家を出た
ゴゴゴゴゴゴゴゴッッ
(ん?地震かな)
実際は一切揺れてはいないのだが、目の前にはいつもと違う光景が広がっていた
「真白さん、どうしてここにいるのかな?」
「先輩こそ、私の!高梨君に、朝から御用ですか?」
二人の間にバチバチッと聞こえるくらい火花が、いや散ってはないけどニコニコしてる顔が怖い
隣の姉を見ると、少し驚いた顔をしていた
(そりゃ、そうだよな)
俺達の日常の朝に、GWに入るまではなかった光景がある
『あ、あのー』
「あ!高梨君!」
「高梨君、おはようございます」
声をかけた瞬間に、二人が笑顔で返してくる
『お、おはよう、ござい、ます』
先程の空気の重さが、緩んだ気がする
『朝から、どうしたのですか?』
「一緒に学校に、行こうと思って」
「一緒に、学校に行きましょう!」
(んー?何これどういうこと?)
人生初の体験である、いや漫画とかでは読んだことあるけど…
姉を見ると、姉も俺と二人を交互に見ていた
「んー?」
少し考えたと思ったら、両手を広げやれやれと聞こえてきそうなジェスチャーをしながら
「じゃ、お姉ちゃん今日は先に行くね!あ、これ愛妻弁当」
いつもの弁当を渡して、学校へ登校して行った
『え?追いてかないで…』
それを見ていた二人は、笑顔なのに怖い
『とりあえず、行きます?』
「うん!」
「行こう」
二人と登校することになった
(夢か?夢なのか?)
俺は何故か、二人と登校をしている
一見、地味目な雰囲気を出してるが素材は絶対いい先輩と、お姫様みたいだと人気の黙っていれば可愛い真白
(そんな二人がどうして俺なんかを)
「ねー?今私達の事を変な風に考えてなかった?」
『え!?そんな事ないです!』
「ふーん?」
今のこの光景が、いまだに信じられない
俺を挟んで左側に真白、右側に先輩がいる
(俺ってそんな願望があったのか)
夢には、記憶の整理や願望が現れると、聞いたことがある
(痛っ、くある…)
頬をつねってみたが、普通に痛いだけだった
『夢じゃないのか…』
ボソッと声に出した時に、左腕に重みを感じた
『あのー、真白さん?』
「なーに?ダーリン?」
(おい、やめろ)
右側から圧力を感じる、あとお前、先輩の前でも散歩モードでいいのか
朝から先輩とのやり取りはずっとニコニコしていて、学校での無表情モードはやめていた
「高梨君」
右手に重みを感じたと思ったら、先輩も腕を組んで手を握ってくる
『先輩、どうしちゃったんですか?』
「ん、おかしい」
(いや真白よ、お前が言うな)
「真白さんこそ、どうして急に高梨君に絡んでるの?」
先輩が不安そうに、俺を見上げてくる
「…ちゃったから」
(ん!?)
「二回しちゃったから」
腕を組んでない左手の人差し指で、自分の唇をなぞる
(痛っ!いだだだだだっ)
右腕と握られた掌に強い締め付けが走る
「た、か、な、し、くーん?」
先輩の顔が見れなくて、俺は左を向いた
「私とは、三回もした癖に」
先輩が下を向いて頬を染めた
(あー!いだだだだだっ痛いって!)
左腕に鋭い痛みが走る、真白がこちらを真顔で見ながら、腕に爪をたてていた
『二人とも落ち着いてくれって!』
「ねぇ!どういうことなの!?」
「浮気は許さない!」
(え?俺が悪いのこれ)
「私は、昨日から高梨君の彼女になったもん!」
(おい先輩、昨日の事を思い出せ。嘘だけはあかんぞ!)
「高梨君は、私と結婚するって約束した」
(おいー!!俺は今始めて聞いたぞ!)
(ナニコレ…GW前にロード出来るなら戻りたい)
俺は、恋愛ゲームの主人公だったらいいなと思った
二人には悪いけどやり直したいと思った
別に二人が嫌いとかではない、ただ二人を傷つける事になる事がしたくなかったから…
前なら本当に全部リセットしたい気持ちだったが、少しは変わったのかもしれない
「そうだったんだ」
昨日の事を大まかに二人に説明した
『てか、先輩はまだわかるんだが、真白はなんで俺の事を?』
「今は言いたくない、でも高梨君の事は好き」
『えっ?』
(真白が俺の事を好き?そんなフラグ立つような事はあったか?)
「ふーん?私は高梨君の事大好きだよ」
両腕をぎゅっと締められる
「高梨君はどう思ってるの?」
(えー…)
『いや、俺は選択肢とか出てたなら昨日に戻ってやり直したいなと…』
「そうやってどちらか振るんだ、私じゃないよね?」
先輩が、上目遣いで見てくる
「私は、高梨君と一緒のお墓に入るから、選択肢なんかない」
真白も、同じく見てくる
『いや、おかしいだろ…』
暫くそんなやり取りが続いた
家を出て、学校に着くまで二人に腕を組まれていたので、周りからの視線が痛かった
「着いちゃったね…高梨君は私達の事、嫌い?」
(…)
前ならどうだっただろうか、多分二人を遠ざけるような事を言ってたかもしれない
だけど、昨日や朝の二人の気持ちを聞いて、少しは信じたくなったのかもしれない
『嫌いじゃないよ』
「うん!」
照れながらそう答えると、二人は嬉しそうにしていた
「これ頑張って作ったの、食べて!」
先輩から可愛い柄に包まれた弁当を受け取った、そういえばいつもより荷物が多かった
(俺のためにわざわざ…)
少し嬉しくなった、そりゃもらって嫌なやつはいないと思う
「じゃあ教室行くね!また後でね高梨君」
そんなやり取りを先輩としてたのだが、真白は大人しかった
学校内では腕を組むのは目立つからと、真白に説明し二人で教室へと向かった




