高梨龍司の先輩
『お母さん、どっちがいいと思う?』
GW最終日、まだ空がほんのり明るくなってきた朝方に、私は悩んでいた
今日は高梨君が来る日だ
緊張してあまり眠れず、着る服などもまだ決まってなかった
「彼とホットケーキを作るのなら、汚れてもいい格好にしなさい」
『うーん、こっち!』
「服もそうだけど、髪型もたまには変えてみたらどう?」
いつも学校で、三つ編みにして肩から下げてる髪は、今日は後ろで纏めていた
「それでもいいけど、せっかくだから」
上で纏めて、ポニーテールにしてくれた
「男の子は、こういうものが好きだったりするのよ」
『お母さん、ありがとう』
「今までお洒落とか気にしなかったのに、人は、変わるものね」
『もう!』
(少しでも可愛いと思われたいんだもん)
この前とは違う雰囲気で彼が来ることは、母には伝えてある
「彼はきっと、外見で人を見る人ではないわよ」
『そう思うけど…』
(それでも、気にするもん)
彼が来る少し前に、妹は用事があると家を出た
数日前から様子がおかしかったけど、聞くことはなかった
約束の時間が近づいたので家の前で母と待っていると、彼が走って来た
母が早く会いたいと外で待とうとしたから、勘違いした彼が焦ったようだ
その後は、彼と母を交えて話をしたり、ホットケーキを作った
途中、帰宅した妹から彼とお姉さんのデートの話を聞いて、少し胸がもやもやした
彼とお姉さんは、姉弟にしても距離が近い
この前、彼の家でクッキーを作った時も、彼と私が笑っているとチラチラこちらを見ていた
少し不安そうな顔をしている時があって、まるで恋人が他の異性と仲良くしているのが嫌な様子に見えた
普段から、アドバイスや彼の事を教えてくれたりと、サポートをしてくれたりもするのだが、そういう面も見える時があった
あの二人は、ただの姉弟ではないと思っている
好きな人が家に来るという事は、何も起きないわけがない
期待してないはずもなく、彼に押し倒された時は、覚悟を決めた
少し早いけど、最後まで行っても良かった
何もされずに起こされて彼が帰ろうした時は、無意識に掴んで押し倒してしまった
(こんなチャンス滅多にないから)
「どうして」
そう彼に言われた時は、言ってることがわからなかった
そもそもおかしいと思った、彼は一切抵抗しなかったからだ
まるで【好きにしてください】と言ってるようなものだった
その後、彼の過去の話を聞けたのは嬉しかったし、彼をずっと癒して支えたいと思った
(しちゃったな…)
だけど、彼が言った
「俺は、綺麗じゃないですよ」
その言葉だけが、ずっと引っかかっていた




