GW二日目 2
私は、人からの下心には敏感になった
私、真白霞の家は、一般的な家庭に比べ裕福だった
父親は、貿易関係の会社の社長で、母親は、化粧品関係の会社の社長であった
家の敷地も広く、その敷地内に両親の本邸と、私や祖父母が暮らす別邸を建てていた
私は内気な性格で、小学生の時は友達が出来なかった
それを見かねた両親が、仕事が忙しくなってきて家を留守にする事が多くて寂しいだろうからと、パールを飼わせてくれた
小学校高学年の時にクラス替えがあり、その時声をかけてくれた子達と友達になれた
私は嬉しくて家に招待をしたが、その時の友達に、パールが激しく吠えて噛みつこうとして怒ったのを覚えている
友達にはお詫びに、家にあったケーキを食べさせてあげたのだが、それ以降友達の数が増えた
頻繁に私の家に来たがる友人達だったが、私は嬉しかったので招待し、お菓子などを沢山出していた
その時も、友人が来るたびにパールが吠えるので怒った記憶がある
そしてある日、私は聞いてしまった
「真白の友達になって家に行けば、いっぱい美味しいもの食べられるよ」
友人だったはずの人達が、そう言っていた
そこで気がついた、もしかしたらパールは私のために吠えていたのじゃないかと
『ありがとう』
そしてパールだけが友人になり、人の事を観察するようになった
それ以来、自分に下心を持って近づく人はなんとなくわかるようになり、周りを近寄らせないようにした
(私は、パールがいるから寂しくない)
自分にいい聞かせて過ごすようになった
中学に上がっても、変わらず過ごしていたのだが、ある日ちょっとした事があった
基本的にパールは、私を守ってくれているからか他人には警戒をしている
散歩中でもすれ違う人には警戒してるのがわかった
下心がある人、例えばナンパみたいに声をかけようと思ってた相手には、その前に激しく吠えて私を守ってくれていた
そのパールが、目の前の女性には頭を撫でさせている
(あー、この人は良い人なんだ)
私よりは年上なのだろう、綺麗な顔をしていて体型も整っている
私が男なら惚れていたかもしれない
(そうか、パールが認めた相手なら大丈夫なのかも)
私だって女の子だ、漫画や小説のような恋には憧れている
(いつかパールが認めてくれた相手を運命の人と信じよう)
そして高校に上がり、その出逢いがあった
その日は珍しく、パールが散歩に出かけたいとアピールするので、散歩に出かけた
散歩を始めてすぐに、いつもは強く引っ張られたりしないから軽めに持っていたリードが、パールが走り始めると同時にするっと抜けてしまい驚いた
追いかけた先でパールが抱きついていたのが、私の運命の人だった
(こんなパールは見たことがない、親でもここまではならないのに)
家族にさえ見せた事がない甘えようを見せる我が愛犬に驚きつつ、その相手を見た
彼は凄く綺麗な顔をしていた
街灯の明かりでさえもわかるくらいの顔立ちに、左目のすぐ下にある特徴的な泣きぼくろ、甘えるパールに見せる優しさ
そして話をしてみても良い人だと思った
ただ、若干最初は戸惑っているのがわかってそれが何故かはわからなかった
初めて会った日は、相手が急いでいてすぐに分かれてしまったがまた会える気がした
『ねぇパール、あの人がそうなの?』
そう話かけてもパールがうんと答えるわけがないが、そう言ってくれてると私は思った
今まで一度もそういう人とは出会った事がなく、もしまたすぐに会う事があればパールを信じようと思った
そして次の日、パールがまたアピールをしてきた
さすがに昨日の今日で会えるとは思ってもないし、時間も昨日は夜だが今日は昼である
まさかと思って散歩に出たらすぐに出会うことになる
そしてあの女性は運命の人の姉であり、運命の人はクラスメートであり、同じ部活の人だった
彼の正体を知った時は、怒りよりも本当の事を教えてもらえなかった事が許せなくて、感情を出してしまった
「整理します」
彼が嫌いになったわけではない
過去に自分が彼に言った事を思い出し反省する時間、彼が学校ではどのような存在か
思い出して整理したかった
最初は教室に背が高いけど目立たないようにしている人がいるなと思った
暖簾とか陰キャとかオタクとか、見た目で陰口を叩く人が数人はいた
どのみち私はそういう人達とは縁がないので関係ないけど
漫画研究部では、柊先輩が誘ったらしく、入学してからすぐに入った私の後から入部してきた
ある日私と柊先輩を見ていて、下心があるのではと思いきつい言葉を言ってしまったのは今では反省するところだと思う
『私は彼が好きだ、運命の人だから』
出来ればGW中にまた会いたい
駄目なら早く学校に行きたい
そして、またGWの最終日に彼に会えた




