高梨百合 3
『何をしてるの!!』
「チッ、お前ら行くぞ」
校舎裏についた時には遅かった
弟は無抵抗で殴られ、地面に倒れたところを踏んづけられていた
駆け寄って行ったら、弟に暴力を振っていた学生は逃げた
(絶対に許さない)
弟に手を出したやつらには、後で報いを受けさせる
だけど今は弟だ
『大丈夫!?』
「……ごめん…」
それ以上は何も答えてくれなかったので家に連れて帰った
家に着いてすぐに弟を着替えさせベッドで休ませた
状況がわからず狼狽えている母に説明をしようとしたら、インターホンの呼び出し音が聞こえた
『ちょっと出てくる』
弟を母に任せ、私はモニターで呼び出しをした相手の顔を確認し外に出た
玄関の扉を開けると目の前には、弟といつも一緒にいた女の子がいた
(ああ、なるほど、この女か…この女が弟をこんな目に合わせたんだな)
睨みつけるとびくびくしながら喋り始めた
(腑に落ちない、何故弟がこの女に振られたくらいであんな目に合うのか)
私に説明している時もずっと目が泳いでいるし言動に統一性がない
(この後に及んでも自分が可愛いのか、残念だ)
『もういい』
目の前の女に、右の掌を打ちつけた
『お前のせいで弟が!』
返す手で反対の頬を打つ
『二度と来るな!!』
その勢いのまま、家に入った
その後は母に自分が見たものを全て説明した
30分ほど経ったとこで先程の女の両親が怒鳴り込んできたのは覚えている
暫く相手に言わせたところで母の顔が見たことない顔になり、気がついたら相手がいなくなっていた
その日を最後にあの女の家族とは縁が切れたが、人生で一度だけ見たあの母親の顔の印象が凄すぎて他が薄れてしまった
(うちの母は絶対元ヤンだ…)
私の反抗期はこの人生で来ることはなさそうだ、母が怖いからね…
後に聞いた話によると、あの女が弟に告白したのに次の日に生徒みんなが見てる前で振ったらしい
真実は弟しか知らないし、私は弟の言うことを信じる
姉だから弟を信じるのは当たり前だ
【そして弟は学校に行かなくなった】
勉強は、私が毎日帰ってから教えていた
本人も勉強をしたくないわけではなかった
一学期は仕方ないが弟に学校に行って欲しかった(学校に行って欲しいといっても理不尽に奪われた青春を取り戻してあげたかった)
学校からの連絡があり、一度両親が学校に話をしに行ったが弟がされた仕打ちへの対処がされる様子はなかった
(ニ学期からは学校に行って欲しい)
外面が良かった私の本気を出す時が来たようだ
同級生の大半は、私が相談をすると協力してくれることを約束してくれた
学生の縦社会ほど厳しいものはない
結果、弟に何かしら行った生徒は転校したり不登校になったらしいが私は気にしない
そいつらはあくまでも他人で弟ではないから
《女王》
私が動いていたのはわかる人にはわかる
後にブラコンクイーンと呼ばれるあだ名の始まりはここからついたのだった
私が大事なのは家族
そして一番大切なのは弟




