姉弟 1
今日一日していたことはなんだったのだろう
こんな近くに答えがあったなんて
灯台下暗しとはこういうものなのだろうか
「高梨君か…」
初めて会った時からいい人だなとか、面白い人だなと思ってはいた
前髪のせいでいつも表情はわからなかったが…
「かっこよかったなぁ」
金曜日の夜の事を思い出すと、顔が熱くなってくるのを感じた
「そうだ、お礼まだ言えてない!」
(今日はもうきっと誰も来ないと思うし、今からでも追いかけよう)
そして私は、彼にお礼を言うために部室を飛び出した
(たしか、こっちの方に住んでると言ってたのよね)
少し前に部室で話してる時に、住んでいる場所はなんとなく話題にのぼって聞いていた
家の近くにあると言っていたコンビニの角を曲がってすぐ50メートルくらい先に、男女のカップルが仲良く腕を組んで歩いている様子が見えた
(あ…)
男の人はすぐにわかった一時間ほど前に会話してた相手だからだ
(そうだよね、あんなにかっこいいのに彼女がいないわけないよね…)
ニ人の邪魔はしたくない、お礼なら明日すればいい
(でも、聞いてみたい…)
「あ、あの!」
自分の気持ちに正直に勢いで声をかけてしまった
ニ人がこちらを振り向く、彼の方は私の顔を見ると驚いた顔をして止まってしまった
隣にいる女性と私は目が合う、その女性は私と彼を何度か交互に見て
「なるほどね~」
とニヤニヤ笑った
「ねぇねぇ、ちょっと上がっていかない?」
『おいやめろ、迷惑だろ!』
ちょうど家の前に着いていたらしく横に建つ家を指しながら声をかけられる
(ニ人は同棲してるのかな、迷惑だよね…)
「いえ、そんな申し訳ないので」
「いいからいいから、時間は大丈夫?」
「…はい」
そして初めて高梨君の家に上がることになった
リビングに通され、好きなところに座ってとソファを指されたので大人しくそこに座る
『先輩、コーヒーは砂糖やミルクどうしますか?』
「一つずつお願いします」
手慣れた様子で高梨君が用意してくれる
彼女さんの分は聞かなくてもわかっているようだった
(そういう関係だものね…)
「あー、この子私のお客さんだから、あんた夕飯まで寝てていいわよ。あとで起こすから」
『え、姉ちゃん柊先輩と面識あったんだ』
(ん?今なんて?)
『先輩すいませんまだ眠いので少し寝てきます、ごゆっくりしてください』
「あ、ありがとう」
彼がリビングから出ていった
階段を上がる足音が聞こえるのでニ階に部屋があるみたいだ
私はその前の会話が気になってしょうがなかった
「あ、あの…高梨君のお姉さんなんですか?」
「そうよ、てか同じクラスなのにわからない?」
高梨君の姉と言った目の前の女性は、学校ではいつもはしている化粧をしてないから気がつかなかったがたしかに見覚えがある
冷静に相手を見ることが出来ないのは、自分の悪い癖なのかもしれないと思った
「柊さんがここにいるってことは、金曜日の件で間違いないのかな?」
「そうです、彼にお礼が言いたくて」
「なるほどね~、本人から説明受けたときに私の同級生と聞いたのだけれど、何かおかしかったのよね」
「連絡先を聞いても教えてもらえなくて…」
「私の同級生で知らない人のはずなのに聞いてると知り合いみたいな感じだったから」
「まぁ、見ての通りいつもと違ってたでしょ?そのせいよ」
「高梨君のあの姿、知ってるのですね」
「私と母がさせてるからね〜」
(させている?なぜだろう)




